なぜ「HCC95」は20年以上に渡りカークラブを続けてこられたのか?ユダ会長にインタビュー

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以前からヒストリックカークラブ95(以下、HCC95)の存在は知っていましたし、代表であるユダ会長のお名前も存じ上げていました。

カレントライフFacebookページに公開されている「なぜ愛車オーナーズクラブやオフ会で、空中分解が引き起こされるのか?」という記事に対するユダ会長の下記コメントが、今回の取材のきっかけとなりました。

『なんだかんだ21年続けてると色んなタイプを経験して当たってる部分もあると思うけど、これを参考にしたからと言って上手に運営できるかと言えば、そうじゃないかと思います。』

1995年から現在に至るまで、今年で23年目に突入したHCC95というクラブを率いてきた方だからこそ発せられる言葉の重みのように感じたのです。

そこでユダ会長に直接お会いして、20年以上に渡りクラブが運営できた力の源のようなもの、それまでにあったできごとなどを伺ってみたいという気持ちが湧きあがり、思い切ってご本人に直接オファーしてみました。すると突然の申し出にも関わらず、快く取材に応じてくださったのです。

そんなユダ会長がHCC95を立ち上げるきっかけとなったできごとや、決して穏やかとはいえないこの20数年間を振り返っていただきつつ、これからの未来についてその思いを語っていただきました。

ヒストリックカーを見掛けるたびに「ナンパ」して地道にメンバーを増やしていった

HCC95 ユダ会長
▲毎月第3日曜日の大黒PAは、ちょっとしたイベント会場よりも国内外のさまざまなクルマが観られます

──HCC95を立ち上げようと思ったきっかけを教えてください
HCC95を立ち上げようと思ったきっかけは少年時代にまで遡ります。私は九州の田舎町の出身で、小学校は私が卒業後、最後は全校生徒6人で廃校…というような場所で生まれ育ちました。あるとき、テレビで現在も開催されている「ニューイヤーミーティング」の模様が紹介されていたのです。田舎町で暮らす子どもには「都会には凄いクルマがたくさんいる。いつかこの眼で観てみたい」と思うほど刺激的な映像でした。

大人になり、ミュージシャンを志していた私は上京を決意。念願だったニューイヤーミーティングを観に行くことも叶いました。結果としてミュージシャンになることは諦めたのですが、アルバイトをしながらも自分のクルマを所有してみたいという想いが強くなり…、一時期は当時人気だったドリフトに興じていたこともあります。

ニューイヤーミーティング
▲現在も開催されているニューイヤーミーティング。今年は1月29日に開催されます

その後、あるクラシックカーを手に入れ、オーナーズクラブに入会しました。そこでメンバーの方から辛辣な言葉を浴びせられたのです。ショックでした。クラシックカー、ヒストリックカーはお金持ちの人のみが楽しむもの。いわば「特権階級の人の趣味」のように映りました。当時の私のような若者がおいそれと手を出してはいけない世界だったのかもしれません。

それならば、自分自身で理想とするクラブを立ち上げてみようと決意。それがHCC95のはじまりです。この「95」は、結成した1995年を意味します。当時はインターネットが普及しはじめた頃でしたが、現在のように多くの人が毎日のように触れるものではありませんでした(HCCはカークラブでドメインを所有した日本初の団体)。そこで、街中でクラシックカー、ヒストリックカーを見掛けるたびに「ナンパ」して地道にメンバーを増やしていったのです。

──HCC95とはどんな集まりですか?
毎月第3日曜日に、首都高速大黒パーキングエリアに集まります。時間は9:00〜12:00まで。雨天の場合は翌週に延期です。HCC95は現在クラブ員を募集していません。そのときに集まれる人が来てください!というスタンスです。

HCC95 ユダ会長

HCC95 ユダ会長
▲第13回かわさき楽大師まつり開催日は2017年4月15日(土)・16日(日)に開催されます。※クラシックカー展示&パレードは16日(日)のみです

