社用車がポルシェというケースも。ドイツ企業のカンパニーカー(社用車)事情とは?

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日本では社用車(カンパニーカー)を1人1台に当てがわれたり、また頻繁に私的利用することはあまりないのではないでしょうか?ドイツの企業では、従業員へ社用車を貸与し、これをプライベート兼用で乗るというケースはめずらしくありません。社用車を貸与させることで、出張や顧客への訪問などに対応できるのはもちろん、遅延や運行中止などが多いドイツの鉄道移動でのトラブルを避けるメリットもあります。それに、マイカーをもたない従業員にとっては、プライベートにも使えるという点は何かと便利なのではないでしょうか。

これはドイツの企業で一般的に行われているシステムなのです。現在、筆者宅も、家族の勤務先の社用車を貸与してもらっており、通勤&プライベートにも使用しています。スーパーに行くのもクルマがいる田舎町なもので、非常に助かっています。そこで今回は、 日本ではあまり知られていないかもしれない、ドイツの社用車事情についてご紹介します。

社用車のプライベート利用での課税額は?

社用車をプライベート利用するにあたり、「いくら払えばよいのか」というのが問題となってきます。企業(雇用者)が許可した上で、社員(被用者)が社用車をプライベートに使う場合には現物給与として扱われます。そのため、賃金税と付加価値税の課税義務が発生します。課税方法はおもに2通りで、「運転記録方式」と「定額1%方式」が適用されます。

●運転記録方式
・走行するたびにそれが社用か私用か通勤用かを記入し、私用走行した距離分を割り出して課税する方法
・プライベートで乗った分だけ毎月課税されるので、税額は変動
・この方法は運転記録帳への細かい記入規定がある
(具体的には走行後すぐに記入、時系列、記録に時間的空白があるのはNGなど、なかなか厳しいものです。目的地の住所も番地まで細かく記入する必要がある)

●1%方式
・新車販売価格(税込)の1%を毎月賃金税として課税すること
※ただし、この方式は社用車を50%以上通勤に使っていることが条件となる

・新車販売価格(税込)の1%の金額と、さらに自宅から勤務地までの走行実距離(片道)1km当たりのクルマの税込定価の0.03%を掛けた額(または実距離1kmに実際の通勤日数×クルマの税込定価の0.002%)を足した合計が課税額

この方式は、毎月一定額なので、被用者は運転記録式より手間がかからないのがメリットでしょうか。経理や税理士も「できればこの方法で…」と思う人が少なくないようです。(運転記録式は処理する側も大変なのでしょうね)楽な方法ですが、プライベート利用が少なかった月は、被用者が納め損をする場合があるのも注意点ですね。

ちなみに筆者宅の社用車はこの1%方式がとられており、おおよそ月500ユーロ(6万円)が社用車への税金として引かれています。中古で5年落ちのモデルですが、どんなにクルマが古くとも課税率は新車価格から決まります。たとえその社用車が中古購入であれ、リースであれ、メーカーのカタログ料金で計算されます。最初このシステムと税額を聞いたとき「なんでそんな取られるの!?」と理解できなかったのですが、これがドイツの法律で決まっていると言われれば仕方がない。会社の決めたクルマですし。プライベート用に月6万、得なのか損なのか?普通にそのお金でマイカー中古で買ったほうが安いような…と思いつつ。わが家の社用車は地味~に(がっつり?)家計に響いております…。

ドイツ企業の社用車と給与の関係

筆者宅の事情はさておき。先日、興味深いニュースがドイツ自動車経済誌アウトモビールボッヘにて公開されました。ドイツの企業では、どの自動車メーカーを社用車として利用しているか、またそのメーカー車に乗る社員たちの平均給与はいくらかの統計です。


(アウトモビールボッヘサイトより)

ドイツでは国内有職者の10%が、プライベート利用も兼ねた社用車を所有しています。一般社員では9%、社長をふくめた役職を持つ社員は46.5%が社用車を利用しています。一般社員も多くがマイカーを持っているので、プライベートも兼ねている社用車利用の割合は、全体的にはそれほど多くないようですね。

一番高い価格帯の社用車に乗るのは、マーケティング・PR・事業コンサルティング・IT分野の職業だそうです。これらの分野では、一般社員で475~500万円(※)のクルマ、部長クラスは700万円、経営幹部は725万円という結果でした。(※表記はすべてそのモデルの新車価格。中古やリースで購入している場合がほとんどです)

企業の規模によっても社用車価格は異なり、家族経営や経営規模が小さな企業だと社用車価格は337万円ほど、従業員20,000人を超える大企業だと1台525万円程度のクルマが支給されるようです。

また、給与別にしても社用車を利用する割合が変わってきます。年収375~500万円の会社員のうち5%が社用車(375万円相当)を貸与されている状態であり、年収1,375万円以上の会社員は約半分が社用車に乗り、その価格は700万円相当だといいます。

社用車に使用されるメーカーはフォルクスワーゲンが28%、アウディ19%、BMW13%、メルセデス・ベンツとシュコダがそれぞれ8%ずつでした。やはり国産メーカー(ドイツ車)がほとんどを占めるようです。ドイツでも高級メーカーとされるメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェなどを社用車として提供している企業では、従業員1人あたりの平均年収は1,125万円。特にポルシェを利用する企業では、従業員の平均年収は1,800万円で、社用車平均金額は996万円という調査結果がでていました。

ポルシェはかなりの少数派になりますが、仕事でポルシェが支給されるとは…なんてぜいたくな!!いったいどんな企業がポルシェを社用車に選んでいるのか…ぜひとも知りたいですね。

[ライター・写真/NAO]

NAO

NAO

在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

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