名車Z32を後世に残すこと。専門店としてそういい切る唯一のショップとは

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「スポーツカーに乗ろうと思う。」暗闇のなかに佇む真紅の赤いスポーツカー。時計回りにアクセルターンをキメるCMを憶えている方も多いことでしょう。

このイメージそのままに用意された、真紅に印刷されたカタログ。表紙を開くと、最初に飛びこんでくるのが「スポーツカーに乗ろうと思う。」とだけ記されたコピー。

そのクルマは、フェアレディZ。通称「Z32」と呼ばれているモデルです。いまは他のクルマに乗っていても、憧れの存在だったり、所有していた方も少なくないはず。

そんなZ32に惜しみない愛情を注ぐショップにお邪魔してきました。今年3月、パシフィコ横浜にて開催されたNostalgic 2daysで取材させていただいた、神奈川県相模原市にある株式会社Zone(ゼットワン)です。

名車Z32

▲Z32専門店だけあり、敷地内は程度のよいZ32がずらり!

日本で唯一のZ32専門ショップがZone

株式会社Zone(以下、Zone)は、フェアレディZ、そのなかでもZ32専門店として展開している日本で唯一のショップなのです。

当初、プライベートでお邪魔することになっていたのですが、代表の小村 英樹(オムラ・ヒデキ)氏の溢れるZ32愛は、カレントライフ読者の方にもきっと共感していただけると思い、急遽取材することとなりました。

店舗にお邪魔してみると、敷地内はZ32、Z32、Z32…。街中では見掛ける機会が減りつつあるZ32ですが、専門店だけあって、ここはかなりの人口密度です。色とりどりのZ32が整然と並べられています。

名車Z32

名車Z32

▲敷地内に整然と並べられたZ32たち

ご挨拶もそこそこに取材をはじめようとしたところ、お客様が来店。これから商談とのことなので、撮影を兼ねて敷地内にあるZ32を拝見させていただくことにしました。

Z32をじっくり見るのは久しぶりでしたが、生産期間が11年と長かったため、こうして眺めていると生産時期で微妙にディテールが異なることに気づかされます。

名車Z32

名車Z32

▲フロント周りやリヤスポイラーの形状など、生産時期で微妙な違いがあります

Zoneでは自社で整備工場を完備しており、ディーラーでは対応が難しいような整備にも応じてくれます。また、欠品が増えつつあるZ32のパーツをストックしており、オーナーの方が困らないような配慮も万全です。

名車Z32

▲敷地内に自社工場を完備。ちなみに、写真に写っているのはキュートな女性メカニック!

1時間後、お客様が帰られたタイミングを見計らって(1台契約となったそうです!)、取材再開。そこで見えてきたものとは…。

フェアレディZ(Z32)の現状とは?

名車Z32

▲Z32は、現存する個体が減る一方で、程度の良い個体は更になくなっている

・前期モデルは特に数を減らしている
・コンバーチブルもかなり数を減らしている
・欠品パーツが目立つようになってきた
・乗りっぱなしの個体が多い
・内外装はきれいでも、下回りが錆びている個体も多い
・コンディションを維持するにはお金が掛かる年代に差し掛かってきた

と思われ、最終モデルでも15年が経過したZ32は、現存する個体が減る一方のようです。程度の良い個体となれば、さらに数が限られます。

そんな現状に危機感を募らせている小村氏のZ32愛はハンパではありません。Z32は、2シーターとリアシート付きの2by2が用意されていました。

名車Z32

▲こちらは2シーターモデル。当時は2by2が人気だったこともあり、2シーターは希少車なのだとか

名車Z32

▲こちらは2by2モデル。2シーターモデルとはガソリンの給油口の位置が異なる点が識別ポイント

名車Z32を後世に残すことが使命

Webサイトにも「名車Z32を後世に残すことが私達の使命です!!」というキャッチコピーを掲げ、Z32を後世に引き継ごうと活動しています。お話しを伺っていると、その思いが本気であることがひしひしと伝わってきます。

