1970年代欧州スペシャリティカーの雄、フォード・カプリ!優美な外観の武闘派クーペ

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ドイツはいよいよ本格的な春が到来し、連日20度前後の気温が続いています。春の天気が変わりやすいのは日本と変わりませんが、湿気が少ないので雨が降ってもそれほど不快ではありません。日没の時間も20時頃ととても遅く、人々も長い長い夕方の時間を広場でおしゃべりしたり、散歩したりしてゆったりと過ごします。

そんな雨上がりの夕方に、鈍い金色を放つ優美なクーペと出会いました。今回ご紹介するのは、ヨーロッパで大成功を収めた1970年代スペシャリティカーの雄、フォード・カプリです。

ヨーロッパ・フォードが生んだ傑作2ドアクーペ

典型的なロングノーズ、ショートデッキのスタイリングに、控えめな大きさの前後の灯火類。雨粒が残る金色のボディの状態も良く、とても美しいコンディションです。写真ではわかりにくいですが、キャラメルカラーの革の内装も美しい状態を保っていました。全長×全幅は4,260mm×1,645mmと、見た目の優美さに比べて思いのほか小柄なボディサイズですね。

フォード・カプリを語る上で外せないのが、ヨーロッパ・フォードの存在です。1903年、ヘンリー・フォードがアメリカに会社を設立すると、早くから販路を世界に広げました。1911年にはイギリス・フォードが、ドイツ・フォードが1931年に設立され、第二次世界大戦を挟んだ後も製造が続けられます。そして1967年、イギリスのロンドンにヨーロッパ・フォードが設立。イギリス・フォードとドイツ・フォードの生産車種の一本化が進められていきます。

ヨーロッパ・フォードの最初の車種として発表されたのが1968年のエスコートで、続いて1969年にデビューしたのが、2ドアクーペのカプリでした。すでにアメリカで大成功を収めていたフォード・マスタングに続け!と言わんばかりの、大きな期待を込められたモデルであったことは間違いありません。メカニズムは既存のフォード車からの流用が多いものの、内装のトリムやエンジンを数多くの種類から選べるオーダーシステムを採用し、幅広いユーザーの心を掴みました。

豊富なエンジン・ラインナップ

写真の個体は1700GTと呼ばれる、ドイツ製「タウヌス」エンジンを搭載したモデルです。「タウヌス」は珍しい60°V4のOHVエンジンで、1.3、1.5、1.7リッターの3種類がラインナップ。当初はイギリス、ドイツのそれぞれの生産国で採用されていたエンジンが異なっており、イギリス製カプリに採用されていたのはコルチナなどに使われていた、直立4気筒「ケント・ユニット」の1.3もしくは1.6リッター・エンジンでした。

フォード・カプリは目論見通りヨーロッパで大成功を収め、最初の2年間で40万台を生産し、デビューから4年後の1973年には早くも100万台を突破します。1970年代初頭には、ディーラーを通じて日本にもイギリス製のカプリが多数輸入されていたので、目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その美しく特徴的なスタイリングと、豊富なオプションを自由に選択できるオーダーシステムは、後の日本のスペシャリティカーに大きな影響を与えました。

生涯を通じてレースに参戦

フォード・カプリはさらに、スポーツイメージを高めるためにレースにも積極的に参戦。レースのホモロゲーションモデルとして、2.6リッターV6を搭載したカプリRS2600を用意し、ラリーやツーリングカーで活躍していきます。カプリは1986年の生産終了まで2回のモデルチェンジを行いますが、17年のモデルライフの間、ずっとコンスタントにレース活動を続けていました。

スパ・フランコルシャン24時間レースでは1971年と1972年に連覇を果たし、1978年にも優勝。ライバルのBMW 3.0CSLなどと熾烈な戦いを繰り広げます。1981年にはザクスピードが開発したシルエットフォーミュラ、フォード・カプリ・ターボがグループ5で争われていたドイツ国内選手権のタイトルを獲得するなど、レースの世界でも大成功を収めました。

現在のドイツにおいて、フォード・カプリは頻繁に見掛けるようなモデルではありませんが、中古車市場でも根強い人気があります。1986年の生産終了から4年後の1990年には、ドイツにおけるオーナーズクラブ「Capri Club Deutschland」が発足。クラシックカーイベントでの展示や、クラブ主導の部品調達・情報交換など、現在でも積極的に活動を続けています。多くの熱心なファンの支えで、フォード・カプリはこれからもドイツの地でしっかりと生き残っていくことでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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