日本では見かけなくなったサーブ900。ドイツではHナンバーを掲げてまだまだ現役!

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以前は頻繁に街中で見ていたはずなのに、気が付いたら全く見かけなくなった・・・読者の方にも、そんな思いを抱いているクルマがいくつかあるのではないでしょうか。筆者がベルリンに住むようになってから、「日本では見かけなくなったものの、ドイツではまだ走っているところを見ることができるクルマ」をチェックするのがひそかな楽しみとなっているのですが、今回ようやくこのクルマを写真に収めることができました。サーブ900です。

サーブ900は15年にも及ぶロングセラー

サーブ900といえば、やはりこの初代モデル、通称クラシック900を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。初代サーブ900は、1979年から1994年まで販売されていたロングセラーモデルで、既に生産終了から20年以上経過しています。写真の個体はHナンバー車ですから、少なくとも1987年以前のモデルということになります。

それにしても、今見ても本当に斬新なスタイリングです。縦置きのエンジンが収まっているとは思えないほど薄いボンネットに、ポルシェ911よりも立ったフロントウインドウ。プリンをスプーンですくったかのようなバッサリと落とされたリアに、視認性を考慮した大型の灯火類。特に、飛行機のキャノピーを思わせる大きく湾曲したフロントウインドウは、サーブ900の強烈なデザイン・アイデンティティでした。

もともと航空機や軍需品メーカーとして出発したサーブ。1990年には自動車部門がGMの傘下に入って別会社「サーブ・オートモービル」となり、元のサーブとは関係がなくなりました。しかし、それ以前のサーブは自動車の設計に航空機の経験がかなり生かされていて、独特の空力スタイリングやターボ・エンジンのもとになっています。

サーブが得意としたターボエンジン

先代モデルのサーブ99が、北米市場での「もっと大きな馬力が欲しい」という声に、大排気量化・多気筒化で対応するのではなく、ターボを採用して馬力アップを図ったのは、いわば近年のダウンサイジング・ターボ化のはしりと言えるのではないでしょうか。後継モデルのサーブ900にも、もちろんターボモデルが存在。最上級モデルの「ターボ16S」は160馬力を発生しました。

サーブ900は、日本にも1980年代のバブル景気以降、かなりの数が輸入され、比較的街中でもおなじみの存在となりました。日本でもカブリオレやターボを見ることは難しくなかったように思います。ところが、親会社であるGMの不振で新車の開発や販売が滞ってからというものの、2000年代に入ってサーブは急激に日本から姿を消していきました。今や、日本の中古車販売サイトを検索しても、流通しているサーブ900は数えるほどしかありません。

ドイツの冬にサーブ900はぴったり?

そうした状況に比べると、ドイツではまだ比較的多くのサーブ900を街中で見かけることができます。また、中古車検索サイトでも、20万キロ〜30万キロ以上を走破した猛者たちが比較的安価で売られているのを確認することができます。「走行35万キロ、現状渡し、1000ユーロ(=約13万3千円)」というちょっと怖い物件から、マニアが大切に維持してきた低走行でコンディション良好な個体まで、選択の余地が残されているのは喜ばしいことです。

ドイツの冬は長く、寒さもかなり厳しいです。サーブ900の寒冷地に適した設計が、ドイツの風土にそのまま馴染むというのも、ドイツで多数の個体が生息している理由のひとつではないかと思います。トランクリッドは凍結防止のためダンパーを使わずに開く構造ですし、手袋をしていても操作しやすいコクピットの大きいボタン類や、強力に効くヒーターなどは、きっとドイツでも重宝するでしょう。

街中で、野太い独特の排気音を響かせて走り去るサーブ900を見ていると、「サーブ・ブランドの消滅。EVにもその名を使われることはない」というニュースを思い出して、少し寂しい気分になります。自動車会社としてのサーブはなくなってしまいましたが、クルマは未だ人々のもとで生き続けています。ガソリンエンジン車が公道を走行できなくなるその日まで、元気に走り回ってもらいたいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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