クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

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冬の寒さが厳しいドイツ。特に筆者の住むベルリンは、札幌よりも高緯度に位置するため、冬季の夜の時間は非常に長いです。夏の間、あんなに走っていたオープンカーも、この時期の公道ではほとんど見かけず、幌を閉めきって走っているのを時々見かけるくらいまで減ってしまいました。また、「Hナンバー」を付けたようなクラシックカーも、今はガレージに引きこもっているのか、冬の間は滅多にお目にかかりません。

クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

「夏しか乗らない古いオープンカーを持ってるんだけど、乗らない時期がかなり長いのに、通常と同じ自動車税や保険料を払うのは納得できない!」。そんなオーナーたちの声に応えるような素晴らしい制度が、実はドイツに存在します。今回のドイツ現地レポは、2017年2月10日から施行された新制度、「H-Saisonkennzeichen(H-シーズンナンバー)」について紹介していきます!

古いクルマに付与される「Hナンバー」

「H-Saisonkennzeichen」、「ハー・ゼゾーンケンツァイヒェン」と発音するこの新制度は、今までふたつに分かれて存在していた「Hナンバー」制度と「シーズンナンバー」制度の、両方のメリットを取り入れた「いいとこ取りの新制度」となっています。

まずは、もとになったふたつの制度、「Hナンバー」制度と「シーズンナンバー」制度について紹介しましょう。

クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

ひとつめは「Hナンバー」制度。ドイツ現地レポではもはやお馴染みかもしれませんね。Hはhistorisch、「歴史的な」という意味のドイツ語の頭文字で、現地では「H-Kennzeichen(ハー・ケンツァイヒェン)」と表記します。この制度が適用されたクルマは、末尾に「H」の表記があるナンバープレートで簡単に識別可能です。

製造から30年が経過したクルマで、オリジナルの状態を残しつつ、現代の公道での使用には問題ない、という検査レポート「Oldtimergutachten(オールドタイマーグートアハテン、直訳するとクラシックカー鑑定書の意)」が出された個体にのみ、交付が許されるナンバープレートとなっています。このOldtimergutachtenは5段階評価となっていて、「3」以上の評点が付かないとHナンバーを申請できません。

Oldtimergutachtenの鑑定基準はウェブ上でも公開されており、鑑定作業そのものは、ドイツの公的な認可を受けた工場にて鑑定士が行います。鑑定費用は120〜150ユーロ(1万5千〜1万8千円)。ただし、鑑定には通常、日本の車検にあたるHU(Hauptuntersuchung)も同時に行う必要があり、こちらにはおよそ50〜100ユーロの費用が、さらに新しいナンバープレートの発行と再登録に約100ユーロがかかります。とはいえ、Hナンバーを取得できた場合、年間の自動車税はクルマの排気量に関わらず一律191.73ユーロ(約2万3千円)に抑えられるので、旧車乗りにとっては非常にお得かつ合理的な制度といえるでしょう。

季節限定で乗るクルマのための「シーズンナンバー」

ふたつめは、日本ではあまり馴染みのないと思われるナンバープレート制度、「シーズンナンバー」制度です。ドイツでは「Saisonkennzeichen(ゼゾーンケンツァイヒェン)」と呼ばれるこの制度は意外なほど歴史が古く、1997年から施行されています。

クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

シーズンナンバー制度は、その名の通り「限られた時期しか乗らないこと」を条件に、自動車税を軽減できる制度です。シーズンナンバー制度で設定された期間は、ナンバープレートの右端に上下で表記されます。最短申請期間は2ヶ月間で、例えば「7月の1ヶ月間だけ乗る」という申請はできません。

シーズンナンバーの申請には、Hナンバーの申請時とは異なり、特別な書類やレポートは必要ありません。また、バイクやキャンピングカーといった、ほぼ全ての車種で申請が可能です。シーズンナンバーの自動車税については、年間にかかる税金を12ヶ月で割り、クルマを使うと申請した期間だけを掛け合わせた額しか請求されません。キャンピングカーやオープンカーが多いドイツでは、この制度を活用したオーナーは非常に多く、それにともなって保険会社は割安のプランを数多く用意しています。

いいとこ取りの「H-シーズンナンバー」

クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

ここまでの2つの制度を合体させたのが、「H-シーズンナンバー」制度です。「H-Saisonkennzeichen(ハー・ゼゾーンケンツァイヒェン)」と呼ばれるこの制度は、クラシックカーを期間限定で乗る場合に適用されます。

この制度を適用した場合の自動車税は、Hナンバー制度の定額191.73ユーロを12ヶ月で割り、実際に乗る期間分を掛け合わせた金額のみが請求されます。例えば、Hナンバーを取得可能なオープンカーを持っていて、4月初めから9月末の6ヶ月間しか乗らない、という場合は、自動車税は95ユーロ(およそ1万1600円)しかかかりません。

また、保険会社はこのナンバーに対応したプランを数多く用意しているので、年間にかかる保険料も削減できます。つまり、この制度をうまく使えば、夏の間しか乗らないクラシックカーの維持費を大幅に減らせるのです!

ナンバープレートの取り付けもオーナー自身で可能

クラシックカーを期間限定で乗る場合、自動車税がさらに割引に!2017年から始まった新制度「H-シーズンナンバー」についてご紹介

ナンバープレートの取得・再登録についても、ドイツではかなり簡略化されています。ドイツのナンバープレートには、日本の陸運局で行なっているような「封印作業」はありません。ナンバープレートの取り付けは、修理工場はもちろんのこと、オーナー自らが行うこともできるので、「希望ナンバープレートをネットで注文できるウェブサイト」すら存在します。しかも、価格も非常にリーズナブル。クルマの前後に取り付ける2枚を注文して、送料込みで約40ユーロ(約4900円)となっています。

古いクルマを「歴史的な工業遺産」と認め、税制面でも保険料面でも優遇されるドイツのクラシックカー事情に対し、日本の旧車を取り巻く状況は、年を追うごとに悪くなっていると言わざるを得ません。ナンバープレートの制度ひとつ取っても、ドイツが「クルマの文化」を大事にしているのは明らかです。日本でも、国産旧車だけでなく、古い輸入車が国内にとどまるために、古いクルマに関する制度が少しでも緩和していってほしい…そう願わずにはいられません。

[ライター/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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