10年ぶり!東京モーターショーにスーパーカーを展示した「日本スーパーカー協会(JSA)」の秘めた想いとは?

  1. ライフスタイル
  2. 619 view

去年の10月に開催された「東京モーターショー」において、フェラーリやランボルギーニをはじめとするスーパーカーが10年ぶりに展示されたことはご存知だろうか。

今回インタビューさせていただいたのは、東京モーターショーでスーパーカーの展示を復活させた「一般社団法人日本スーパーカー協会(JSA)」を運営する須山泰宏氏と山里真元氏である。

日本スーパーカー協会(JSA)須山代表 山里事務局長

須山代表も山里事務局長もビジネスマンとして生計を立てる傍ら、「スーパーカーに触れる体験を提供し、クルマ好きの文化を後世に伝えたい」という想いでJSAを2017年に発足。お台場の公園を東京都から貸り切ってのスーパーカー展示イベントや、メーカー以外の団体による東京モーターショーへの出展など、前例のない企画を次々に実現してきた。

二人のモチベーションの源泉と、JSAがこれから実現していきたい世界観について取材した。なお、今回の取材は、コロナの感染を防ぐため、TV会議システムを利用して行った。

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲新型コロナウイルス感染防止ため、TV会議システムを利用して取材を行った。(左上:山里真元氏、下:須山泰宏氏、右上:筆者)

一般社団法人 日本スーパーカー協会(JSA)とは?

協会設立の目的は、『スーパーカークラブ、オーナー、ファン、メーカー、ディーラー、メディア、企業・自治体 等、各々の力を合わせて、スーパーカー文化の発展、そして皆様の、日本の活力を盛り上げることに寄与していくこと』である。

その前身となる「全日本スーパーカー連絡会」は2015年に設立されており、2017年に法人化を取得「一般社団法人 日本スーパーカー協会(Japan SuperCar Association = JSA)」となった。

2018年には、それまで前例のなかったお台場の「シンボルプロムナード公園」(いわゆるガンダム公園)を東京都から貸り切ってのスーパーカー展示イベント「TOKYO SUPERCAR DAY 2018 in ODAIBA」を開催。この成功を足掛かりに2019年には東京モーターショーへの出展を果たした。2009年を最後にスーパーカーが東京モーターショーから姿を消してから、ちょうど10年ぶりに復活させたのが「日本スーパーカー協会(JSA)」なのである。

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲2018年に催された「TOKYO SUPERCAR DAY 2018 in ODAIBA」では、スーパーカーとガンダムのコラボレーションが実現した

「日本スーパーカー協会」と「スーパーカークラブジャパン」の違いとは?

「一般社団法人 日本スーパーカー協会(Japan SuperCar Association = JSA)」と「スーパーカークラブジャパン(SuperCar Club Japan = SCJ)」は、しばしば混同されがちだ。

ここで、それぞれの団体の理念と活動の目的について両方の代表を務める須山代表に改めて伺った。

須山:SCJはスーパーカーを中心とするクルマの愛好家同士の親睦を目的とした、オーナーズクラブです。ツーリングやランチパーティー等のイベントを定期的に催しております。
一方、JSAはオーナーズクラブではありません。公共的なイベントを企画し運営する組織です。一般の方々に広くスーパーカーの魅力を知ってもらいたいという想いで設立した協会です。こちらは法人格を取得した組織であり、オーナーの親睦を深めることを目的としたSCJとはまったく異なります。

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲2019年東京モーターショーでの展示の様子。こうした公開的なイベントの運営を行うのがJSAだ。つまり、要約するとSCJはスーパーカーオーナーの交流を目的としたクラブで、JSAは公開的なスーパーカーイベントを企画・運営するための組織ということである

つまり、SCJはスーパーカーのオーナーの交流を目的としたクラブで、JSAは公的なスーパーカーのイベントを企画・運営するための組織ということである。

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲JSAのイベントで挨拶を行う須山代表

二人がクルマを好きになった経緯とは?

