ランボルギーニのレースにフル参戦中の根本悠生氏(23歳)が、eスポーツの世界で目指す領域とは?

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「eSports領域との相乗効果で、モータースポーツを盛り上げたいんです」

そう語る根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦する、世界を舞台に戦うプロレーシングドライバーだ。

その傍ら、グランツーリスモやiRacing等をはじめとするレーシングシミュレーターのユーザーが集まるコミュニティ「Esperto – eRacer部」の部長を務めている。

「いまeSportsの波ってすごい勢いで拡大していて、e-Motorsportsは、もはや実車のモータースポーツの下のピラミッドではなくて、別のピラミッドとして確立しているんです。そこで相互作用を起こして、垣根を取り払って総合的なひとつの大きなピラミッドにしたいと思っています」

リアルのプロドライバーである根本がeSportsの世界に注目し、それを全力で育てようとしているのはなぜなのか。その真意に迫ってみた。

根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦

▲レーシングドライバーの根本悠生氏。これからのeSports領域への展望について熱く語ってくれた

■Esperto – eRacer部とは?

根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦

▲eRacer部の2019年忘年会の様子。シムレーサーが30名以上集結し、レースを行った

そもそもeRacer部とはどのようなコミュニティなのだろうか。

近年、eSportsという新分野のスポーツが注目を浴びていることは周知の事実だろう。そしてモータースポーツの領域においても、iRacingやグランツーリスモSPORTが公式世界大会を開催するなど、いまやレースゲームの領域を超え、誰もがモータースポーツとして楽しむ時代に突入している。

他にもrFactorやAssetto Corsaなどの本格的シミュレーターがあるが、日本ではまだまだニッチな領域であり、「他のプレイヤーとレースがしたいけど、相手が見つからない」「実車で走るためのトレーニングとして使うにはどうしたらいいんだろう」といったプレイヤーが多いのも事実。

それらを解決するコミュニティがeRacer部である。eRacer部にはシミュレーターのトッププレイヤーやリアルのプロレーサーなど、さまざまな「eRacer」が参加している。そこでお互いの疑問を解消したり、切磋琢磨して技術を磨くことができるのだ。

eRacer部は、全国各地のシミュレーターショップやコンピューター関連機器メーカー、メディア等、e-Motorsportsに関わる様々な団体と提携を結び、急速に勢いをつけている。

根本氏はeRacer部の活動を通してe-Motorsportsの領域を盛り上げ、モータースポーツの可能性をさらに拡げようと考えているのだ。

■根本氏が気付いた、リアルとシムの狭間の「歪み」

根本氏がeRacer部を立ち上げようと思った経緯はどのようなものなのだろうか。

彼はリアルのプロドライバーであり、シミュレーターもトレーニングに取り入れている。いわば、リアルだけでなくシム(シミュレーター)にも精通しているドライバーなのだ。

「そもそも僕は根っからのゲーマーだったんですよね。下校してトレーニングが終わったら帰宅して、そのまま朝日が昇るまでゲームをやってましたね」

レースゲームだけでなく、レインボーシックスシージなどのFPS(ファーストパーソン・シューター)ゲームもやっていたという。

そのうち、FPSをはじめとする様々なゲームタイトルで世界規模の大会が開かれるようになり、いわゆる「プロゲーマー」が出現しはじめた。そんななか、当時FIA-F4ドライバーであった根本氏は、eSportsのなかでもモータースポーツの分野が出遅れていたと考えた。このとき根本氏は20歳であった。

「レースゲームで賞金の懸かった世界大会とか、純粋なeRacerはいつ現れるのかな?と静観してましたね」

根本氏はモータースポーツの本場・ヨーロッパでレースに出場し、過酷な競争が繰り広げられるような厳しい環境でモータースポーツを学んでいた。その一方で、グランツーリスモをプレイして「これって結局、リアルのレースと同じじゃない?」と思ったという。

「リアルのレースでヨーロッパ人とレースしていると、彼らはめっちゃ速いです。僕はヨーロッパの選手をリスペクトしています。僕にとってはもちろんのこと、業界でもスター的な存在なんですよ。それと同じで、グランツーリスモでもトッププレイヤーはめちゃくちゃ速いし、僕はどんなに頑張っても勝てないんですよね。僕はヨーロッパの選手もグランツーリスモのトッププレイヤーも同様にリスペクトしています。しかし、世間ではシムレーサーがあまりかっこいいと賞賛されていないなと思ったんです

しかし、どちらもやることは同じで、アクセルとブレーキとクラッチ、ステアリングを動かして競争する。与えられた道具で速さを競うという部分は本質的に同じなのに、リアルじゃないというだけでシムのドライバーが下に見られているのがおかしいし、嫌だと思ったんです」

根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦

▲根本氏は、プロレーサーと同様にシミュレーターの世界のトップドライバーに対してもリスペクト(尊敬)している

■シムのトッププレイヤーは、リアルのプロレーサーと並べる

フォーミュラトヨタ・レーシングスクール(以下、FTRS)を首席で卒業した根本氏は、FTRSでメンタルトレーニングの重要性を学んだ。彼によれば、何事もセルフブランディングと強いメンタルができれば怖いものはないという。

