年の瀬に観た「トヨタの底力」(2世代前のカローラXアシスタパッケージに乗りました)

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ようやく11月くらいから追いかけ回されていたかのような年末進行も少しづつめどが立って来ました。それでもいろいろやらなければいけないことも多く、このまま年末年始、とか言わず、2016年にぶっ込んで行った方が楽なのではないか、そんな気さえしております。まだまだ全然ですが、来年もクルマでいろんなところにお出かけしたり、いろんなクルマを見に行きたいと思っておりますので、繰り返しになりますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

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さて、そんなクリスマスムードもあまり実感することなく過ごした今年の年末ですが、ちょっと別件で渡したいものがあり、私のクルマの主治医でもあり、いつもお世話になっている、大田区のアウトレーヴさん(アウトレーヴさんについてはこちらをご覧ください)に立ち寄る機会がありました。そこで用件も済ませ、いつものように美味しい珈琲を入れてくださったものですから、それを飲んでいると、店先にふと、こういってはアレですが随分場違いな、カローラが入ってきました。でも「らしくない」とか「らしい」というのは実際には先入観であり、世の中のクルマ屋さんは、実際はどんなクルマでも扱いますし、どんなクルマも納めているのですが、普段古めのイタリア車やフランス車が多いものですから、私もついつい「ここに、なんで?」と思ってしまいました。あまりに風情が違ったのです。なんでも、買取りで入って来たクルマなのだとか。「すごくいいから乗って来てみ!」と私の顔を見るなりいきなり勧められまして、一回りさせていただくことになりました。

存在は知っていたものの、初めて乗った「1.3X”アシスタパッケージ”」

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何にもついてない!1.3Xアシスタパッケージを始めてみたとき(たぶん初めてです、みたことない、こんな素っ気ないカローラ!)の最初の印象はここんな感じでした。ラジオのみ、電格ミラー・間欠ワイパーなし。走行距離12,000キロ、レースのハーフカバーつき!しかもマニュアルトランスミッション。ビジネスグレードですが、個人オーナーのところで大事にされてきた感じ。今時のクルマでもシンプルなものでなくてはいやだ、そんな前のオーナーの方の譲り難いこだわりを感じる仕様です。早速運転席に座ってみました。

マニュアル発進時に感じられれる「アウフタクト」を満喫する。

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クラッチをつなごうとすると、まだ固い。もうすぐ10年になろうと言う齢を感じさせない新品のような、若さが随所に残る個体です。ラフにクラッチをつなごうとすると、いきなり繋がる、大きなショックを伴う。しっかり律儀に、エンジンの回転数とクラッチペダルの踏力をシンクロさせなくてはなりません。でも、だからこそ、マニュアル車の独特の、最初の瞬間にわき出すトルクを全部かき集めて発進しようとするかのようなあの感覚。黎明か、夜明けか。

先日ラジオで、往年の名指揮者・近衛秀麿の特集をしていました。今のようにネットどころか、国際航空路線も整備されていない中、ドイツに渡り、当時いち早くドイツの風土に触れ、空気で呼吸したその一点を取ってしても、尊い存在であり、今同じことをするよりも、彼自身がその境遇にあったことを最大限に満喫していたのではないか。その活躍を知るに、そんなことを感じたものです。そこで、単に「最初の拍以外から始める」ということばかりではなく「弱い拍」ということも意味するアウフタクトを重んじていたように思いました。今、これの解釈が甘いから、実に安易、実に短絡的、軽薄な音楽になっているケースがしばしば散見されます。

マニュアル車というのはアクセルを踏んでがばっと立ち上がり、加速する、というわけには行きません。まさにこの「アウフタクト」の魅力をもった機械ではないでしょうか。この最初に「踏んでいるクラッチを離すところから」すべてのストーリーは始まる、とは言えないでしょうか?そしてひとたびギヤが繋がり、軽やかに走り始めると、エンジンの吹ける感じが、足や手を伝わり、ビートを奏でる。それがやがて、グランツーリズモとして心に響く、そういうこと何じゃないかと思ったのです。

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このカローラ、ここの感動が極めて大きいクルマでした。例えばベーシックなフィアットに乗ったとき、ルノーに乗ったとき「このシンプルな感じがたまらない」と思ったものです。その時はヨーロッパの小型車は違う、とか思ったのです。しかし、これはヨーロッパがどうとか関係ないのです。一番シンプルに作ったときにどんなクルマができるか。これは「メーカーの器」が出るカテゴリーなのではないでしょうか?椅子は例によって、トヨタ車にありがちな、大してホールドもしない。賭け心地も特筆すべきことはないものです。しかし、それをあげつらって「椅子が悪い」とか、指摘する気にもならない程度のことに思えてくるほど、クルマ全体が軽やか、質素、素直。バランスがすこぶる良いのです。何でしょうか、この膝をたたきたくなる感覚。膝をたたきすぎて痣ができるほど、絶妙なバランスのこのクルマ、そんな椅子のクルマなのに「もっと遠くまで走りたい」と思わせる雰囲気に満ちているのです。

アルファとは別種の「ツインカムの説得力」

そして1速1速を隅々まで使い切れるパワー、エンジンの設え、次のギヤに気持ちが動いている最後の瞬間の、「撥ねるように」吹けきる感じなど、目から鱗が落ちる心地がしました。まるでアルファツインカム、昔からあらゆるクルマに搭載してきました。アルファロメオのツインカム、音もいいのですが、小さな排気量で目眩くパフォーマンスが魅力なのではなく、あの全域での十分なトルク感こそ魅力なのではないか、個人的にはそんな印象があるのです。このトヨタの1300ccのDOHCエンジンを操ってみて、表面的な艶やかさではない、エンジンとしての素性に宿るトヨタの良心のようなものを垣間みたとき、日本人のクルマ好きとして、今まで見落としていたものの大きさにつくづく猛省した次第です。何かのような、ではなく「トヨタのやり方」のもつ説得力を感じさせるクルマに仕上がっていました。

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試乗の後、お店に戻り、アウトレーヴで話しをしていると、お店のカラーとは違うものの「多くの人が記憶しておくべきキャラクター」を持ったこのクルマの処遇について、実に悩ましそうにしているのも印象的でした。コンディションのよいシトロエンBXが入って来たとき、シムカの程度と価格のバランスを見極めるときのように「やはり悩ましい問題を抱えたカローラ」だということは間違いないようなのです。

決して「ルノーのよう」でも「フィアットのよう」でもない、さっぱりとして、からっと仕上がった「トヨタの風合い」を見せつけられたような気のする体験。2015年はしかし最後の最後まで収穫の一年でした。なんだか来年はもっといいことがありそう。根拠はないのですが、これもそんな予感を後押しする体験の一つに加えたいような「ちょっと一回り」には違いないでしょう。

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中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し、その後大型展示場のオープン準備から、展示在庫の目視選定業務に従事した。そのころ企業Facebookページでの在庫車に関する紹介や、クルマで出かける旅行コンテンツなどを担当。その後フリーランスライターとして活動現在に至る。クルマの売り買いの経験から、ドライブを通じてクルマの魅力楽しさを紹介することをライフワークとしている。車選び.com ,NAVI CARS他で執筆中。「クラシックカー美女」テキスト担当●温泉ソムリエ●一級小型船舶操縦免許

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