EU諸国の自動車税制は、クラシックカーに対する姿勢が明確に日本と違う

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そろそろ自宅にも、自動車税の納付書が届くころではないでしょうか。昨年より、初年登録から13年経過したガソリン車の自動車税の割り増しが10%から15%に大きく引きあげられたのはご存知の通りです。

初度登録年月日が平成15年(2003年)3月以前のガソリン車(LPG車)は、自動車税15%へ

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2003年モデルであれば、日本車/輸入車ともに、現役で走っているクルマがまだまだたくさんあります。まして、クラシック/ネオクラシックカーと呼ばれているような世代のオーナーは完全に「自動車税15%対象車」です。

おそらく大多数の方が(この際ハッキリいいますが)苦虫を噛みながら、渋々納税することになるのでしょう。筆者もその一人です。カレントライフがスタートした当初からドイツのHナンバーに関する記事を度々取りあげ、その都度、大きな反響がありました。今回はさらに詳細をお伝えしたく、自動車先進国ドイツならびに周辺のヨーロッパ諸国のクラシックカーを含む自動車税に関する制度まとめてみました。そこから見えてきたものとは…?

ドイツのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税*(課税基準:使用燃料、CO2排出量、エンジン排気量)
*車両保有時にかかる税金。取得時の付加価値税・車両登録税等は含んでいません。
■基本負担:ディーゼル(9.5ユーロ/排気量100cc)、ガソリン(2ユーロ/排気量100cc)
■CO2排出量に応じた負担:2.00ユーロ/g(CO2g/km)
※2009年7月1日よりCO2排出量で測定される新税制に変更。

●エンジンの形態、使用燃料(ガソリンかディーゼルか)、排気量、CO2排気量、キャタライザーの装備等(どのユーロ規制をクリアしているか)。

●有害物質排気量はCO2排出量のみで計算される。その他の排気物質は考慮されない。

●車両ごとに定められた排出性能を基準にしており、実際の走行中に出されるCO2排出量ではない。(フランス・イギリス同様)

●1km走行時のCO2排出量による車両クラスごとに税額が設定されており、車両クラスD(ガソリン車の燃費に換算すると17.9km/l)までは無税であり、E以降はCO2排出量が多いほど、言い換えれば燃費が悪いほど高額になっている。また、税額は初年度と2年目以降で税率が異なり、車両クラスG(同、14.1km/l)までは同額、Hからは初年度の方が高額になる。さらに、燃費が悪くなるに従って、初年度の方が2年目以降の税額に対してより高額になっている。

その他、税金(取得時)付加価値税(19%、一般商品と同じ)、車両登録税(登録した地方自治体によって値段は異なる、平均26ユーロ)、エネルギー税等クラシックカー(Hナンバー車)

■クラシックカーについては?
●製造されてから30年以上経っていること、オリジナルの状態を保っていること、通常の乗車に差し支えないことなどの条件を満たせば工業文化遺産として扱われる。(Hナンバープレートの獲得)

●Hナンバー自動車税は一律年間191.73ユーロに。他に車検代も優遇される。

フランスのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税*(課税基準:登録税、CO2追加税)
*ここでは自動車税としているが、2001年より自動車税が廃止されており、車両登録料とCO2税が実質の車両維持コストとなる。

■登録税は標準課税馬力に応じた数(以下計算式)で地域によって税率は異なる。CV(馬力)=(P/40)1.6+U/45P:最大出力(kw)U:CO2排出量(g-CO2/km)

■CO2税(自家用車のみ)200g/km以下なら無料、201g以上だと1kmあたり2〜4ユーロの課税

■その他税金(取得時)付加価値税(19.6%、一般商品と同じ)、石油製品国内税等

■クラシックカーについては?
●ヒストリックカー(クラシックカー)のくくりとは関係なく、新車に比べて古い車は登録にかかる費用が安くなる。ドイツのようなHナンバー制度はなし。10年落ちの車なら新車の半額程度になる。

●2年に一度車検が必要だが、費用は新旧車ともに〜50ユーロ程度。25年以上前の車に対しては、台数が多ければ多いほど割安になる。またナンバープレートとは別に、フロントガラスに車検合格のステッカーを貼っておかなければならない。

イギリスのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税(課税基準:CO2排出量&車両クラス)
■CO2排出量と、使用燃料の種類(車両クラス)に応じた税額
●CO2排出量基準で区別された車両クラスによって税額は変わる。
●排出量が少ないほど税金は安くなり、排出量85グラム以下は税金免除。
●CO2排出量の少ない車を社用車として購入する場合にも減税。
●イギリスでは1973年1月1日以前に登録されたヒストリックカーは自動車税を払わなくてよい。2001年より前に登録されたものは年額固定、以降はCO2排出量によって税額は変動する。