「シムレーサーが実車をいきなり乗りこなせないのは、『クルマを壊したらいけない』といったメンタルの面の問題であって、プロレーサーと同じくらい速く走れるポテンシャルは絶対にあると思っています」

ドライバーとして心理を鍛え、自分を律することが競争力につながるのだ。

根本氏がそのような勉強ができたのは、ジュニアフォーミュラやFIA-F4といったカテゴリーへの参戦のおかげである。

「ジュニアフォーミュラってお金のかかる習い事なんですよ。年間800万とか払って、レースや勉強をしてステップアップしている。構造だけに着目すると、ピアノとかサッカーと一緒なんです。ただ、授業料が高すぎて、参入ハードルが高すぎる。レースってそういうものだから仕方ないんですが、そこをなんとか解決したいと思ったんです」

たしかに、もしもレースカテゴリーへの参戦費用が現在の10分の1ぐらいであれば、レーサーを目指す人はもっと増えるであろう。今は諦めている人の中にも、レーサーになるポテンシャルを秘めている人が多いかもしれない。

「もっと可能性ある人っていっぱいいるはずなんですよ」

その課題を解決したいと思って立ち上げたのが「eRacer部」というコミュニティである。

■シムレーサーが「僕はeRacerです」と堂々と言えるようにする

根本氏はこれまで、イタリアのGTカーレースやアジアのシリーズに参戦するなど、世界を舞台に戦ってきた。遠い異国の地で熾烈な競争の中で戦っていられるのは、ファンの方々に支えらえられているおかげであり、そのありがたみを感じているという。

「僕も海外でレースをしていますが、海外まで応援しに来てしてくれるファンがいて、そういった方々に心を支えられています。そのお陰で自分以上のパフォーマンスで恩返しができて、その循環がどんどん大きくなっていくんです」

根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦

▲根本氏はランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジアに参戦し世界を舞台に戦っている

その一方で、eRacerからはファンの存在が見えづらいということがもったいないと感じているという。

「GTSのグランドファイナル決勝で優勝した宮園さん※も、レース終了後に自立ができないぐらい疲労困憊だったんですよ。それぐらいeSportsは精神力を使うスポーツなんですよね。だからもっと盛り上がってほしいし、eRacerにはファンの存在を感じてほしいと思ったんです」※2020年2月16日にシドニーで行われた、グランツーリスモSPORTの公式大会の決勝戦。宮園選手は地元選手との死闘を制し、見事に0.032秒差で優勝を勝ち取った

eRacer部では、所属プレイヤーのブランディングを通じてシムレーサーが堂々と「eRacer」を名乗り、プロとして自己投資していけるような、そしてファンにとってもメリットがあるような仕組みを作っていきたいという。

■モータースポーツにとって、今こそがeSportsの知見が必要なタイミング

根本氏がいまeRacer部を立ち上げているのは、モータースポーツにとって今が必要なタイミングだからだという。

「モータースポーツが徐々に盛り上がってきているとはいえ、富士スピードウェイに15万、20万人と集客することはキャパシティの関係上難しいです。しかもサーキットに行くにはアクセスや交通費の障壁がある。これを打破するために、eSportsで育んだ知見が活きてくると思います。その場にいるかのような臨場感とか、生配信によってレースの状況がわかるようになる。モータースポーツにとっても、eSportsを伸ばしていくことが必要なんです」

根本悠生氏は、「ランボルギーニ・スーパートロフェオ・アジア」にフル参戦

▲根本氏は自宅に本格的なシミュレーターマシンを設置し、レーシングドライバー向けのコーチングやドライバーマネジメントの事業も行っている

■まとめ

根本悠生氏は、現役プロレーサーでありながらeSportsの領域にエネルギーを注ぐ唯一無二の存在であろう。根本氏自身はリアルレースのドライバーでありながらも、シミュレーターのトップドライバーのファンでもあるからこそ、リアルとシムの間にある「歪み」を発見することができた。

「実車の世界とシムの世界が相互作用して、ドーンと盛り上がるのがいちばんかっこいいじゃないですか。僕はそれを実現していきたいです」

eRacer達がリアルのレーサーと肩を並べ、プロとして堂々と胸をはって生きていけるように。そしてモータースポーツの未来のために、これからもコミットしていくであろう。

レーシングドライバー・根本悠生氏のさらなる飛躍は、今後も要注目であることは間違いない。

■根本悠生氏オフィシャルサイト
http://www.yukinemoto.com/

■Esperto –eRacer部
https://eracerclub.com/

■合同会社ボーダーレース
https://borderless-motorsports.com/

[ライター・カメラ/長尾 孟大]

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長尾孟大

都内に住みながら一年間に2万キロ以上を走るクルマ好きの24歳、ドライビングスキルの差が顕著にでるカートにのめり込み昨年からチームを結成し通年の耐久レースにも参加している。クルマにのめり込む中で、若者のクルマ離れに対して強い危機感を持ち、現在は会社の立ち上げを行う傍らで、クルマではなくカーライフの魅力発信をコンセプトに映像作品を発信するCARKICHI(https://www.carkichi.com/)の運営を行っている。

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