それだけに、一般的な「お金さえ払えば誰でも買うことができる」販売方法とは一線を画しています。本気でZ32が欲しい、いつまでも元気な姿で乗り続けていたい。そんな強い意志と愛情をもって、さらには手間ひまを掛けてZ32を維持してくれると判断した方、遠方でもわざわざ店舗まで足を運んでくださった方にのみ、厳選したZ32を託すように心掛けているのだとか。

名車Z32

名車Z32

▲厳選されたZ32は、あくまで対面販売にこだわっているのだとか

このような販売方法は、一見、敷居が高いと感じるかもしれません。しかし、それは間違いです。小村氏にとっては、クルマを売ること以上に次の世代にZ32を引き継いでいくという、もはや「大義」といってよい目的があるからです。

名車Z32

▲Z32の実車だけでなく、ミニチュアカーの製作協力も行っています

ときには、小村氏自らオーナーの意識改革を行うこともあるのだとか。一見、驚くほど内外装をきれいにしていても、肝心なボディの下回りや、エンジン周りなどのメンテナンスが後手後手にまわっていることもあるのだそうです。

そのような場合、点検整備の際にリフトアップして初めて「錆びだらけの愛車の現実」を、Z32のオーナーは知ることとなります。さすがにそれでは愛車が気の毒だと感じるのか、ここで一念発起してセミレストアに近いレベルの作業を依頼される機会がここ数年で増えたそうです。その結果、リフレッシュプログラムのような仕組みが自然と出来上がり、本来の姿を取り戻したZ32は、オーナーにとって「一生モノ」となっていくのです。

名車Z32

▲リフレッシュ中のエンジンルームおよび下回り。Zoneではきれいに磨きあげたことをこのように画像で見せてくれるので、オーナーも安心して任せられるはず

名車Z32

▲エンジンルームも細部までリフレッシュされ、本来の美しさを取り戻したZ32。内外装はもちろん、下回り等にも手が入ります

オーナーの下で過ごすZ32は間違いなく幸せ

今回、小村氏に取材させていただき、改めて感じたのは「ショップとオーナーががっぷり四つとなって」初めて名車として後世に語り継ぐことができる、ということ。日本車・輸入車を問わず、新車当時は人気を博したとしても、この絶妙な関係が醸成されなかったゆえに悲劇の運命を辿ったモデルは、枚挙に暇がありません。

自動車検査登録情報協会によると、一般論として、世の中のクルマ(乗用車)の大半は、平均12.97年(2014年現在)で海外へ旅だったり、この世から姿を消していく運命にあります。

その点、Zoneとオーナーの下で過ごすZ32は幸せです。平均使用年数をはるかに越えて、今後何世代にも渡って受け継がれていくに違いありません。

名車Z32

▲この美しいZ32も、後世に受け継がれていくことになるはず

国産車・輸入車を問わず、名車として後世に語り継がれるためには、手間と愛情とお金を惜しみなく注ぎ込む熱心な愛好家が必要不可欠です。しかし、同じくらい(もしくはそれ以上)に重要な存在となるのが、愛好家にとっての主治医であり、駆け込み寺的なショップの存在なんだと、改めて実感した取材となりました。

当時と変わらず美しい姿のZ32と対面したくなったら、ぜひZoneに足を運んでみてください。

Z32専門店 株式会社Zone(ゼットワン)

名車Z32

〒252-0243 神奈川県相模原市中央区上溝2346-19
TEL:042-703-6670
営業時間:10:15-18:30
定休日:毎週木曜日
URL:http://www.z32-zone.com/
Blog:http://www.z32-zone.com/blog/
Facebook:https://www.facebook.com/pages/Fairlady-Z32-Proshop-Zoneゼットワン/

[ライター/カメラ 江上透]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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