「白=無難」じゃないのね…。ドイツでは人気のボディカラーが「黒」が不動な理由とは?

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ファッション業界では「景気が良くなると、明るい色が売れる」と言われています。自動車業界は一体どうでしょうか?

クルマのボディカラーの好みというのは国によって違います。トレンドを反映していたり、文化的背景から来るその国での色へのイメージだったりと様々です。

世界全体のトレンドは「白」

statistik der autofarbe
データ:アクサルタ コーティング システムズ「自動車人気色調査報告書2016」
グラフ:筆者作成

世界的な人気色は白です。近年、白がトレンドとなっているのは、デジタル化の影響によるものと言われており、特にアップル社の影響が大きいようです。

iPhoneをはじめとするアップル製品のカラーバリエーションに沿って、黒・シルバー・白のボディカラーに塗られたクルマが世界的にぐんぐんと割合を増やしていきました。特に日本は強い影響を受け、白がよく売れたのです。そして現在でも、日本では白が一番の人気色となっています。

「アップルカラー」の影響はドイツにもおよび、近年は白の割合も20%まで増えました。しかし、10年前まではたったの2%だったのです。そんな中、このドイツで不動の人気を誇るのは「黒」。去年はシルバー/グレーが追いつき、ほぼ同率となりましたが、黒やシルバーのような「無彩色」の人気は強いようです。

1990年代から無彩色化は始まった

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しかし、1970~80年代のドイツでは、さまざまなカラーバリエーションがありました。ヒッピーやアメリカをはじめとする海外文化が流れ込み、学生運動が過熱した時期でもあります。この時代を反映するかのように、人々はクルマにも「自分らしさ」を求める多様なカラーバリエーションを求めました。自動車メーカーも新色を販売することで、「ドイツ車の定番」から脱却し、他企業とも差別化するようになったのです。

しかし、90年代に入ると、顧客の熱は技術方面へと移ります。企業も技術面をアピールすべく、洗練された黒・シルバー・グレー・白などの「無彩色」を採用してきました。その中でも黒はドイツで長年親しまれてきましたが、色の好みは二の次となり、シルバーやグレーのクルマを所有する人も増えました。それでもドイツでは「白=色がない」というイメージがあり、長年敬遠されてきたのです。

ドイツでは黒が絶対的人気のワケ

白も含めた無彩色のクルマは、今ではドイツ国内全体の75%を占めます。冒頭のグラフを見て分かるように、今でもドイツでは落ち着いた色が人気です。しかし、なぜ白ではなく、黒が根強い人気となっているのでしょうか。

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黒が人気の理由としては、何よりも「高く売れる」ことです。中古車市場が盛んなドイツでは、いかに買い手が多いモデルか、特に企業などの大きな顧客へ売れるかというビジネスが最重要となっています。

ドイツでは、新車の販売率と中古車で顧客が求める色の率が同じです。新車を買う際も、下取りに出すときのことを考えて色を選ぶ人も少なくありません。

ドイツのオイル会社Aral社が実施アンケートでは、「次に買うクルマは何色がいい?」という質問に対して、黒が30%、シルバー/グレー32%、ブルー14%、赤が11%となり、白はわずか7%でした。白以外はすべて現在の販売率をやや超えた需要となっています。

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▲最近はシルバーの需要が伸びると言われています。事実、ディーラーでもシルバーがずらりと並びます

既出のレポでお伝えしたように、ドイツでは自宅前や路上で洗車ができない決まりとなっています。日頃洗車をあまりしないことから、「汚れが目立ちにくく、手入れが楽な色」が好まれるようです。そのため、これらの色は特に商用車での使用も多いのです。そういえば、ドイツのパトカーも白地ではなくすべてシルバーですね。リセールのよさ、手入れの楽さを考えるとやはり黒をはじめとするダークカラーが勝つようです。

最近はメーカーも彩色化を狙っている

総合化学メーカーであるBASF社によると、今後のトレンド色は「欧州はオフホワイト」、「新興国は青」だと発表しています。ハイブリッドカーや電気自動車の開発が進み、グローバルやエコロジーなどのイメージに近いこれらの色が注目されています。

ドイツでも青や赤は割合を増えつつあり、特に赤は女性に一定の人気があります。最近、コンパクトカーや小型車ではオレンジやワインレッドなど豊富なカラーバリエーションを展開していますが、売れ筋モデルではまだ定番色止まりも多いようです。2016年のフランクフルトモータショーでは、カラフルなモデルを思い切って発表したものの、評判は今ひとつ。メーカー側は猛省したそうです。

クルマとはまた別かもしれませんが、確かにドイツ人は黒が好き。家電にしにろ服にしろ、黒など暗い色を好んで選ぶ傾向があります。欧州では黒は優雅な色という認識なので、そのことも関係があるかもしれません。

日本車と比べてカラーバリエーションが少ないモデルもあるかもしれません。しかし、一生に何度と経験しない大きな買い物です。自分の好きな色を買ってもいいのに…と思ってしまうのが筆者の見解ですが、皆様はいかがでしょうか?クルマを選ぶ際に欲しい色と、実際に購入する色は違いますか?

[ライター・カメラ/NAO]

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在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

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