須山代表・山里事務局長はそれぞれどのような経緯でスーパーカーを愛するようになったのだろうか。まずは須山代表に伺ってみた。

須山:幼稚園に入る前からフォーミュラカーやCカーが好きでしたね。画用紙を切り抜いて、自分でレーシングカーに見立てた模型を作っていた記憶があります。スーパーカーブームの時は人並みに好きでしたが、本当に好きになったのは18歳で免許を取得してからです。当時はクルマで女の子とドライブに行くことが楽しみでしたね(笑)。家のクルマがトヨタ・コロナで、大学の同級生を詰め込んでドライブしましたね。神奈川県の厚木の山中だったから自由でした(笑)。

長尾:とても楽しそうな時代ですね(笑)。クルマに対して感じていた一番の魅力は何だったのでしょうか?

須山:自分の意志で好きなところに行けるのが一番の魅力だったかなぁ。16歳の頃から原付に乗っていたけど、18歳でクルマに乗るようになってからさらに行動範囲が広がりました。

長尾:初めて自分で手に入れたクルマは何ですか?

須山:須山:初めて自分で手に入れたクルマはマツダ・RX-7(FC3S)で、その後に本命のフェラーリ・ディーノを手に入れて、30年間維持しています。

長尾:スーパーカーを投機目的で買って手放す人も多いと思いますが、30年間維持とは珍しいですね。相当お好きなのですね。

須山:あとはスーパー7の草レースにも出ていました。僕は筑波を1分3秒ぐらいで走ったけど、トップグループに全然絡めなかったです。

長尾:須山さんの穏やかなキャラクターからは、あまり競争するイメージがありませんでした。

須山:嫌いではないですよ(笑)。でも、どうやら速く走る才能はあまりなかったようで、徐々にレースを運営する側になっていきましたね。当時20代の後半でした。

長尾:それで、イベント運営も慣れてらっしゃるのですね。

須山:そうですね!当時カシオ計算機に勤めていて、会社公認のモータースポーツクラブを作りました。社内のメンバーをはじめ口コミで社外のメンバーも集まって、筑波・茂原・山梨といろんなところを走りましたね。関東近郊のミニサーキットは基本的に全部行ったんじゃないですかね。

長尾:公認のクラブを作った経験が、JSAを一般社団法人にする経験に活きているのですね。

須山:やっぱり任意団体だと、イベントをやるにしてもどこの馬の骨かわからない。一般社団法人なら法人格があるから、公的な組織とともに進めていくには適しています。相手の立場からすると、クラブやサークルと取引を行ったりするのは不安だと思いますから。

クルマを好きになった経緯について、山里事務局長にも伺ってみた。

山里:1999年に地方国立の大学生になって18歳で免許をとり、初代SLK(メルセデス・ベンツ)に乗っていました。たまたま立ち寄った書店で、東京モーターショーの模様を伝える雑誌が目に入り、表紙を飾っていたヴィジョンSLRロードスター(メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのコンセプトモデル)を見て衝撃を受けましたね。同じメルセデス製2シーターということもあり、かっこいい!と思って。それから一気にクルマが好きになりましたね。住んでいた地方は山だらけだったから、走ると楽しいところがいっぱいあって、毎日運転の練習もできました(笑)。

その後ドライビングテクニックをもっと磨きたくなって、マツダ・RX-7(FC3S)のアンフィニ4を買ったんだけど、前オーナーがフェラーリ348も持っている住職の方で、乗せてもらって感動しましたね。それが初めて乗ったスーパーカーだったかも。それからFCをいじり倒す日々がはじまり、友人達とチームを組み、100坪の土地を月2万円で借りて、地面掘って整備場にしたりしました。広島のタカタとか岡山の備北とか、ミニサーキットにも通いました。

長尾:かなり濃い学生時代ですね(笑)。須山さんと出会ったのは、社会人になってからでしょうか。

山里:そうです。卒業後、東京で就職して、ロータスエリーゼを買いました。YASUさん(須山代表)と出会ったのは、新型車の発表パーティーでした。「東京にはすごいスーパーカーグループがある」っていうのはすでに聞いていて、その代表のYASUさん(須山代表)は雲の上のような存在でしたね。(エリーゼってスーパーカーかどうか微妙な立ち位置だと思うのですが、)「入れてもらえませんか」って恐る恐る声をかけたら快く受け入れてもらえました。

長尾:その頃から須山さんはすでにスーパーカーオーナーズクラブの代表だったのですね。山里さんが初めて買った本格的なスーパーカーは何だったのでしょうか?

