トランプ大統領が怒る「アメリカ車が売れない」本当の理由とは?

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ここ数年日本国内におけるアメリカ車の販売台数は減少傾向にある。それはなぜか?ピーク時から現在の20年くらいの日本市場におけるアメ車の存在感を紐解いてみた。

まず、トランプ大統領の外交政策について考察してみる

トランプ氏は貿易赤字が大きな問題であるとの考えを示し、自動車についても日本車と米国車の輸出入比率が不均衡だとしている。またトランプ氏は、日本国内の輸入車市場はヨーロッパ車が伸びてアメリカ車が同様の動きを示していないことも問題だとしている。これは、日本でアメリカ車が売れないのは「非関税障壁があるから」だという見解である。

1996年から、2016年までのアメリカ車の推移

日本市場において、ここ数年から10年で大きくシェアを伸ばしたのは、ドイツ車を中心としたヨーロッパ車だ。転じて、アメリカ車のシェアはここ最近は減少傾向にある。例として、販売台数の多いGMシボレーとフォードのデータで見てみよう。日本自動車輸入組合(JAIA)が公開しているデータによると、シボレーは1996年に23,732台の年間登録台数をピークに、2016年はなんと593台まで減少している。2016年に撤退してしまったフォードの販売台数はピーク時の1995年には22,309台、撤退前の2015年で4,968台。ピーク時の4分の1まで減少しているのである。
※日本自動車輸入組合(JAIA)
http://www.jaia-jp.org/

なぜ1995年前後にアメリカ車は売れていたのだろうか?

では、こんな仮説が立てられないだろうか?バブル崩壊後でありながら、日本が超円高の時代。当時の若者には、シボレー アストロや、カプリスなどのアメリカ車が人気だった。当時のヨーロッパ車はまだ価格が高く、中古でも低年式車でないとメルセデス・ベンツやBMWはなかなか手が出せなかった。それに比べてアメリカ車は意外と安く、日本車とはひと味違う雰囲気が受けたのだ。

あれから早20数年。なぜアメリカ車は衰退しヨーロッパ車は伸びたのだろうか?

時代とともに変わる日本の自動車事情

まずは日本の道路市場から探ってみたい。日本は細い道や信号が多くストップ&ゴーを強いられがちだ。この点は、大排気量かつ大柄なボディを持つアメリカ車には不利だろう。そして足回りは柔らかく、ブレーキ性能もヨーロッパ車と比べたら…好みの問題という点を差し置いても、性能の差はあるといわざるを得ないだろう。例えば、首都高のような道路は非常に不得意だ。ひたすら広大でまっすぐな大陸の道を走って行くのが得意なクルマなのはいうまでもない。環境がクルマを創り、育てるのだ。

次に税制面を見てみよう。日本は排気量が大きくなるにつれて自動車税が増加する仕組みとなっている。東日本大震災における原発事故の影響もあり、電力消費を含めた資源の消費に消極的になりつつあるように思う。最近の傾向として、大排気量のクルマは敬遠されがちである。そうなると、大排気量のモデルが多いアメリカ車は、必然的に自動車税が高くなる。例えば、総排気量4.5L超〜6L以下だと年間88,000円。これが低年式車であればさらに加算される。毎年、自動車税だけで10万円前後の出費を強いられるのだ。

そして経済状況を見てみよう。アメリカ車が売れた1995年前後から現在に至るまで「失われた20年」に該当する。安定成長が終わりを告げ、低迷した20年間を過ごしてきたのだ。

このような状況を鑑みると、アメリカ車は現代の日本国民にはなかなか受け入れられない現状となっているといわざるを得ない。今やアメリカ車は、一部マニアが向けの嗜好品となってしまっているのが現状だ。

日本市場以外ではどうなのか?