●1973年1月1日以前に登録された車
⇒自動車税無料

●2001年2月末日までに登録された車
⇒1549cc未満:年額135ポンド、1549cc以上:年額220ポンド

●2001年3月1日以降に登録された車
⇒1kmあたりのCO2排出量によってAからMまでの13段階の料金幅があり、自分の車がどの料金帯に該当するか、インターネットや窓口で調べて税金を支払う
⇒Aクラス(最もCO2排出量が少ない)「100g/km未満」だと自動車税無料。
⇒Mクラス(最もCO2排出量が多い)だと年額465ポンド(約6万円)

2010年4月1日以降に登録された車
⇒新たに設けられた税制としてCO2排出量の多い車は登録初年度のみ通常税額の倍額以上。燃費が悪い車ほど、初年度の税額が高くなる。

■クラシックカーについては?
●上記の説明のとおり、1973年以前の登録車両は免税となる。
●「SORN」システム:乗る期間と乗らない期間、置き場所を申請し、乗る期間だけ税金を支払うというもの。ただし車検は義務。
●フロントグラスに「HistoricVehicle」のステッカー、黒のナンバープレートだとヒストリックカーの印(ドイツのHナンバー同様)

イタリアのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税(課税基準:馬力数、排ガスグレード)
■自動車税は州税で、州ごとに税額が決められており、車両登録した州に支払う。税額は対象車が欧州排ガス規制「ユーロ」の、どのグレードに属するかで変わってくる。低燃費車はより割安になる。

■クラシックカーについては?
●20年以上経過の車両はイタリアで「クラシックカー」として認められ、減税対象となる。30年以上の車両は免除。ただしどちらも車両登録は必須。
⇒イタリアで20年以上のクラシックカー(中古車)が大量に売れ残り、税金がかかることから海外に売りに出されることが多くイタリアクラシックカーの文化の流出を恐れた政府が決定した。

●資産税はなく、流通税を一台に付き毎年27ユーロ支払う。所有車のうち、使用するものだけ税金を支払うシステムで、乗らない車には税金はかからない。

オランダのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税(課税基準:自動車重量、使用燃料)
■車両の重量100kgごとに税額は決まるが、値段は居住している州によって違う。1t以下の小型車だとガソリン車は約280ユーロ、ディーゼル車だと約750ユーロ。ディーゼル車だとガソリン車の2倍程度の自動車税がかかる。

●ガソリン車でCO2が110g/km未満、ディーゼル車で95g/km未満という条件を満たせば「エコカー免税」の対象となり税金は免除。

■クラシックカーについては?
25年以上経った車は自動車税免除となる。

スウェーデンのクラシックカーを含む自動車税に関する制度

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自動車税(課税基準:自動車重量または排ガスグレード)
■2006年以前の車両は重量によって課税されるが、2006年以降の車両は排ガス(CO2)量に応じて課税されるよう変更された。ディーゼル車の税率はガソリン車と比べて高く設定され、電気自動車に対しては軽減税率が適用されている。

●自動車税自体は日本の約半分程度の料金だが、取得時の付加価値税(消費税)25%、道路税や炭素税などを足すと日本以上になる。

■クラシックカーについては?
25年以上の車は免税。上記の通り、排ガス基準での課税からは外される。

欧州(EU)諸国の自動車税制に関する考察まとめ

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●ドイツだけに非ず多くの欧州諸国がCO2排出量基準で課税している。(ドイツ・フランス・オーストリア・スペイン・ノルウェー・フィンランド)デンマークは燃費率によって課税。燃費が良い車はCO2排出量も少ない登録税として車両価格の180%(ディーゼル車はさらに課税される)

●燃費が悪い車には重課税、良い車には軽課税することによって環境負荷の軽減、低燃費車購入の促進を図る。

●地方自治体によって税金の金額を変更するなど、地域によって考慮している。(地方の実情、その地域の平均年収等)

ドイツだけではなく、ヨーロッパ諸国のクラシックカーに対する対応をまとめてみました。

個人のブログやSNS、こういったメディアがさまざまな角度から情報を発信していくことで変わることがあると信じています。そんな青臭い正論を…と思われる方もいるでしょう。また、雑誌などではここまでなかなかいいきれない大人の事情も理解しているつもりです。

「保育園落ちた日本死ね!!!」…の、たったそのひと言が国会にまで届いた例もあります。

メディアとして、または個人として。いちクルマを愛する者として。「また古いクルマの税金上げるのか。日本死ね!!!」…とまではいわないまでも。何らかの声を発していきたいと思うのです。

まだまだ多くの日本人が知らないことのひとつに「既に、日本車が文化財として海外で認められている」事実があります。そんな貴重な日本の名車たち、または縁あって日本にやってきた海外のクルマたちを流出させたり、何のためらいもなく簡単にスクラップにしてよいものかどうか…。

ひょっとしたら日本人は(もちろん筆者も含めて)、ムダと贅沢の違いをきちんと理解していないのかもしれません。

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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