たった1冊のクルマのカタログが、その後の人生を大きく左右することってあると思う

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たった1冊のクルマのカタログが、その後の人生を大きく左右することってあるように思います。既に愛車は手放してしまったけれど、当時、手に入れたカタログはそのまま保管してある・・・そんな方も多いのではないでしょうか?

恋い焦がれた日産フェアレディZ(Z32)のカタログを手に入れたときの喜びといったら・・・

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲フェアレディZ(Z32)のカタログの表紙の色といえば「赤」でした(後に変わります)

筆者が高校生のとき、学校の文化祭にOBがブラックメタリックの日産フェアレディZ(Z32)に乗って現れたんです。男子生徒は文化祭そっちのけで大騒ぎ。当時の最新かつ現行モデルのZ32を20代前半の先輩がどのように手に入れたかは分かりませんが、それはもう格好良くて・・・。当時は本当に羨ましかったんです。こちらはクルマを持つどころか、運転免許すら取得できなかったときですから。

まずは実車を間近で観てみたい。当時、筆者は高校生ですから、移動はママチャリです。高校生がママチャリでディーラーに行くのはあまりにハードルが高すぎます。そこで父親に頼み込み、近所の日産ディーラーにクルマで連れて行ってもらい、たっぷりとZ32に触れさせてもらいました。すると帰り際にセールス氏がカタログをくれたんですね。「NISSAN SPORTS Fairlady Z」と書かれた真っ赤なインクで印刷されたカタログ。あのときの記憶は一生忘れません。「俺も二十歳になったらぜったいにZ32を買ってやる!」と固く心に誓った瞬間でした。

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲オーナーだった方はもちろん、筆者のように憧れていた方も、何度も何度もカタログを読み返したのではないでしょうか?

しかし、新車で軽く400万円オーバー、人気モデルであったため中古車でも高値安定だったZ32、20代そこそこの若者が買うなんて、夢のまた夢だったことを思い知らされます。それでも、飽きもせずに毎日のようにカタログを眺めました。

ホンダNSX(初代)発売日にカタログをもらいに行く。その格好は・・・

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲「学ラン+ママチャリ」でもゲットできたNSX(初代)のカタログ。手にしただけで、その日の天気や情景ですら思い出せます。いま思うと恥ずかしいやら、ディーラーも方もよく対応してくれたなと思うやら・・・

ホンダNSX(初代)が発売されたときは、実車が観たいあまり、放課後(懐かしい響き!)に「学ラン+ママチャリ」で地元のホンダベルノ店に単身乗り込みました。あいにくNSXはありませんでしたが、縦長の大判カタログをくれたんですね。車両本体価格900万円のスーパーカーを「学ラン+ママチャリ」の高校生が買うなんてことはほぼ100%ありえません。それでもカタログをくれたんですね。あのときの感動は忘れられません。

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲NSXというクルマのことを少しでも理解するうえで、解説のページはとても重要。何より確かな資料として、 中古車で手に入れた方には重要な役割を果たすことにもなるのですから

いまでもこのカタログは保管しています。何度も何度も読み返したのでボロボロですね。その痛み具合も含めて、忘れかけていた記憶が、一瞬で甦ってきます。まるで、少年時代のアルバムを読み返しているようです。

タブレットでクルマの魅力を伝えられることの「味気なさ」を実感

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲フェアレディZ(Z32)のカタログの表紙をめくると目に飛び込んでくるコピー。これで心を鷲掴みにされてしまったわけでして・・・

先日、以前から気になっていたある輸入車を観るために、地元のディーラーへ行ってみました。

すぐさま20代半ばと思しきセールス氏が駆け寄ってきて、駐車スペースに誘導してくれます。ここのディーラーではありませんがかつて「オマエみたいなのが何しに来たの?」といったオーラを思い切り感じたメーカーでもあるため、この好待遇にはちょっと不思議な気持ちでした。

「本当に興味があって観に来ただけだから、他のお客さんを優先して対応してください」と何度も念押ししたものの、潜在お客と思ってもらえたのか、はたまたセールストレーニングマニュアルに「試乗を促してみるように」と書いてあるのか、積極的なセールストークを展開してくれます。

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲NSX発売日にカタログを読みながら「どんなことしたらこんなの(NSX)を買えるんだろう・・・」と思っていましたね

