バイアスがかかった記事は、ポルシェ911オーナー予備軍の夢と希望をぶち壊す

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カレントライフ編集部と執筆陣の皆さんとのあいだで、ある記事が話題となりました。要約すると、古めのポルシェ911(おそらくは993)を購入したオーナーを例に挙げた内容で、「ポルシェを維持するには想定外のお金が掛かる」というもの。奇しくも「20年落ち、走行1万キロ台のポルシェ911は果たして「買い」なのか?」と同日に公開されたようです。

どのような取材をしたのかは分かりませんが、オーナーや輸入車販売の世界に携わる人であれば、意図的に維持費が掛かる方向に振ったとしか思えない記事であることは明白。「もしかしたら炎上商法?」と勘ぐってしまったほどです。

少なくとも、この記事を書かれた方がポルシェを所有していたり、その経験があるとしたら、公開されているような内容にはならないと断言できます。なぜなら「節約したり、カットできる項目がいくつもある」からです。つまり、オーナーが維持するうえで身についているはずの「工夫」や「知恵」がどこにも見当たりません。ただ「維持費が掛かる」と連呼しているだけ。そこまでいうなら、ポルシェどころかクルマを所有すること自体をやめたら?と問い詰めたくなるほどでした。

なかには、この記事の内容を「額面通りに受け取ってしまう方」もいるはずです。掲載されているメディアや、記事を書いている方の肩書きゆえ、至極もっともらしく聞こえきます。いわゆる「活字のマジック」です。

さらに最悪なパターンとして、この記事をオーナー予備軍の奥さんや家族、パートナーなどが読んでしまうケースです。前述の「メディアの知名度」や「活字のマジック」効果で、購入に傾きかけていた話しが白紙になるほどの破壊力を秘めています。また、すでにオーナーとなっている方でも、例えば奥さんがこの記事を読んだら「アンタのポルシェ(もちろん他のクルマでも)こんなに維持費掛かってるの!」と問い詰められてもおかしくないほどです。夫婦喧嘩でやり玉にあげられて形勢が不利になることもありそうです。いや、現実にあるでしょう。

20数年ほど前になりますが、雑誌の記事であるモータージャーナリストの方によるポルシェ911のタイヤに関する記述がありました。解釈によっては「5000キロごとに替えるのが望ましい」とも受け取れる内容でした。この記事を読んだとき「エンジンオイルではなく、タイヤを5000キロごとに交換なんて。これほど維持費が掛かるようでは、911なんてとても買えないや」と絶望したものです。いまでもハッキリ覚えているくらいですから、当時のショックは相当なものだったのでしょう。そして、この「5000キロごとに替えるのが望ましい」がすべてではないと知ったのは大人になってからでした。

実は、カレントライフで公開した記事で「テスタロッサ高騰なんて、こんなことを書かれたら買えるものも買えなくなるだろう」とお叱りを受けたことも正直あります。しかしそれは、現実に起こっている、あるいは起きはじめていることを形にして「もし迷っていたり、数年先には…と考えているとしたら、可能であれば早めに決断してください!」というメッセージを記事に込めたつもりです。もちろんバイアスのかかった(偏った)記事にならないように配慮しつつ、その道のプロに取材をして、裏付けを取ったうえで公開しています。

今回はポルシェ911が題材になっていたのでタイトルにも入れましたが、このクルマに限らず、よほど特殊なモデルでなければ日本のどこかにオーナーさんがいます。たとえ面識がなくても、こちらの事情を伝えればオーナーさんも何らかの相談に乗ってくれるはずです。その手段として、インターネットは強力なツールとなってくれます。

メディアとして、公平性や客観性を重んじたうえで記事を配信することは重要だと考えます。と同時に、この仕事はサービス業だとも感じています。サービス業ゆえ「記事を読むことで、夢と希望をぶち壊す」ことはできる限り回避したいのが本音です。少なくともカレントライフでは「夢と希望をぶち壊す」のではなく、「何らかの解決法がきっとある!」方法を模索していきたいというのは偽らざる思いです。

[ライター/江上透]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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