ドイツはエアコンすらないクルマで十分。フレンチ・ベーシック、Hナンバーのルノー4を見て

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日本における秋の長雨、というほどでもないのですが、ドイツでもここ一週間くらい、雨が降ったりやんだり、時折風が強く吹いたりと不安定な天気が続いています。日中の最高気温は摂氏10度ほど。ドイツ現地の人々もダウンジャケットを羽織るなど、本格的な冬の装いで出歩くようになりました。

今年2017年の10月29日(日)には半年以上に渡って続いていたサマータイム(ドイツ語ではSommerzeit、ゾンマーツァイトといいます)が終了し、来年2018年3月25日(日)までは日本との時差が8時間となります。お店にはクリスマス関連の品物も並び始めて、いよいよ冬の到来です。そんな街全体が冬支度へ向かう中、曇り空から少し晴れ間が差し込んだ時間にこんなクルマを見かけました。Hナンバーを掲げた美しいルノー4です。

ドイツで見かけるちょっと古いベーシックカーと言えば?

ドイツで見かけるちょっと古いベーシックカー、と言ったら、みなさんはどんなクルマを思い浮かべますか?フォルクスワーゲン(以下VW)タイプ1、VWポロ、VWゴルフ1もしくは2あたりを思い浮かべた方は、正解です。自国製品に誇りを持っているドイツ人のこと、こういったドイツ生まれのベーシックカーは本当に多くの数が現役で走っています。そうしたクルマたちはどれもかなり走り込んでいて、洗車も頻繁にはされず外装もボロボロになりながら、人々の道具として毎日酷使されている、という印象です。

洗車に関しては「地下水を汚染する危険がある」という理由で、ドイツでは法律で路上での洗車が禁止されています。また、冬になると道路には凍結防止用の塩が大量に撒かれるのですが、日本の洗車場のような「自分でバケツや洗剤を持ってきて洗う施設」だと、クルマの底面を洗うことができません。

つまり、ボディのサビの原因となる塩を落とすことができないのです。そこでドイツで一般的なのが、クルマの底面洗いまで可能な全自動洗車機。ホイールの汚れもきれいに落とし、拭き取り不要なほど強烈な風圧で水滴を吹き飛ばす優れモノです。街中の汚れたベーシックカーたちも時々はこの洗車機で洗ってあげて…と思うこともありますね。

ちょっと古いフレンチ・ベーシックは女性にも人気

ドイツ産に次いで見かけることが多いのが、フランス産のベーシックカーたちです。ルノー4、5、初代トゥインゴ、プジョー205、206、106、そしてシトロエン2CVといったあたりのクルマは、女性からの人気も高く、マニュアルトランスミッションを操りながら颯爽と街を駆け抜ける姿はとても絵になります。フランス車の持つデザインの良さや乗り心地の柔らかさが評価されているのでしょう。

ルノー4は筆者の住むベルリンでもよく見かけるフレンチ・ベーシックです。ただし、写真のような美しい個体から、「よくこの状態で走れるなあ…」というような、外装までサビが侵食している個体まで、そのコンディションは千差万別。実用車らしく、走り込んでヤレた個体の数が多い印象を受けます。写真の個体は本格的なレストア後も大事にされているのでしょう、新車のような美しい状態を保っていました。ここまできれいなルノー4をベルリンで見かけることは滅多にありません。

ドイツの夏は冷房なしでも乗り切れる?

それにしても、ルノー4、VWタイプ1、シトロエン2CVといった、必要最低限の装備しか付いていないクルマが今もドイツの路上で数多く走っているところを見ると、「クルマなんてこれで十分」って思っている人がその数だけ存在しているのだな、と実感します。後付けしなければエアコンすらない、たった数十馬力の小さなクルマたち。徹底的にシンプルに作られているが故の故障の少なさと、軽い車重がもたらす燃費の良さ。ドイツの交通ペースは日本に比べて速いですが、それについていくための全開走行に耐える頑丈なエンジン。何も付いてないクルマだけれど、窓やキャンバストップを開けて走れば、速度を上げなくても操っている実感があって楽しい…現代のクルマにはない潔さに、未だ多くの人々が惹きつけられています。

ちなみに、近年の酷暑が続く日本においてエアコンはクルマの必須装備と言えますが、ドイツの夏の暑さは「クルマにエアコンが付いてなくてもギリギリなんとかなる」レベルに収まっています。ドイツの国土の大半は北海道よりも北に位置しているため、住宅やホテルには暖房はあるものの冷房はないところがほとんど。ベルリンでは冷房なしの電車すら現役で走っています。

連続して30度を超えるような時期は一週間もありません。そうした理由から、「エアコンなしのクルマに乗る」ということ自体のハードルは、日本よりもずっと低いです。エアコンなしのベーシックカーが生息しやすい環境と言えるでしょう。

今後、ルノー4のようなシンプルなベーシックカーをいつまで路上で見られるのでしょうか。VWタイプ1、フォード・モデルTに次ぐ、モデルチェンジなしの量産車としては世界3位の約835万台が生産されたルノー4ですが、走行可能なクルマは年々その数を減らしているのは確かです。ドイツでは「歴史的な工業製品価値を維持している30年以上経ったクルマ」に付与するHナンバー制度がありますが、ドイツ自動車業界のディーゼル不正に端を発する急激なEVシフトの影響も気になるところ。ガソリンエンジン車が路上を走れなくなるその日まで、オーナーのみなさんにはぜひ大切に乗っていただきたいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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