その他に、HCC95としてさまざまなイベントに参加したりするようになりました。なかでも毎年4月に開催されている「かわさき楽大師 昭和の自動車部門」は第1回からお手伝いさせていただいています(2017年で13回目とななります)。白バイに先導してもらい、街中をパレード。その後、大師公園に集まってお子さんたちにヒストリックカーを体験してもらうのです。これは、私が幼少期に体験したスーパーカーショーが原体験となっています。

HCC95 ユダ会長

HCC95 ユダ会長

HCC95 ユダ会長

*第13回かわさき楽大師まつり開催日は2017年4月15日(土)・16日(日)となります
*クラシックカー展示&パレードは16日(日)のみです
http://www.rakudaishi.com

──HCC95どんなクルマが集まってくるのですか?
国内外のあらゆるクラシックカー、ヒストリックカーが集まってきます。しかし、閉鎖的にするのではなく、そのときに出逢ったクルマ好きの方たちが気兼ねなく交流できるような雰囲気作りを心掛けています。古いとか新しいとか、希少価値云々といった概念は一切取り払った「人と人との交流」に重きを置いています。

最初の10年間はやめようと思ったことが何度もあった

HCC95 ユダ会長
▲こちらのジネッタはオーナーインタビューでも取材させていただいた宮本さんの個体

──参加メンバーはどんな方(キャラクター、人柄)が多いですか?
現在は40代〜50代くらいの方が中心でしょうか。純粋にクルマが好きという方が多いです。性別や職業、年収や乗っているクルマなどで変な力関係が働くこともありませんし、ゆるくやっているので、出欠を取るわけでもありません。例えば、年に1度の参加でもokなのです。それまで乗られていたクルマを手放して、しばらくお会いしていないと思っていた方が数年ぶりにカムバックして「この定例ミーティングに参加したくて復帰したんですよ」と仰ってくださったこともありました。あのときは本当に嬉しかったですね。

──ハンドルネーム「ユダ」の由来とは?
当時結成していたバンド名が「ユダ」で、HCCの会長だから『ユダ会長』なんです(笑)。バンド仲間とはいまでも付き合いが続いていて、またいつかライブをやろうって話しているんですよ。

HCC95 ユダ会長

──私もそうでしたが、大黒PAでユダ会長をお見掛けしても、話し掛けるのは正直勇気がいりますよね?
SNSなどを通じて私の存在を知ってくれて、HCC95の集まりで初めてお会いするケースも珍しくありません。遠巻きに「あの人がユダ会長かも…」と眺めている方がいらっしゃると伺ったことがありますが、見掛けたら、本当に気軽に話し掛けてください(筆者注:本心です)。

HCC95 ユダ会長

──HCC95は丸22年を迎え、23年目に突入しましたが、大黒PAでの集まりはこれまで1度も休みなしですか?
天候不良だった場合はやむを得ず翌週にずらします。2週連続で雨のときは中止となってしまいますが、それ以外では休みはありません。基本的に毎月第3日曜日に大黒PAで開催しています。

HCC95 ユダ会長
▲なんと、アストンマーティン ラゴンダがやってくることもあるのです!

──22年間皆勤賞の方はいらっしゃいますか?
限りなく皆勤賞に近い方がいらっしゃいますよ!

──失礼ながら、かなりご自身のプライベートな時間を犠牲にしていませんか?
「犠牲」という感覚はありません。クルマを通じて自分が存在した証を残せたら楽しいなと思っています。それよりも、次世代のクルマ好きを増やしていきたいし、応援したいという気持ちの方が強いです。私が若いときにした辛い体験を次の若い世代の人には味わって欲しくないのです。だからこそ、地道に活動してきましたし、それはこれからも変わりません。

HCC95 ユダ会長

──正直、もうやめようと思ったことはありましたか?
正直にいいますが、結成してから最初の10年間はやめようと思ったことが何度もありましたよ。なかには自己主張が強いけれど「口は出しても手は貸さない」っていう方もいらっしゃって…。心が折れ掛けたことも1度や2度ではありません。ここでは語れないような辛いエピソードもありましたね。