山里:最初のスーパーカーが、今も持っているカリフォルニア(フェラーリ)ですね。オーナーズクラブという意味では、私も芝浦アイランド自治会公認のツーリングクラブを運営しています。

須山代表と山里事務局長は、日本スーパーカー協会(JSA)結成時から唯一無二のコンビだった

長尾:須山さんと山里さんが密に連携をとるようになった経緯についてお聞きしたいです。

山里:2017年はじめにYASUさん(須山代表)から電話がきて、「協会を立ち上げるから事務局に加わってくれないか」とお誘いいただきました。SCJを通してたくさんの友人ができたことを須山さんに深く感謝していたから、「お役に立てるのであれば」と快諾しました。

長尾:山里さんを指名した理由は何だったのでしょうか。

須山:信頼できるからです。あと、クルマ好きとしての情熱もあるし、頭もキレるから、折衝能力、企画力、人間性…あらゆる要素でお願いしたい人でしたね。

長尾:厚い信頼関係のもと、JSAがスタートしたのですね。年齢も一回り違いますが、問題はなかったのでしょうか。

山里:そこがやりやすいのは須山さんの人徳。代表だからといって横暴な態度はとらないし、とても話しやすいです。他の人やったら絶対一緒にできてないです。

須山:まさちゃん(山里事務局長)もとてもシビアで、妥協を許さない性格ですからね。

山里:あまりにもYASUさん(須山代表)が上手くリードするから、自分で動いたつもりでも「のせられた!」と思うことがあります(笑)。

須山:まさちゃん(山里事務局長)に教わったこともあります。「断られてからが交渉じゃないですか!」と言われたときはさすがだなと思いました。すぐにオッケーがでるような企画はすでに誰かがやっているし、初回の交渉では断られてしまうような、難易度の高い企画を実現してこそ意味があります。

山里:企画を提案に行くと、大体はキョトンとされますね。東京モーターショーのときも、周りのメーカーは多額の出費をして出展しているなかで、JSAとのギャップはすごかったと思います。

須山:モーターショーのときはすごい数の打ち合わせをやっていたね。

山里さん:すごかった。ほとんど外出してた(笑)。

長尾:お二人は本当にいいコンビだったんですね。

須山&山里:他の人じゃ全然無理だった!

山里:本業にも入ってくれへんかなって思うもん(笑)。

須山:まさちゃん(山里事務局長)はキビシイからな~(笑)。

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲2019年の東京モーターショーでは、子供限定のスーパーカー見学ツアーを行った。写真は、子供にスーパーカーの魅力を解説する山里事務局長

日本スーパーカー協会(JSA)が今後実現していきたいビジョンとは?

長尾:JSAとして、これからどのような活動をしていきたいのですか?

須山:今はコロナの影響でイベントをやるのは難しいと思うけど、それでもバーチャルでイベントをやりたいと思っているし、モーターショーにもまた出展したいなと思っています。いつの日か日本版のグッドウッドをやりたいですね!

山里:日本版のグッドウッドは目標ですね。

長尾:とても面白そうですね。そこで実現したいことはどんなことでしょうか?

須山:日本にとっても自動車は基幹産業だから、楽しさを広めることや交流を広めることはもちろんのこと、興味をもつ人を増やして自動車業界を盛り上げることで、日本が少しでも元気になればと思っています。東京モーターショーは日本を代表するカーイベントだし、スーパーカーが撤退して久しい。モーターショーでスーパーカーを展示することは、子どもたちにもクルマが好きになる機会を与える意味でも大事です。

長尾:お二人から以前お聞きした『誰からも憧れられないスーパーカーはスーパーカーじゃない』という言葉が印象的です。今はメーカーごとに自社でイベントをやるのが主体で、そのイベントによる収益性が重要視されますが、それだと現時点での購買層にしかリーチできないですよね。

