敢えていおう!イマであると!日本車のパーツ再生産が本格化することを願って

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若いころにはどう背伸びしても手の届かなかった憧れのクルマ・・・。それがようやく念願のオーナーとなって喜びを噛みしめたのもつかの間、今度は維持費という名の新たなハードルが目の前に立ちはだかります。これがかなりの曲者で、オーナーの心を折れさせるべく、ありとあらゆる手段を講じてきます。

日常の足としては使うにはちょっともったいないし、気づけば何だかやたらと気を遣う。錆を気にして雨の日は乗らない(乗れない)、追い打ちを掛けるように、年に一度の増税された自動車税・・・。そして純正部品の確保と高騰・・・等々。まるで踏み絵の如く、本気度を試されているかのようです。そんな筆者も、かつて念願のクラシックカーを手に入れたまではいいものの、前述のプレッシャーに耐えきれずに泣く泣く手放した・・・という、苦い経験があります。

何はともあれ、まずは日産とニスモ、サプライヤーの英断に拍手を!!

gt-r ヘリテージ・パーツ・プログラム

これだけ市場が騒いでいるわけですから、自然な流れでメーカーの関係者の耳にも入らないわけがありません。オフィシャルな会議の場で、あるいは昼食や居酒屋での雑談だったとしても「絶版車の再生産、確かに何とかならないものかね?」といった議論が交わされていたに違いありません。そして、今回の「ヘリテージ・パーツ・プログラム」。日産の英断には「ついにやってくれたか!」と、R32GT-Rオーナーはもちろん、それ以外の方も拍手喝采だったのではないでしょうか。これまで、オーナーやショップが地道に下支えし、それも限界が近づいてきている・・・。「もういい加減、何とかしてくれ!!」そんな市場の声が、ついに自動車メーカーを動かした事例といって良いと考えます。他でもないR32GT-R純正パーツの再生産をメーカーが発表してくれたのですから。

R32 GT-R 再生産 ヘリテージ・パーツ・プログラム

メーカーの規模や取り扱っている車種など、同じ目線で比較するのは・・・と思うところもありますが、過去に生産されたクルマのレストアや、パーツの再生産など、すでに取り組んでいる自動車メーカーも存在します。

●一例(日本車メーカーも含む/*印は日本でも対応可能なもの)
・メルセデス・ベンツ:ヤング・クラシック リフレッシュプログラム*
・ポルシェ:ポルシェ クラシック*
・フェラーリ:フェラーリ クラシケ*
・ランボルギーニ:ランボルギーニ ポロストリコ
・ボルボ:KLASSISK GARAGE(クラシックガレージ)*
・GM:パーツ供給会社の指定
・ホンダ:NSXリフレッシュプログラム
・マツダ:ユーノスロードスター純正部品再生産予定

しかしいくら市場が「再生産してくれ!」といっても簡単なことでは・・・

R32 GT-R 再生産 ヘリテージ・パーツ・プログラム

しかし、それほど簡単にコトは進みません。いち企業としてプロジェクトを立ち上げ、管理運営していくことはもちろん、ビジネスとしても利益をあげなければなりません。その取組みの成功事例が契機となり、他のメーカーにも波及していくことだってあるでしょう。しかも、自動車のパーツの生産は社外のサプライヤーが行っていることが大半です。いくら自社で「再生産するぞ!」と声を挙げても、サプライヤーの協力なしでは成り立たないのです。また、当時最先端の技術の粋を結晶・・・がうたい文句だったクルマは、その時代と同じ技術を「逆スライドして」再現する必要だって充分にありうるのです。最近のドイツ車、特にメルセデス・ベンツやアウディなど、メーターパネルそのものが液晶パネルということもあります。20年後、30年後にレストアを試みようとしたとき、パーツの確保はどうするのか、蛇足ながらちょっと気になってしまいます。

旧車乗りの頼みの綱はヤフオク?

