車好きが集う隠れ家カフェ「カノカレかふぇ」のオーナーが、ダットサンフェアレディを購入した話

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以前、CLでも紹介した、麻宮騎亜原作のカーライフ漫画「彼女のカレラ」をモチーフにした喫茶店「カノカレかふぇ」を覚えておられるでしょうか?名古屋市近郊のクルマ好きの間では隠れ家的カフェとなっている同店ですが、オーナーの後藤さんが最近、ダットサンフェアレディを購入したと聞いたので、お話を伺ってきました。

▲カノカレかふぇに行くたびに軒先でDIYレストアをしている「野良レストアラー」の筆者はこのガレージを指をくわえて見ていることしかできません

フェアレディSRとは

何度も生産中止の危機を繰り返しながらも、現在まで日産のフラッグシップモデルのスポーツカーとして君臨するフェアレディZの前身となったモデルです。

戦後、自動車生産を再開した日本の自動車メーカーの中でも、日産は1952年に早くもダットサンスポーツDC-3を発表。しかし、トラックのシャシーに乗用車のボディを架装するのがやっとの日本の自動車メーカーにおいて、多分に漏れずDC-3もトラックのシャシーと旧態化したサイドバルブエンジンにスポーツカーのボディを架装したとあって、手本となったMGの戦前型モデルにも及ばない性能で、生産台数も50台に終わりましたが。戦後の混乱期が収束に向かいつつあるなか発表された2シーターのロードスター型のDC-3は「国産車初のスポーツカー」とも言われています。

▲ダットサンスポーツDC-3

その後、北米に販路を求めた日産は、当時スポーツカーの需要が高まりつつあった北米向けの商品として、1959年に211型ダットサン1000のシャシーにFRP製のスポーツカーのボディを架装したダットサンスポーツ1000を北米のみ20台テスト販売。そして1960年に1200ccエンジンを搭載したダットサンフェアレデー1200を発表。「フェアレデー」の由来は川又克二社長が渡米した際に感激したブロードウェイミュージカル「マイ・フェア・レディ」に由来しているのはよく知られた話です。

フェアレデー1200はSPL212、マイナーチェンジ後はSPL213とL(Left)型式にLの文字が入る事でもわかる通り、左ハンドルの北米専用車種でした。

セダンモデルがP310型ダットサンブルーバード(通称柿の種テール)に移行したことで、1962年にスポーツモデルもSP310/SPL310に移行。国内でも販売され表記も「ダットサン・フェアレディSP1500」となり、エンジンも国内外両モデルに輸出用の1500ccエンジンが奢られます。一説には、このダットサンSP310にレース用の試作エンジンを搭載したテストカーが公式に記録に残る日本ではじめて200km/h突破したクルマであり、後のニスモ初代社長「難波靖治」が日本人ではじめて200km/hを記録したドライバーとも言われています。

1965年に1600ccエンジンのSP311/SPL311型「ダットサン・フェアレディSP1600」となり、1967年には追加モデルという形で今回取り上げる、310系フェアレディ最強モデルSR311/SRL311型「ダットサン・フェアレディSR2000」となります。エンジンはU20型直列4気筒SOHC1982cc、国内仕様はソレックス、輸出仕様はメンテナンス性を考慮したSUキャブレター、最高出力は145PS/6000rpm。最高速度は国産車初の200km/hを突破した205km/hを記録します。とはいえ、1960年代末期ですでに旧態化した310型ダットサンのラダーフレームシャシーに2Lエンジンを載せ、最高速度200km/hを超えるスポーツカーを売り出した当時の日産も随分無茶な事をしたものだと思うのですが…

また、軽量なボディにハイパワーなエンジンを搭載したフェアレディSRの1/4マイル加速15.4秒は当時、国内最速でトヨタ2000GTやスカイラインGT-R、後のS30型、S130型フェアレディZにも破られることは無く、オイルショックや排ガス規制によるパワーダウンもあり、国産車では1980年代半ばまで長らく破られることは無かったという逸話もあります。

▲このブルーバードに魔改造を繰り返して、ついには200km/h超えるハイパフォーマンスカーに仕立て上げたと思うと随分無茶な事をしたものだと…

CL 鈴木:後藤さんといえば「カノカレかふぇ」のオーナーだけにやっぱりポルシェをはじめとする輸入車のイメージが強いのですが、なぜまた国産クラシックのフェアレディSRLに?

後藤:以前MG-ミジェットのMK-ⅢルックのMK-Ⅳ乗っていたのですが、もっと古いのが欲しいと思ったところでちょうど逆輸入車のフェアレディSRを売却したいという話があって譲り受けました。

CL 鈴木:女性には1960年代の国産スポーツカーというと扱いが大変では、と余計な事を思ったりもするのですが乗ってみていかがですか?

