環状八号線メモワール。あの頃の環八は輸入車名店街だった!

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環状八号線、通称「環八(カンパチ)」。

場所は分からなくとも、もしかしたら、「環八(カンパチ)」という響きは聞いたことがあるかもしれません。東京都北区から大田区までを結ぶ、総延長約45キロの環状道路のことです。

そこは古くから、主に輸入車を扱う販売店が軒を連ねる道として知られています。その昔、環八沿いにある輸入車販売店を巡ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。筆者もその一人です。

環八は昔もいまも輸入車名店街

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出典:https://ja.wikipedia.org/

環八内回り。京王線の高架橋をくぐったあたりから、道路の左右に輸入車販売店が見え始めます。そこから小田急小田原線の高架橋をくぐり、第三京浜道路玉川ICの入口を過ぎ、羽田方面に向かうまで。それこそ深夜の輸入車販売店周遊プランが組めそうなほど、あちこちに点在していました。

インターネットがなかった時代は、中古車専門誌などで物件をチェックするしかありませんでした。雑誌の発売日にすぐさまチェック。気になる売り物件を見つけると、その日の深夜にはクルマを走らせ、店舗の前に張りつき、買えもしないのに延々と眺めたものです。当時は、知らない人と偶然鉢合わせても、雑談はあまりしなかったと記憶しています。

環八沿いにあるウィンドウフィルム施工店でアルバイト。レガシィ漬けの日々

ある方の紹介で、環八沿いにあるウィンドウフィルムの専門店でアルバイトをすることになりました。筆者がまだ20代の頃です。当時は「プライバシーガラス」の設定がほとんどなく、連日大忙しでした。

日本車・輸入車を問わず、工場にはさまざまなクルマが運ばれてきます。当時、圧倒的に施工台数が多かったのが、2代目レガシィツーリングワゴン。多いときには1日に3〜4台施工したこともありました。当時、20代半ばでも、ポンと新車のレガシィツーリングワゴンを買ってしまうような人もいたんです…。300万円クラスのクルマなのに。

田舎者にとって環八は超アウェイ。半強制的に左ハンドルの運転を習得する

ウィンドウフィルムの施工は工場で行うことがメインでしたが、ディーラーやガソリンスタンドなどに出張して作業することもありました。メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車は、預かり先から工場まで回送することも多く、忙しい先輩たちが手が離せないときは納引き(いわゆる納車引き取り)を頼まれることもありました。

当時の輸入車はまだまだ左ハンドルの割合いが多く、半ば強制的に環八などの交通量の多い道や、狭い一方通行のところを高級車で運転することになりました。まだ2万キロしか走っていない、ブルーブラックのメルセデス・ベンツ560SEL(W126)をガソリンスタンドから工場まで回送する際、オーナーの方がいらして「まさかお前が運転するのかよ」とにらまれたことは一生忘れません。何しろ、よれよれのツナギを来たアンチャンが引き取っていくわけですからね‥。そう思うのも当然です。

そんな経験が何度かあり、絶対にミスが許されない状況で緊張しながらも、何とか左ハンドル車の経験値を上げていきました。毎日が緊張の連続でした。

並行モノが大量に輸入された時代

筆者がウィンドウフィルムの施工店でアルバイトをしていのは1995〜1996年頃のことです。ちょうど、輸入車新規登録台数がもっとも多かった時期と重なります。当時は円高の影響か、多くの並行輸入車が日本やってきました。LLビーンなどの通販で服を買うことも流行りました。

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出典:http://www.jaia-jp.org/

頻繁に取引きをしていた環八のある輸入車販売店にも、当時限定車として人気の高かったボルボ850T5-Rをはじめ、アコードワゴンの左ハンドル仕様、ポルシェ911(993)のアメリカ並行車…等々、通称「アメ並」のクルマに、毎日のようにフィルムを貼っていました。安く買える輸入車として、当時のアメ並は割と人気があったように思います。最近はほとんど見掛けなくなりましたが、いまはどうなってしまったのでしょうか…。

芸能人の愛車のフィルムを貼る

環八沿いにあるウィンドウフィルム専門店ならではのエピソードとして、芸能人の愛車にウィンドウフィルムを施工したこともありました。発売されたばかりのスポーツカーや高級車などが持ち込まれると「芸能人は当たるとでかいよなあ」と呑気に先輩たちと話していたことを思い出します。

そのなかには、いまでも活躍している方も少なくありません。ただ、本人が直接持ち込んできたケースは一度もなく、販売店の方が乗ってきて「これ、※※※※※※(自主規制)さんのクルマだよ」と教えてもらって初めて知る、というパターンでした。偶然なのか、持ち込まれるクルマの多くが並行輸入車だったことを覚えています。

フルスモーク2重貼りの恐怖

また「フルスモーク」への対応も大らかだった時代。フロントガラスへの施工を含めた「フルスモーク」の依頼も少なくありませんでした。ただ、店舗側の配慮で、オーナーさんにお断りを入れて「フロントはちょっと薄めのフィルムにしておきます」と伝えていました。

もう時効だと解釈して話しますが、一度だけ「フルスモーク2重貼り」という禁じ手をやったことがあります。詳しくは分かりませんが、とにかくフルスモーク2重貼りにしてくれという依頼があり、みんなで「本当にいいのかよ?」と顔を見合わせながら施工しました。実は2重貼りだと、施工時にどうしても紛れ込んでしまう細かいゴミが目立たなくなるんですね。施工する側からすれば非常に楽な作業なのです。

しかし、いざ施工してみると、車内は常に真っ暗。外の景色がギリギリ見えるくらいという明るさでした。ちょうど、頭から黒いゴミ袋を被せられたようなイメージです。依頼主のオーナー氏に連絡をして、サイドミラーの部分だけは危ないから1枚貼りにさせてくれと伝え、しぶしぶ了承してもらいました。納車時は筆者が運転していったのですが、ちょうどそのときは雨。しかも夕方で環八は大渋滞。いまでも忘れられないエピソードのひとつです。

あれから20年経ったいまの環八は…

仕事やプライベートで、いまでもよく環八を利用するのですが、20年前と比較すると、正規ディーラーが増えたというのが率直な感想です。世田谷区あたりを走っていると、当時の面影がほとんど残っていないのが少し寂しい気がします。しかし、もう少し南下して大田区に差し掛かるあたりから、環八の左右に気になる輸入車販売店が点在していて、ついついチラチラと目で追ってしまいます。

インターネットで検索すれば、それこそ世界中で売りに出されているクルマを探すことができます。筆者も、お気に入りの販売店のストックリストを見て一喜一憂しています。

しかし、実際に店舗まで赴き、夜な夜なガラスや柵の向こう側にある憧れの1台を間近で観ることで、仕事のモチベーションアップに繋げたことがいまに繋がっているから不思議です。初心忘れずべからずで、いまでもときどき、深夜の仕事帰りなどに気になる販売店に立ち寄り「これ欲しいなあ」としばらく眺めています。

筆者も、仕事やプライベートを通じて、環八の移り変わりを垣間見てきました。これからさらに20年後はどうなっているのでしょうか。

もし、どこかで、筆者と思わしき人物(ヘンタイ?)を見掛けたら、ぜひ声を掛けてください。コーヒーでも飲みながら、深夜のクルマヘンタイ談義でもしたいですね。もちろん、店舗や近隣に迷惑を掛けない大前提で…。

[ライター/江上透 画像出典/Pinterest]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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