仕事柄、これまで何台もの日本車の旧車オーナーさんを取材させていただきました。取材を進めていくうちに、自然と純正パーツの確保について話しが及びます。例えば2,30年のキャリアを持つ日本車の旧車オーナーさんであれば「パーツが残っているうちに買っておいたんだよ。気づいたら一部屋どころか倉庫を占拠してた。部品だけでも1台くらい組めるんじゃないかな」と仰る方がいます。中には「自分用、予備、同じクルマを持つ友人(が困ったときのため)」の3つをストックしているという強者も・・・。

しかし、長年憧れ続けた末、つい数年前にようやく若いころに憧れたクルマを手にした方の場合は「とにかくパーツがありません。頼みの綱はヤフオクです」がもはや定型文のようになっていることに気づきました。純正部品はとうの昔に欠品・廃盤となり、ヤフオクを使いこなすためにパソコンを勉強したという、執念すら感じられる方もいたほどです。筆者も、1991年式のユーノス ロードスターを2011年に購入しましたが、この時点ですでに20年選手。欠品パーツもちらほら。それでもロードスターを介して知り合った友人・知人の皆さんから「ウチらはまだ恵まれている方ですよ」と教えてもらったほどです。困ったときは誰かが必ず相談に乗って力を貸してくれる。ありがたいと当時に、これこそが古いクルマを持ち続ける大事なモチベーションだと悟ったのもこのときでした。

純正部品の欠品と高騰。有志でパーツを造り上げる強者も・・・

R32 GT-R 再生産 ヘリテージ・パーツ・プログラム

まだまだ純正部品は出る(入手できる)からといって安泰ではありません。価格改定があり、年々、価格が上昇している現状も無視できません。メーカーにとっては、現行モデルや先代モデルなどのパーツのストックに加えて、はるか昔に生産を終了したクルマのパーツを維持・管理・保管していくことになるわけですから、最終的にその手間は価格代へと反映されることになります。「淡い夢を壊すな!」と怒られそうですが、これは避けて通れないことでもあります。それに、いくら店頭で「ワンオーナー、車庫保管、全ディーラー整備」の超極乗車として売られていた個体だったとしても、経年劣化しているのは同じ。結局、何らかの手を加えることにならざるを得ないのです。

今年1月に開催された「ニューイヤーミーティング」でも、有志でパーツを造り上げ、販売している方にもお会いできました。もはや営利目的というより、クルマの存続のためというような気迫さを感じたほどです。可能な限り当時のパーツを再現するべく、もはや趣味の域を完全に超えているレベルといってもいいほどだという印象を持ちました。

もはや書物?ポルシェ クラシックカタログ オリジナル1を読んでみて

ポルシェがこれまで生産された個体の70%が現存しているそうです。これは驚異的な数字ではないでしょうか(R32GT-Rも同様か、それ以上の個体数が現存しているという説もあるようです)。当時と同じ品番でパーツを再生産し、世界に供給しています。日本でもクラシック専門の窓口があるほどです。先日、「ポルシェ クラシックカタログ オリジナル1」を入手してみました。単なる絶版車のパーツカタログではなく、ポルシェのパーツに対する思想や、商品説明など、もはや書物として成立してしまっています。新旧ポルシェオーナーはもちろん、日本車の旧車オーナーさんも目から鱗が落ちる内容もあるはず。書籍としては¥1,782(税込)となかなかのお値段ですが、ポルシェ純正パーツと考えたら「案外安いかも?」と思えてくるから不思議です。全国のポルシェ正規ディーラーや代官山TSUTAYA(GW中は在庫がありました)はもちろん、ポルシェのオンラインショップから購入が可能です。ぜひご覧ください(筆者は回し者ではありませんよ!)。

▼ポルシェ クラシックカタログ オリジナル1
http://shop3.porsche.com/japan/jp/new/wslu7001002770/1.pdds

色々あると思うけれど、敢えていおう!イマであると!日本車の部品再生産が本格化することを願って!

R32 GT-R 再生産 ヘリテージ・パーツ・プログラム

ビジネスである以上、利益をあげるプロジェクトでなければなりません。そこに「趣味と仕事」の大きな違いがあり、何より関わっている人たちとその家族の生活が掛かっているという現実がのし掛かってきます。どんなことがあっても「採算度外視」、「手弁当」では許されない現実がそこにあるのです。それが再生産されるパーツの価格に反映されることもありうるでしょう。

NSXやユーノスロードスター、そしてR32GT-R、いずれもその時代を代表する日本車であり、いまも多くのファンが大切に乗り続けている個体ばかりです。それ以降に発売されたクルマでも、もはやほとんど見かけなくなってしまったものも少なくありませんが、この3車種はいまだに街中で見られるように思います。海外でその人気と価値が認められ、皮肉にもたくさんの個体が流出している現状があります。広い心で見れば、日本だけでなく、世界の人が再生産を待ちわびているモデルがたくさんあることは間違いありません。

NISMO「ヘリテージ・パーツ・プログラム」も、R32GT-Rを皮切りに、順次拡大する計画もあるようです。それには、各モデルのユーザーが結集して声を挙げ続けることが夢の第一歩となるのです!

[ライター・写真提供/江上透]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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