若きセールス氏は、iPadを駆使してそのクルマの魅力をていねいに説明してくれました。走行シーンやエンジン音などはyoutubeにアクセスして動画で説明してくれるなど、現代のセールスとして理想的なトークを展開してくれたことは間違いありません。しかし、どうも心に響いてきません。・・・といっても、若きセールス氏のトークに問題があったわけではないのです。ショールームのテーブルで美しい女性スタッフが淹れてくれたコーヒーをいただきながら、カタログをじっくり眺めつつ、これからのカーライフに想いを馳せる・・・あの高揚感がどうにも得られなかったんですね。それはなぜか。

カタログの代わりにiPadで説明してくれたからだと気づきました。見た目にもスマートなiPadで説明した方が、いかにも輸入車ディーラーっぽい演出であることはよく分かります。そういえば、先日、ある輸入車のセールスマニュアルの製作をお手伝いしたのですが、納品形態は紙ではなく、pdfでした。やっぱりどこか味気ないんです。

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲当時の価格表も、当時を振り返るうえで大切な要素。スカイラインGT-R(R32)って、当時は400万円台で買えたんですよね・・・

ディーラーでカタログを1ページずつめくりながら、こんなところを走ってみたい。ボディカラーはどうか、オプションはどうか。あれこれと思案する、あの楽しくも悩ましい時間って、実はクルマを購入するうえで大事なプロセスだと気づいたんですね。カーコンフィギュレーターを使えば、たとえば自宅のベッドで寝転がりながら、自分好みのボディカラーやオプションを厳選したクルマを作り上げることも可能です。自宅でできることをショールームで反復できるのはどうも味気ないんですね。もしかしたら、こんなことを気にするのは筆者だけか、少数の方だけかもしれませんが・・・。

美しいビジュアルと、キレのある文章、印刷物特有の匂い・・・(メーカーごとに特有の匂いがありますね)。あのワクワク感と「カッケー!」と叫びたくなる、ページをめくったときの高揚感。「作り物」としての手応え、所有感を満たす点において、タブレット越しではどうにも味気ないのです。

たかがカタログ。されどカタログ。渡す側にも受け取る側にもドラマがある

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲筆者はカタログコレクターではありませんが、発行時期によって仕様が異なる点もマニアにはたまらないポイント

このカタログ、ユーザーは無償でもらえることが大半ですが、どこかで誰かが費用を負担しています。輸入車ディーラーであれば、インポーターから「1冊いくら」で買っていると知ったのは大人になってからでした。装丁がハードカバーであれば、その分印刷(製本)代が掛かっています。当然、1冊あたりの単価も高くなります。そんな高コストなものを、一見さんに気前よく渡せるわけがありません。

肝心なのは「明らかにカタログ入手目当ての来場者」や「明らかに見込み客(長期的視野では潜在顧客になりうる)でない」相手に、どのようにやんわりと断るかでしょう。これは、芸能人がスポーツ選手などの有名人が、ファンからサインや握手を求められたとき「どう神対応するか」に近いかもしれません。

GT-R NSX フェアレディZ RX-7

GT-R NSX フェアレディZ RX-7
▲カーコンフィギュレーターを使えば、思うがままにボディカラーを選べます。ただ、こうして一覧で眺めてこそ気づくこともあるんですよね。カタログを観てNSXにイエローのボディカラーがあると知った筆者は、さっそくタミヤのプラモデルを購入。この色にペイントしました(先日、社長の田宮昌行氏がお亡くなりになりましたね・・・)

断る方は毎回のことでも、断られる方は意を決して、相当な覚悟で頼んでいる場合もあるからです。それだけに「神対応か塩対応か」で今後の印象が180度変わってきます。

もし、輸入車/日本車、ディーラー/独立系の現役セールスの方がこの記事をご覧いただいているとしたら・・・。カタログ1冊もらうにも相当な勇気をもって話し掛けていることに気づいてもらいたいと思います。これは、来店する行為も同じです。たとえ完全にミスマッチな来場客だとしても、数年後は分からないからです。

もちろん、ユーザー側にも節度が求められるでしょう。あまりに図々しいお願いや、週末のフェアなどで忙しいときに空気を読まない頼みことをすれば「勘弁してくれよ」と思われても仕方ありません。1冊のカタログが人生を左右する力を秘めているのですから、一期一会を大切にしたいものですね。

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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