まさにコンクール・コンディション!宝石のような2代目SLクラス(W113)、中でもさらに希少な「250SL」との邂逅

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昨日は快晴だったのに今日は雨。天気予報がなかなか当たらない…秋の空が変わりやすいのは、日本もドイツも同じです。秋は一瞬で過ぎ去り、すぐに長い冬が到来することを知っているドイツの人々は、だからこそ晴れた日の午後をたっぷり外で遊んで過ごします。そんな晴れた日の午後に、ベルリンの街中で古く美しいメルセデス・ベンツと出会いました。今回の主役は、メルセデス・ベンツSLクラスの2代目モデル、250SL(W113)です。

もともとの意味は「超軽量」

メルセデス・ベンツには多くのオープンモデルがラインナップされていますが、その中でも最高峰の2シーター・オープンスポーツカーとして長く頂点に君臨し続けているのがSLクラス。歴史をたどれば、1954年に登場した初代モデル・300SL(コードW198)から現在まで、途切れることなく生産が続けられています。レーシングカーをルーツとし、非常に凝った構造のシャーシを持つW198のネーミング「SL」は、「Super Leicht(ズーパー・ライヒト:超軽量)」を意味していました。

2代目SLクラス(コードW113)の時代に入ると、「SL」のもともとの意味は薄れ、より高級志向、ツアラー志向の方向性にシフト。現在までつながるSLクラスの方向性は、2代目のW113で確立されたと言ってよいでしょう。W113のデビューは、1963年3月のジュネーブ・モーターショーのことでした。以降、1971年に3代目SLクラス(コードR107)にバトンタッチされるまで、約8年間に48,912台が生産されています。

ドイツ人は古いメルセデスがお好き?

ドイツでは、普段乗られているクルマがあまり洗車されておらず(ドイツのビルト紙によれば、ドイツ人の年間平均洗車回数は6回)公道を眺めていても「ほこりをかぶったクルマが多いな」という印象が強いのですが、一方で古いクルマに対する愛情の掛け方は別格、と言えるかもしれません。とくに古いメルセデス・ベンツとポルシェに対しては、愛情の深さを感じることが多いです。今回撮影したW113も、コンクール・コンディションと断言してもよいほど、非常に美しい状態を保っていました。

曇りひとつないメッキパーツに、歪みのないボディパネル。上品なクリーム色の外装に、赤い幌がとてもよく似合っています。これほど美しいW113はめったにお目にかかれないと思うのですが、リアに刻まれたエンブレムに筆者はさらに驚いてしまいました。「250SL」だったのです。250SLはW113の歴史の中でも生産されたのは約1年間のみ、W113の総生産台数48,912台のうち、わずか5,196台しか作られていません。しかも、そのうち3分の1以上の1,761台がアメリカに輸出されています。現在、動ける状態でドイツに生息している250SL(W113)はどれくらいいるのでしょうか…。

古さを感じさせない美しいデザイン

1963年のデビュー時、用意されたのは2.3リッター直列6気筒SOHCエンジンを搭載する230SLのみでした。250SLは1967年のジュネーブ・モーターショーで発表され、1967年12月には280SLに移行します。230SLからの変更点は、4輪ディスクブレーキの採用、ガソリンタンク容量を65リッターから82リッターに増量、最高出力は変わらないもののトルクを増した2.5リッターエンジン、と多岐に渡っていました。

オプションで用意されたハードトップは、真ん中が凹んだ独特の形状で「パゴダ・ルーフ」と呼ばれ、「パゴダ」はそのままW113の愛称となりました。クルマをデザインしたのは、当時ダイムラー・ベンツに所属していたフランス人デザイナー、ポール・ブラック。画家や彫刻家の肩書きをも持つ彼がデザインしたW113は、今でも当時と変わらぬ魅力で、多くの人々を魅了し続けています。美しく、エレガントな250SLは、オーナーからの深い愛情を受けて、これからも長くドイツの地で走り続けることでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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