後藤:フツーのクルマでしたよ(笑)。たしかにパワステの無いクルマには慣れてないのと夏に納車だったのでエアコンが無くてしばらく乗れなかったというのはありますが、キャブの扱いは余裕でした。

▲1960年代の日産の乗用車に広く使われた、H20型OHVエンジンをベースにモータースポーツ用にOHC化したU20型エンジン。国内仕様はソレックス、輸出仕様は整備の簡易なSUキャブレターとなる

後藤:あと、シートの表皮もオリジナルでヘッドレストも純正が残っている個体は入手困難なんですよ。

▲あまりに綺麗な内装で張り替え済みかと思ったら新車当時のフルオリジナル内装!

後藤:暑いからと言ってクーラーを後付けするのは「邪道」なんでしません(苦笑)。このままフルオリジナルを保って、壊れている水温計もこれからゆっくり直していこうと思ってます。購入してからナビの取り付けは自分でしました。最近はガラス管ヒューズを置いている店が少なくなってガラス管ヒューズを100本単位で買い込みました。

CL 鈴木:苦労している点はありますか?

後藤:幌を外すことが難しいですね。幌が古くて硬くなって一人では外すことも付けることも難しくて、ハードトップにしてしまおうかと…やっぱり昔のクルマは何をするにも苦労しますね。ただ、ポルシェシンクロが調子よく決まって、1速ノンシンクロのMGよりスパスパ決まるのが良いですね。

▲本当は、幌を下ろした状態の姿も見たかったのですが生憎、幌が縮んで引っ張ってもビクともしない状態でした

▲英国のスポーツカーに倣った、縦に並んだ小さな丸テール、よく見ると1950年代にアメリカで流行ったテールフィンの名残(?)も…

CL 鈴木:拘りの点はどこですか?

後藤:フルオリジナルに近づけるために後付けされていたオーディオは外しました。生憎オリジナルのラジオは鳴らないのですが(苦笑)。

▲知る人ぞ知る、ダットサンフェアレディの縦置きラジオ。音は出ない物のイルミは光るとのこと

▲Fairlady(淑女)の名とは裏腹にスパルタンな内装、ちなみに北米では「スポーツカーに女性的なブランド名では受け入れられない」というアメリカ日産初代社長のMr.Kこと片山豊の判断から「DATSUN 2000」の名で販売される

CL 鈴木:予算抜きで欲しいクルマはなんですか?

後藤:
3位 ベントレーコンチネンタルGT
2位 ランボルギーニ・ミウラ
1位 ペネロープFAB1(笑)

CL 鈴木:アガリのクルマはなんですか?

後藤:アストンマーティンDB5。もちろん、ボンドカーレプリカでイギリスの古城と一緒に買いたいですね。

CL 鈴木:最後に後藤さんにとって愛車とはどんな存在ですか?

後藤:ハンドバッグやアクセサリーのような感じですね。可愛いクルマじゃないとだめです。外装も内装も赤いクルマとか好きですね。ポルシェみたいに丸目のクルマとか。

男性にとってもクルマ、腕時計、万年筆といえば女性でいう宝石やハンドバッグの様なアクセサリーに相当するといいますが、後藤さんのクルマをアクセサリーのようにとっかえひっかえ乗るという発想には男としてお株を奪われた気にすらなりました。

週末限定の営業ですが、名古屋にお立ち寄りの際はぜひ、「カノカレかふぇ」にも足を運んでください。

【取材協力】
カノカレかふぇ
住所:愛知県名古屋市昭和区石仏町2丁目25
公式サイト:http://kanocarecafe.com/
Facebook:https://www.facebook.com/kanocarecafe/

[ライター・画像/鈴木 修一郎]

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鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシックカー。免許取得後念願の昭和44年型スバル360スーパーDX購入、その後昭和48年型トヨタセリカLB2000GTを購入し現在も所有、今気になるのは縦目以前のオールドメルセデス。普段、普通の会社員をしつつ、休日は購入から20年近くたったスバル360のDIYレストアに挑戦中。実車のほかカーモデルやスロットカーも嗜み、最近はフルスクラッチで市販キットでモデル化されていない車種も製作。プロフ画像は最近完成したタミヤ1/12Gr.5セリカLBターボのラジコンボディをベースに市販車仕様に改造し自分の愛車を再現した初期型セリカLB2000GT。いつかはドイツに移住し愛車のセリカLBでヒストリックナンバーを取得しアウトバーンを走るのが夢。

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