──それほど辛いことがあっても、ここまで続けてこられたのはなぜだと思いますか?
1995年にHCCを立ち上げたとき「何があっても10年は続けよう」と心に決めたんです。改めて振り返ってみると、この種のクラブの運営は最初の10年がカギだと思います。前述のように「口は出すけれど手は貸さない」というできごとが重なっても折れなかったんです。諦めたらそこでおしまいですから。

HCC95 ユダ会長
こちらはカレントライフ執筆陣の北沢さんのシトロエンBX 4TC

身近な仲間に相談したこともありましたが、結果として自分の想いを曲げなかったことが「継続」という形でいまに繋がっているのかもしれません。私を含めて、何が正しいかはいまだに誰にも分からないけれど、現在に至るまで続いているということは「これも正解といえるのではないか?」と信じています。

そのために「掲げた理念を曲げずに自分の理想を貫いて」きました。カレントライフの「なぜ愛車オーナーズクラブやオフ会で、空中分解が引き起こされるのか?」という記事にあったようなことも経験しています。それでも、10年続けたときにようやく面白いと気づいたんですね。この頃を境に、ようやく自分でも楽しいと思えるようになってきたんです。それは、周囲の仲間が自然と助けてくれるようになったからだと思います。こうなると一気に弾みがつき、少しずつ世間でも知られるようになっていったのもこの頃からです。

熱い気持ちがあれば、いつか必ず周囲の人に伝わり、賛同してくれる仲間が増える

HCC95 ユダ会長
▲思いつくことは誰でもできます。そのなかで実行できる方は限られます。さらに、人が集まってくる方は皆無といっていいでしょう

──HCC95をはじめたからこそ得られたものは何ですか?
「想いを共有できる仲間と出逢えたこと」でしょうか。

──忘れられないエピソードを聞かせていただけますか?
あるとき、22才の青年が古いメルセデス・ベンツに乗って大黒PAに現れたんです。聞けば、中学生のときにかわさき楽大師のイベントで触れたヒストリックカー体験が忘れられず、大人になってやっと古いメルセデス・ベンツを買うことができたとわざわざ報告に来てくれたんです。こんなことがあるからやめられませんし、最高に楽しいと思えるんですよね。きっと、他にもそんな想いを秘めている若者がいるはずだし、これからもぜひ力になりたいと思っています。

HCC95 ユダ会長
▲仲間たちが会長宅に集い、クルのエンジンの積み降ろしなどの重整備を行うこともあるそう

それから、私の家に集まって、みんなでクルマのエンジンを降ろして組み上がったときの感動は忘れられませんよ。元々、クルマいじりが苦手だった人が自分の愛車をメンテナンスできるようになったんです。古いクルマだけに、自分である程度直せた方がいいですよね。そんな交流もHCC95を立ち上げたからこそできるんだと思います。

──「なぜ愛車オーナーズクラブやオフ会で、空中分解が引き起こされるのか?」の記事を読んだ感想を聞かせてください

「2.リーダーにもさまざまなタイプがいる」。ここの分け方は正直違うかなと思いました。私の持論として、いまの時代にカリスマ性はないと思うんですね。かつては一般の読者が、当時は小林彰太郎さんや徳大寺(有恒)さんに会うなんて奇跡に近かったはずですよね。ましてや私生活なんてベールに包まれていてまったく分からないですし。それがいまやFacebookをはじめとするSNSを使えば、著名なモータージャーナリストの方と繋がってコメントのやり取りができるわけです。これまでは別世界だと思っていた方々が身近になったように感じられるのはいいことだけれど、神格化されたような存在ではなくなりつつあるように思います。そういった意味でカリスマ性はないと考えています。

クラブのリーダーとなっている方で、現在も悩みを抱えているケースも少なくないと思いますし、今回の記事がこれから先も運営していくうえで何らかのヒントになっていただければ嬉しいです。

*なぜ愛車オーナーズクラブやオフ会で、空中分解が引き起こされるのか?
https://crediblecar.life/life/owners-mtg-crash/

──HCC95の発起人として、これだけは譲れないというポリシーのようなものはありますか?
●熱い気持ちを常に絶やさない
ニューイヤーミーティング
▲少年時代にテレビでニューイヤーミーティングの映像を観ていなかったら、HCC95はもちろんのこと、いまのユダ会長は存在しなかったかもしれません

