大学生の頃からの憧れ「ポルシェ911ターボ」オーナー、岩岡秀明さんへインタビュー

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最新のポルシェ911ターボに乗っている現役ドクターのインタビュー・・・。

お会いするまでは正直いって「怖い方だったらどうしよう・・・」と心配でした。何を隠そう、筆者が幼少期に入院した病院の先生がとても怖い方で、いまだにトラウマとしてそのときの記憶が残っているのです。いまにして思えば、人生初の入院で、はしゃぎすぎた筆者に原因があったような気が・・・。それはさておき、オーナーさんとお会いした数秒後には、その心配は杞憂であったと安堵することになります。

「おはようございます。いやあ、今日はいい天気になって良かったですね!」

岩岡秀明 ポルシェ911
▲内科医の岩岡秀明さんと、2015年式ポルシェ911ターボ(991型)

待ち合わせ場所に、颯爽と純白のポルシェ911ターボで現れた岩岡秀明(いわおか・ひであき)さん。鮮やかなブルーのセーターがお似合いの岩岡さんは、笑顔が素敵な紳士だったのです。考えてみれば、岩岡さんは現役バリバリのドクター。患者さんに緊張感を与えるような方では務まりません。しかし、いざ仕事の話しになると、温和な岩岡さんが「岩岡ドクター」へと変貌を遂げます。

── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲高速道路で背後からこのクルマが迫ってきたら、思わず道を譲ってしまいそうです

岩岡秀明と申します。現在60才。生まれは浅草、つまり江戸っ子です。大学が千葉県にあったので、それ以来この地に暮らしています。仕事は内科医であり、詳しくは糖尿病内分泌内科といいます。2002年より、船橋市立医療センターという病院に勤務しています。医師として勤務している他、市民の皆さんや、他の分野の医師に向けた糖尿病に関する講演を行ったり、書籍の出版やWebサイトに記事を寄稿したりしています。

── 小さいころから医師を目指していたのですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲ポルシェ911ターボ(991型)のボディサイズは、全長×全幅×全高:4506×1880×1296mm

いえいえ。勉強して弁護士になろうと思っていた時期もありました。実家が開業医を営んでいたので、医院を継がないまでも、医師になるのは使命に近いものがあったかもしれません。しかし、私は手先が不器用なので、外科医ではなく内科医の道を志しました。さまざまな選択肢があるなかで、当時から糖尿病に関する知識を深めていきたいという思いがあり、この仕事に就いています。それに、弁護士は人間と争いますが、医師は病気と戦いです。患者さんと本気で向き合い、2人3脚で病気を克服するこの仕事に、誇りとやり甲斐を感じています。

── 医師というと、心身ともにかなりハードなお仕事というイメージがありますが・・・

岩岡秀明 ポルシェ911
▲背後から見たとき、よりターボボディ特有のグラマラスなフォルムが強調されます

私は24才で医師になりました。月に何度か当直があり、朝になればそのまま外来患者の診療という生活を30年ほど続けてきました。外科医ほど頻繁ではありませんが、休暇中に呼び出されることもしばしば。週末に休むようになったのはつい最近のことです。

これは2012年時点でのデータですが、いまや糖尿病は、予備軍も合わせると日本人の6人に1人の割合です。さらに、40才以上だと3人に1人。この調査は5年ごとに行われるので、次は今年です。この割合がさらに増えている可能性もありますね。それだけに、専門医として少しでも啓発活動を行っていきたいと日々活動しています。

糖尿病は見過ごしてしまうケースが多いだけに、勤めている会社の健康診断や、自営業の方は人間ドックなど、定期的な検査を必ず受けてください。クルマだって、定期的なメンテナンスを受けてこそコンディションを維持できるのですから、生身の人間であればなおさらです。

●必読!岩岡ドクターによる、糖尿病に注意した方がいい方
□親族に糖尿病を患った方いる場合
□ストレスが溜まる仕事
□体重が二十歳頃より10%以上増えている方
□生活が不規則
□偏った食生活(脂っこいものが好きな方も要注意!)
□糖尿病予備軍も要注意!(血糖値を測れば分かるそうです)

岩岡秀明 ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック
▲岩岡ドクターが執筆した「ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック Ver.3」。糖尿病専門医が一般の医師・医療者向けにまとめた専門書です