日本ではあまり知られていないかもしれないが、ヨーロッパ市場におけるフォードは健闘している。ドイツ連邦自動車交通局(KBA)によると、2016年はシェア6位、シェア7.3%を獲得している。フォルクスワーゲンやメルセデス・ベンツなど、並み居る強豪ドイツの自動車メーカーの中で6位である。2016年12月単月だけで18,731台の登録台数なのだ。年間にすると約20万台売れていることになる。これはざっと日本市場での1995年ピーク時の約10倍にあたる。ちなみに、ドイツにおける日本車の順位は12位に日産、13位にトヨタである。
※Kraftfahrt-Bundesamt(KBA)
http://www.kba.de/EN/Home/home_node.html

そう考えると、本気でやれば日本市場でも健闘できるのではないかと思わず勘ぐってしまいたくなる。ヨーロッパではフォード車は本当に多く見掛けるのだ。コンパクトで乗りやすいだけでなく、ヨーロッパ市場に合わせた小排気量やディーゼルモデル、マニュアルミッション仕様も多数ある。市場のニーズとマッチしているのだ。

片や日本市場においては大柄なボディ、機敏に走れない柔らかなサスペンションとプアなブレーキ、そして未だに大排気量でOHVという古い型式にこだわったエンジン…等々。最近は小排気量もリリースしているが、やはり日本人のイメージからすると燃費が悪いというイメージを払拭できないのであろう。「本気でやれば、アメリカ車は日本市場でも健闘できるのでは?」この点はぜひ安倍首相にアピールしていただきたいポイントである。

では、なぜヨーロッパ車は伸びているのか?

ではなぜヨーロッパ車が伸びているのだとうか?それはやはり、日本車では得られないデザイン性、ステータス性、従来のモデルと比較して燃費の向上、故障の減少、保証の充実、そして日本市場に合わせた企業努力…等々挙げればキリがないだろう。

ヨーロッパ車もひと昔前は日本車より排気量が大きかったが、近年は小排気量化に加えて過給器(ターボやコンプレッサー)を付けてパワーを上げることで低燃費も実現している。またディーゼルモデルの投入も積極的だ。今や、マセラティのディーゼルモデルの正規輸入車が買える時代なのだ。ディーゼルエンジンに過給器を付けるとさらにトルクが出て、高燃費を実現できる。燃料は軽油なので、ガソリンと比較しても安く抑えることができる。総排気量1.5L超〜2L以下だと39,500円であることからも、自動車税も前述のアメリカ車の約半分で済んでしまう。最近ではエコカー減税の適用も受けている輸入車もある。日本市場に合致したモデルやグレードを輸入しているメーカーもあるほどだ。

日本の税制への疑問を抱く

アメリカ車 トランプ大統領

しかし、日本の自動車税などに代表される制度にも問題を感じる。日本は排気量によって税金が変わるのはご存知の通りだ。言うまでもなく、排気量が大きくなれば税金が上がる仕組みだ。本来であれば、燃費によって自動車税を決めるべきではないだろうか。現代の最新型の自動車はアメリカ車も含め、大排気量でも燃費が大きく向上している。もはや、排気量によって税金が決まる仕組みを見直す時期に来ているのかもしれない。また、ドイツに代表されるような、古いものを長く使ったら税金が優遇されるような仕組みも皆無といっていい。日本ではむしろ古くなると自動車税が上がってしまうのだ。古くなったら捨てろと言っているようなものである。ドイツでは古くなったら走行距離も少なくなるのだから、税金を優遇してあげよう。古いものを大切にしよう。という高尚な文化がある。

輸入車は丈夫で消耗部品を交換すれば長く使えるのが一つの特徴であり美点だ。この辺りの制度も含めて、日本政府は現状をしっかり分析し、主張すべきことはハッキリ主張し、他国の見習えるところは見習って、世界に堂々と発信できる真の先進国を目指すべきであろう。

結論:今後、日本市場におけるアメリカ車はどうなっていくのだろうか?

日本市場でシェアを獲得したいなら、ヨーロッパメーカーのように徹底的に日本市場を研究して、それに応えるモデルを出して行くべきだろう。あるいは、独自路線で行くか。ハーレダビッドソンのようにアメリカの色をもっと強調し、熱狂的な愛好家を増やしていくかだ。その点、JEEP等は独特の色を出し、健闘していると言える。

輸入車とはその国の文化に触れることでもある。日本は島国なので外国人や異文化交流が少ないが、一歩外へ出るとあらゆる人種が普通に一緒に仕事をしている。まずはクルマからでも世界中のクルマに触れてみてはいかがだろうか。新たな発見があるかもしれない。またそうであってほしい。これがカレントライフ編集部からの願いである。

[ライター/CL編集部 画像出典/Pinterest]

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