クラシックカーオーナーの方々と接してみて分かる、ごくごくシンプルなこと

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先日、クラシックカーの領域に入っているモデルのオーナーさんたちを取材させていただく機会がありました。

日本車、輸入車なんて区別すること自体がもはや野暮だと思える取材でした。そこで気づいたことを備忘録的にまとめます。

自らの手を汚している

何らかの形で、できる限り「自分でできることは自分でやる」というスタンスのオーナーさんばかりでした。出先でのトラブル対応への備えはもちろんのこと、日々のメンテナンスや、果てはレストア作業にいたるまで‥。自らの手を汚し、資料を入手し、そのクルマの構造や特性を理解することで、はじめて「クルマそのもののコンディションを把握できる」という考えの方が多い印象でした。

周辺の騒ぎなど、気にしない

ここ数年で、急に価値が上昇したクラシックカーも少なくありません。信号待ちの最中に突然「いいクルマですね。売ってくれませんか?」と声を掛けられ、驚いたこともあるそうです。なかには、いま持っているクルマを売れば、買ったときの何倍もの値段で買い手がつくよ、といった内容の連絡をくれる友人・知人もいるとか…。そもそも売る気などさらさらないし、手放したらいまのコンディションと同じ個体を手に入れることはほぼ不可能だと理解しているので、やんわりとお断りをしているそうです。

一刻も早く価格の高騰が落ち着いて、また以前のように静かに趣味を楽しみたいという意見が多かったのも印象的でした。

そのクルマのことを真剣に考えている

クルマを大切にしている方であれば、個人差はあれど真剣に考えることは間違いないでしょう。しかし、その「覚悟」の度合いが格段に違うという印象を持ちました。もしかしたら、家族よりも優先度が高いのでは???と思える方も少なくありませんでした。雨の日は乗らない。道路工事しているところは迂回する(または引き返す)。錆びるので洗車はしない…等々。接し方は人それぞれですが、生半可な気持ちで手を出すと、すぐに手放すことにもなるかもしれません(後述しますが筆者がまさにそうでした)。

そのクルマに乗る仲間たちのことも真剣に考えている

驚いたのはここです。自分さえよければいい、という考えではないのです。同じ車種に乗る仲間が困っていたら、自分の情報源やネットワーク、果てはストックしているパーツを適正価格で譲るなど、協力を惜しまないというスタンスの方が多いことも印象的でした。仮に世界的な名車を手に入れても、孤独のカーライフを好む方でない限りは、楽しみを共有できる仲間がいた方が、喜びも悲しみも共有できる楽しみがあります。

オリジナルにこだわっている

やはり、オーナーよりも長く原型を留めるにはオリジナルがベストなのでしょうか。ビス1本からオリジナルにこだわる方、エンジンや足回り、タイヤなど、現代の技術や部品をうまく取り入れ、コンディション維持とオリジナル度合いのバランスを保ちながら所有している方。どちらかというと、輸入車より日本車の方が当時のオリジナル度を維持するハードルが高いようで、どこまで当時モノにこだわるか(こだわることができるか?)、試行錯誤を繰り返しているそうです。

俺の愛車というより、一時預かり品という感覚

現時点では私がオーナーだけど、年齢を重ねて乗れなくなったら、このコンディションを維持してくれる方に引き継いで、少しでも長く原型を留めて欲しい・・・。どのオーナーさんからも、ほぼ確実に、こんなニュアンスのコメントをいただきました。もはや、名画や骨董品の領域です。

動かしてあげることが最良のコンディション維持だと考えている

日の当たらないガレージや、24時間エアコンが効いた部屋にしまい込んでいるようなことはせず、定期的にエンジンを掛けて、走らせるよう心掛けているそうです。コレクションや投機目的ではなく、ただただ単にそのクルマがどうしようもなく好きだから乗っている、という方々からお話しを伺えたことも幸運だったのかもしれません。

人の繋がりを大切にしている

オーナーズクラブに加入しているかどうかは別にして、愛車のコンディションを維持するためのネットワークを構築している印象を持ちました。どれほど莫大な資産やプライベーターの域を超えた技術を持っていたとしても、最後は人と人との繋がりがあってこそなんだと実感しました。このときの取材で感じたことは、情熱を内に秘めつつも、穏やかな方々が多かったのが印象的でした。自然体で人にもクルマにも接しているからこそ、息切れすることなく所有し続けていくことができるのかもしれません。

クラシックカーは生半可な気持ちで手を出すべきではない?

筆者も、若いときに生半可な気持ちでクラシックカーを購入したことがありました。乗らなければコンディションを崩しそうだし、いざ乗ると無事に帰宅できるか分からない不安…。「買えば何とかなる」。若気の至りといえばそれまでですが、いま振り返るとあまりに愚かな行為だったと思います。

クルマを停めていたところが「青空駐車」だったので、やむなくボディカバーを被せました。乗る度にカバーを取ることになるのですが、塗装面のひび割れが進行しているのが目に見えて分かります。大型台風が日本に上陸したときには、深夜1時間おきにクルマの様子を見に行きました。屋根付きのガレージに保管していれば、こんな目に遭わせずに済んだのに…。自分のせいで、加速度的にこのクルマの寿命を縮めているのではないか…。そんな罪悪感に苛まれました。

結局、そのクラシックカーを手放すことになるのですが、今度手に入れることがあったら、所有するにふさわしい環境を整えてからにしよう。背伸びせず、堂々と乗れるようになるまで精進しようと固く心に誓いました。実は昨年、当時所有していたこのクラシックカーに再会する機会がありました。筆者のあとのオーナー氏により、美しく仕上げられた個体を観ていてぐっとこみあげてくるものがありました。…と同時に、もはやいまの筆者には手が届かない存在となっていました。

クラシックカーオーナーの方々と接してみて思うこと。

それは「物を大切にする気持ちが圧倒的に他の人より強い」という、ごくごくシンプルな結論に至ったのです。それは簡単なようで、なかなか真似ができないこと…かもしれません。

[ライター/江上透]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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