岩岡秀明 ポルシェ911
▲糖尿病をあらゆる観点から考察している内容は、専門外のドクターにも心強い存在となるはず

── 岩岡さんのこれまでの愛車遍歴を教えてください

岩岡秀明 ポルシェ911
▲このスポイラーやエアダクトは、911ターボオーナーだけが手にすることができるフォルム

学生時代に、日産スカイライン2000GT(ケンメリ)を手に入れたことを皮切りに、マツダ サバンナRX-7(初代)やホンダ アコード、日産スカイライン、三菱ディアマンテなどを乗り継ぎました。現在は、991型と呼ばれているポルシェ911ターボ、先日納車されたアバルト124スパイダー、それとBMW430グランクーペMスポーツを所有しています。

── 初の輸入車は何だったのですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲高速道路では、ただただこの後ろ姿を見送るしかありません

BMW525i(E34)です。元々ドイツ車は好きでしたから、無理して手に入れたとはいえ、嬉しかったですね。以前、メインカーとして所有していたスカイラインに乗っていたとき、追突事故に遭遇したんです。ガソリンタンクがトランクの下にある構造だったので、追突された弾みでクルマが炎上。幸い、私を含めて家族に怪我はありませんでしたが、安全なクルマに乗ろうと思った瞬間でした。

その後、メルセデス・ベンツE320(W210およびW211)を乗り継いだんです。この2台で通算12年くらい乗りましたね。気づけば私も50才になっていました。そんなあるとき、友人から「先生もメルセデス・ベンツでアガリですね」といわれたんですね。『冗談じゃない!このまま終わってたまるものか!』と、私の反骨精神がメラメラと目覚めたのです。2人の息子たちも成長しましたし、これまで仕事も頑張ってきたという思いもありました。私は「ザ・フー」という、UKロックが大好きなのですが、50才になったし、そろそろロックなクルマを選んでもいいのではないかと思いたち、V10エンジンが搭載されたBMW M5(E60)に乗り替えたんです。

── いきなりV10のM5ですか!50才を転機に、一気に弾けたんですね

岩岡秀明 ポルシェ911
▲ターボのタイヤ/アルミホイールは20インチが標準。ポルシェは常に新しく、そのクルマにベストなデザインを提案してきますね。タイヤサイズは、フロント:245/35ZR20、リア:305/30ZR20

そうですね。一気に弾けました(笑)。このM5はV10エンジンが奏でる音も最高でしたし、同じドイツ車といえど、通常のモデルでは味わえない世界を知ることができました。そして、いよいよ長年の憧れだったポルシェ911に乗り替える決意を固めたんですね。

── ポルシェ911に対する憧れはどれくらい前からだったのですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲いつの時代も、ポルシェ911ならではのフォルムは永遠であり、不変です

大学生のころからです。つまり、20代前半ですね。当時は六本木に通い詰めていたライブハウスがありましたし、ディスコにも行きました。いまはアウディのディーラーになってしまったけれど、当時、飯倉(港区六本木)の交差点にポルシェのショールームがありまして、ここを通るたびにいつかオレもポルシェを手に入れたいなあと思ったものです。

医師というと高給取りのイメージがあるかもしれませんが、私は勤務医です。父親として結婚して妻と2人の息子を養っていかなければなりませんでしたし、何より医師という仕事を必死にこなしてきました。50才を機にふと立ち止まったとき、忘れかけていたロック魂が再び目覚め、長年の憧れだったポルシェ911が、もしかしたら現実になるかもしれない・・・ということに気づいたんです。

私は、空冷/水冷の911にはこだわりはないけれど、ティプトロニックはどうも抵抗があったんですね。そうしたら、ちょうどいいタイミングでPDKに置き換わった。セールスの勧めもあり、最初に乗る911は、安定している4WDがいいということでカレラ4を、そして、どうせならばグラマラスなボディが魅力的なカレラ4Sを手に入れることにしたんです。

── 念願のポルシェ911オーナーですね。それからは911一筋ですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲内装はシンプルなブラックレザー。ミッションは7速PDK

いえいえ。実はもう1度BMWの世界に戻りました。同じくやはり憧れの存在だった、アルピナB5(F10)を手に入れ、その後はBMW M6クーペ(F12)と乗り継ぎました。しかしやっぱり、911の存在が気になってしまうんです。ちょうど、997型から991型へモデルチェンジしたタイミングだったこともあり、ポルシェ911カレラSに乗り替えました。後期モデルではカレラ系のエンジンにもターボが積まれましたよね。最後のNAエンジンを搭載したカレラを所有できてよかったといまでも思いますね。

── そして、いよいよターボですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲タコメーターには「turbo」のロゴが。スピードメーターも、カレラ系の330km/hに対して、ターボは350km/hまで目盛られます