自分自身、少年時代にテレビで観た「ニューイヤーミーティング」が原体験となっていまがあるわけです。次の世代の子どもたちがカッコイイと思ってくれるクルマと触れ合える機会を創り、またその次の世代へクルマの楽しさを伝えてくれる。クルマ好きであれば誰もが一度は夢想することかもしれません。しかし、実行に移す人ってなかなかいないんです。実際ものすごく大変だし、理不尽なことも経験します。好きでなければやっていられないことも多々ありますよね。それでもなお、自分の理想や想いを貫いていく熱い気持ちがあれば、いつか必ず周囲の人に伝わりますし、賛同してくれる仲間が増えていくんです。私がそうでしたから。

●ミーハーであれ
HCC95 ユダ会長
▲ユダ会長の愛車である、MG-B Special

お陰様で私もこの集まりを通じてさまざまなクルマに触れることができるようになりましたが、例えば、仲間が乗ってきたランボルギーニ ミウラのカウルを開けるときは心臓がどきどきしています(笑)。そういう意味でミーハー心を忘れていないんでしょうね。何しろ、子どものころに憧れたクルマに触れるなんて夢のような話しですから。逆にそれが当たり前、触れて当然となってしまってはいけないと思います。ましてや、多少なりともユダ会長という名前が知られるようになったからと、私が有頂天になるなんて以ての外。自分自身が有名になりたいとか、崇拝されたいといった気持ちはまったくありません。ゼロです。

──今後、HCC95をどのようにしていきたいという想いを聞かせてください
これからも、かけがえのない仲間たちとクラシックカー、ヒストリックカーを通じて、クルマの楽しさを伝える活動を続けていきたいですね。

取材を終えて感じたこと

HCC95 ユダ会長

「HCC95」を立ち上げたのが1995年。当時生まれたお子さんが、いまや成人して社会に羽ばたこうとしているくらいの時間が経過しているのです。カレントライフの記事に対してコメントをいただいたとき、ユダ会長がどんな想いでクラブを立ち上げ、運営しているのだろう?そこを伺ってみたかったというのが率直な気持ちです。

実際にお会いしたユダ会長は、熱いながらも少しシャイで、それでいて謙虚で、決して人のことを悪くいわない紳士な方でした。ユダ会長から発せられる言葉は美辞麗句を並び立てた建前ではなく、本音なんだと、取材を通じて感じたというのが偽らざる心境です。

もしまだ毎月第3日曜日に、首都高速大黒パーキングエリアに行ったことがない方、住んでいる地域から離れていて行く機会がないという方、タイミングがあえばぜひ一度、思い切って足を運んでみてください。きっとそこには、いままでにない新しい出会いが待っていますから。

▼プロフィール
HCC95 ユダ会長
・お名前:ユダ会長(本名:渡邉 直樹さん)
・職業:SE(システムエンジニア)
・愛車:MG-B Special
・八重洲出版「VINTAGE Paradise」にて連載中!
http://www.yaesu-net.co.jp/

▼ヒストリックカークラブ95(HCC95)について
HCC95 ユダ会長
・URL:http://www.hcc95.com/
・ブログ:http://blogs.yahoo.co.jp/yudakaichou
・Facebookページ:https://www.facebook.com/hcc95/
・twitter:https://twitter.com/hcc95/

▼取材協力:BAR L.Azoth(バー・ラゾット)
BAR L.Azoth(バー・ラゾット)
住所:東京都台東区上野6丁目7-3 幸正ビルB1F
アクセス:山手線 上野駅不忍出口より徒歩5分/山手線 御徒町駅北口より徒歩3分
TEL:03-5812-4659
営業時間:月~土 18:30~04:00/日・祝 18:00~23:30
駐車場:無し
定休日:無休
URL:http://bar-navi.suntory.co.jp/shop/0X00453319/

BAR L.Azoth(バー・ラゾット)

BAR L.Azoth(バー・ラゾット)
*月~土は午前4時までオープン

[ライター/江上透 画像提供/ユダ会長]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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