自動車大国といえど…ドイツでも深刻化する「若者のクルマ離れ」

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日本でも度々話題となる「若者の〇〇離れ」。特に取り上げられるのは、日本をはじめとする先進国で深刻化している「クルマ離れ」。アラサー筆者の日本に住む同世代の友人もマイカーを持っている人は少なく、敢えて持たないという人も。そしてドイツも例外ならず、若者のクルマ離れに悩んでいると言います。

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筆者も、ドイツ国内で地方都市から田舎町へ引っ越しました。都市部に住んでいたころは、クルマが必要だとは1ミリも思いませんでした。24時間、10分間隔でトラムとバスが走っていて、街のほとんどの地域をカバーしています。クルマの方が駐車場を探しに苦労するし、料金も高い。必要なときはいつでも街中にカーシェアリングやレンタカーがあるから困らない…。このように、都市部に住む若者たちを中心にクルマの必要性は少なくなっています。

クルマがステータスの時代は終わった

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社会的ステータス、そして個人的成功を表す対象がクルマだった時代は日本だけならずドイツにもありました。若者たちはお金を免許・自動車代に貯めるのではなく、電子機器や旅行に使いたがる傾向がドイツでも同じです。

モノが飽和し、どんどんデジタル化していく時代。若者たちの興味の対象も移り変わっていきます。若者世代の貯蓄の対象に関してドイツ銀行が調査したところ、26歳以下の52%が消耗品、23%が学費、17%が老後のためという結果になりました。消耗品の中でも、クルマと答えたのはわずか10%以下。ドイツでは2000年時点で18~29歳の44%がクルマに興味を持っていたのに対し、2016年は31%でした。

最近のステータスシンボルは、最新スマートフォンであったり、限定品のマウンテンバイクや家具など、様々なジャンルで個人のこだわりを表すことが重要なようです。今や若者たちにとって、クルマはステータスシンボルではなく、社会生活において「便利なツール」という位置づけになりつつあるのが現状です。

免許は取るが、クルマは買わない

ドイツの大都市シュトゥットガルトでは、18~25歳の自動車保有台数が2000年は12,600台だったのに対し、現在はわずか5,000台。全国的に見ても20年前の同年齢層における自動車保有率は50%でしたが、現在はわずか25%という結果になっています。

しかし、自動車免許取得率は保有率と比べ、大きくは減少していません。ドイツでも就職時などの資格を考え免許取得する人は多く、一番多い年齢は23~24歳。21歳以下で取得する人は全体で30%、18歳で免許取得しているのはわずか20%となっています。取得意欲が弱まり、年齢は高くなっているものの、クルマをいずれ利用したいという意欲は未だに高いと言えます。

日本では、就活や休暇中の旅行に備えて学生時代に免許を取る人が多いのではないでしょうか。ドイツは卒業時期もバラバラで、20代後半という人も珍しくありません。ドイツでは原則的として、卒業後に就職活動を初めます。アルバイトをしつつ、学校を卒業から1~2年後に初めて企業に就職するということも少なくありません。在学中は学業に集中し、免許取得は卒業後、または就職してからという人が多いようです。

筆者も、学生時代をドイツで過ごしてみて分かったことですが、この国の学生は交通費がほとんどかかりません。学生証には、在学校がある街および州全域の公共交通機関費が含まれており、すべて無料で利用することができるのです。大学まで進学する人なら、20代半ばまでずっと無料で乗り放題。それなら、クルマの重要性も薄れてくるかもしれません。

環境政策と急成長するカーシェアリング

ドイツの若者がクルマを持たない理由として、「日常生活に必要ない」という意見の横に並ぶのが「環境に悪い」という点です。

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▲通勤&帰宅ラッシュが引き起こす渋滞や大気汚染にも嫌悪感があるという

2030年までに化石燃料エンジン走行車は全排除すると宣言するドイツ。環境先進国だからこそ、クルマがいかに環境汚染に影響しているかという問題に取り組み、改善策として走行規制や電気自動車普及のキャンペーンを行っています。都市交通の最適化や環境負荷を軽減しようとする国民意識が浸透している中、若者世代はこの環境汚染に敏感になっており、逆にクルマを持たないことがトレンド化しているといいます。

クルマを購入したら、毎月の保険料や税金、維持費を支払い、さらに燃料費まで負担しなければなりません。ドイツは日本と比べてもクルマの価格が高いうえ、通勤に使えば毎月おおよそ300~500ユーロが車税や燃料代に消えます。そして独身・子供なしの労働者における所得税控除率は40%。クルマを持つことで経済的にも厳しい状況に置かれる若者の中には、免許やマイカーを既に諦めている人も多いのです。

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そんな中、メンテナンスもいらず、必要なときだけ利用した費用を払う「シェア・エコノミー」スタイルが一般化しつつあります。その対象となるのが、カーシェアリングやドイツでは有名な相乗り制度(Mitfahrergelegenheit)です。免許取得後、しばらくはカーシェアリングで十分という若者も多く、「フローライディング」というクルマの在り方が変わってきた今だからこその考え方なのかもしれません。

ドイツでは、環境への配慮や社会的な問題意識の高まりが、若者へクルマの印象をネガティブなものにさせています。コミュニケーションの手段やモノへの価値観が変わり、クルマにコストをかけることや愛することが無意味だと考える人が増えてきたように思います。今後はますます電気自動車が普及し、クルマを取り巻く環境は10数年先にはまったく異なるの世界になっているでしょう。そのとき、若者たちはあらためて「クルマ」をどう受け入れるのでしょうか。この先のシフトチェンジが、クルマ離れへの問題をどのように解決してくれるのかが気になります。

[ライター・写真/NAO]

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NAO

在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

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