そうです。あるとき、年上のドクターと食事する機会があり、お互いクルマ好きということで会話も弾みました。その方が、911ターボカブリオレを手に入れたと仰ったんですね。ここでまたもや私のロック魂に火がついてしまいました(笑)。よし!オレもターボに乗ってやる!そう思って、カレラSからターボ乗り替える決心をしました。契約してから7ヶ月ほど待ちましたが、このターボが納車されたときは嬉しかったですね・・・。

── こうして手に入れた911ターボを手に入れて良かった点、苦労している点を教えてください

●手に入れて良かった点
もう、すべてです。学生時代から憧れていたポルシェ911、それもターボを手に入れることができたんですから・・・。日常の足としても申し分ないですし、いざアクセルを踏み込めば異次元の加速が味わえます。それでいてロングツアラーとしての快適性も兼ね備えている・・・。燃費は、街乗りで6km/l台、高速で10km/l台というところでしょうか。まさに究極のオールラウンダーかもしれません。

岩岡秀明 ポルシェ911
▲この個体はオプションのスポーツクロノパッケージを装備

●苦労している点
ないです!トラブルもありません。しいていえば、オイルの消費が早いので、継ぎ足すことくらいでしょうか・・・。
岩岡秀明 ポルシェ911
▲エンジン本体がカバーで覆われて見えない991型の911ターボ。3.8Lツインターボエンジンは、520psをたたき出すハイパワーマシンなのです

── 予算抜きで、欲しいクルマBEST3は?(アガリの1台も含む)

3位:メルセデスAMG SL 63
名車であるメルセデス・ベンツ300SLに敬意を表して・・・。そして1度はAMGにも乗ってみたいです。

2位:アストンマーティン DB11
イギリスを代表するスポーツカーにも乗ってみたいです。そして乗るなら、やはりボンド・カーですね!

1位:マクラーレン570GT
最新のスーパースポーツカーであるマクラーレン。フェラーリやランボルギーニをも脅かす存在なので、1度は乗ってみたいです。UKロック好きだけに、イギリス車を2台選んでいますね。

アガリの1台:ポルシェ918スパイダー
ニュルブルクリンクサーキットのラップタイムが6分58秒という、圧倒的なパフォーマンスと、30km/lという驚異的な燃費を両立させた、まさに次世代のHVスーパーカーだからです。

── 岩岡さんにとって、愛車はどんな存在ですか?

岩岡秀明 ポルシェ911
▲0-100km/hを3.2秒フラットで掛け抜け、最高速度は320km/hという性能を誇ります

「人生にとってかけがえのない存在」です。そして、家族の次に大切な存在でしょうか。いくつになってもロック魂を忘れず、このターボで駆け抜けていきたいですね。あっ、もちろん安全運転ですよ!

── 番外編:愛用している腕時計も見せていただきました

岩岡秀明 ポルシェ911
▲ポルシェ純正品の腕時計である「クロノグラフ ブラックエディション」モデルを愛用

岩岡秀明 ポルシェ911
▲ポルシェ911のフォルムを連想させるキーがお気に入りとのことです

── 補足:医師として重責と使命をまっとうするロック魂を秘めた岩岡さんにお会いしてみて

岩岡秀明 ポルシェ911
▲憧れを現実に・・・。それは決して楽なことではないのですね

今回、岩岡さんにお会いしてみて「医師として責任の重さ」を改めて実感しました。岩岡ドクター曰く「私は不器用だから」と内科医の道を選んだそうですが、常に大勢の患者さんの気持ちに寄り添いつつ、ときには厳しい診断結果を伝えなければならないこともあるはず。ましてや「すみません。間違えました」が許されず、常に正確な判断、完璧さが求められる世界でもあります。これほど逃げ場がない(許されない)仕事に真正面から取り組んできた岩岡さん。もちろん、それを筆者に愚痴るわけでも、ましてや吹聴するわけでもなく、決して多くは語らないけれど、当然の役割として果たしてこられたある種の使命感のような気迫を感じました。

岩岡さん、いや、岩岡ドクターにとって、憧れだった911ターボで移動する時間は、日常生活におけるかけがえのない時間だということが少しずつ分かってきました。

── オーナープロフィール:

岩岡秀明 ポルシェ911
お名前:岩岡秀明さん
年齢:60才
職業:医師(内科医)
愛車:ポルシェ911ターボ(991型)
年式:2015年式
ミッション:7速PDK
※その他、アバルト124スパイダー および BMW430グランクーペMスポーツ(F36)を所有

【アサヒ・コム 連載記事:よくわかる糖尿病の話】
岩岡ドクターは、現在アサヒ・コムで「よくわかる糖尿病の話」という記事を連載中です。日ごろ、不摂生な生活を自覚しつつも、目を逸らしている方、ぜひこちらのURLをブックマークしてみてください
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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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