山里:その通り。10年後、20年後の市場をつくる活動が必要です。『それはYoutubeで十分』と言われることもあるけど、そんなわけはないと思っています。オートサロンにしか出展しないメーカーは、『クルマ好きが来るのがオートサロンだから』と言っているのですが、『それでは新たな憧れ層を生み出すことはできません!将来クルマ好きになるかもしれない人が来場するモーターショーにこそ出展すべき』だと思います。

長尾:売上重視、短期視点なのですかね…。お二人から見たスーパーカーの社会的な立ち位置は昔と変わったのでしょうか。

須山:日本では昔は漫画(編集部注:サーキットの狼)が流行って社会現象・憧れの的になったけど、今はそうじゃない。クルマは移動の手段、皆が楽しむものからは遠い存在になっています。

山里:今後スポーツカーが生き残る余地がなくなるんじゃないかと心配しています。クルマが乗馬のような趣味になる時代になっても、スポーツカーを公道上に残すには、今が最後のチャンスだと思っています。

長尾:どういったところに活路があると思いますか?

須山:ファンを増やすのもそうだし、文化・趣味の対象としてそういった形でも遺していくことが重要だと思います。

山里:現在では、体験や知識がまだまだ共有できてないのかなと思います。特にスーパーカーを体験する機会はとても少ない。いざ試乗してみたら「これはあったほうが楽しいね」と思う人は多いです。

須山:コストの問題も大きいです。クルマを維持する税金は世界的に見ても高いし、日本の賃金は安い。クルマの値段を比較すると世界と変わらないけど、日本は初任給が圧倒的に安いんですよね。そりゃ自ずとクルマ離れが進むよね。

長尾:構造的な問題の側面が多いですよね。

須山:行政や税制の問題は複雑なテーマではあるけれど、クルマの魅力を積極的に発信することはできると思います。

長尾:スーパーカーを所有して「自分が楽しい!」というだけでなく、そういった取り組みをされていることが素晴らしいと思います。

まとめ

「日本スーパーカー協会(JSA)」は、設立から3年の間に多くの前例のない企画を実現し、スーパーカーを展示することで多くの子供に夢を与えてきた。
特に、2019年に開催された東京モーターショーでの展示「TOKYO SUPERCAR DAY 2019」には多くのギャラリーが訪れ、「もっともアツいブース」と言われるほどの来場者数を記録した。

須山代表と山里事務局長は、クルマを楽しむ文化を後世に伝えるため、今後どのようなイベントを企画していくのだろうか。あなたの身近なところにもスーパーカーが展示されるかもしれない。
「日本スーパーカー協会(JSA)」の今後も動きは要注目である。

■一般社団法人 日本スーパーカー協会(JSA)
https://japansupercar.org

*YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCqGVFYdrUMknX1hRc2_vihQ

■SuperCar Club Japan(SCJ)
http://www.supercarclub.jp

■YASU’s SportsCarFan (YASUのスポーツカーファン)
http://www.yasu.sportscarfan.com

日本スーパーカー協会(JSA)須山泰宏 山里真元

▲スーパーカーとル・マンカーの異色のコラボレーションが実現できるのもJSAならでは。今後どのようなイベントを企画するのか、楽しみである

[ライター・カメラ/長尾 孟大]

外車王公式チャンネル「外車王TV」

輸入車好きに向けて、人気車両の走行シーンからサウンド、車両レビューなど、さまざまな角度から輸入車をテーマにした動画をYouTubeで公開中!!【チャンネル登録お願いします】

外車王TV
長尾孟大

都内に住みながら一年間に2万キロ以上を走るクルマ好きの24歳、ドライビングスキルの差が顕著にでるカートにのめり込み昨年からチームを結成し通年の耐久レースにも参加している。クルマにのめり込む中で、若者のクルマ離れに対して強い危機感を持ち、現在は会社の立ち上げを行う傍らで、クルマではなくカーライフの魅力発信をコンセプトに映像作品を発信するCARKICHI(https://www.carkichi.com/)の運営を行っている。

記事一覧

関連記事