まるでフランスの街角!プジョー504クーペとシトロエンDSをベルリンで見かけて

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クリスマスまで一週間を切ったドイツ。街中の様々な場所でクリスマスマーケットが開かれていて、訪れた人々がかなり寒い中でもホットワインを飲みながら、友人や家族と話し込む姿がよく見られます。そんな華やかな雰囲気の中、「ここはフランス?」と思うような光景に出会いました。プジョー504クーペとシトロエンDSです。

ピニンファリーナがデザインを手がけた、プジョー504クーペ

向かって左が、プジョー504クーペ。右がシトロエンDS23パラスです。どちらのクルマも、個性的で美しいスタイリングを持っています。二重駐車していることが少し気になりますが、ドイツには車庫証明という制度自体が存在しないので、オーナーは同一人物か、家族なのかもしれませんね。プジョー504クーペも、シトロエンDSも、それぞれベルリンで見かけたことはありましたが、このように一箇所に集まっているところを見たのは初めてです。

プジョー504クーペのデビューは1969年。前年に発表されたセダンをベースに、ホイールベースの短縮などかなり手を加えられた独自のボディを持っていました。ボディの製作とデザインを担当したのは、イタリアの名門カロッツェリア、ピニンファリーナです。プジョーとは深い縁のあるピニンファリーナは、ここでも決定的な仕事をしました。緩やかに湾曲したフロントボンネットと、尻すぼみのトランクリッド、それらを繋げるサイドウインドウ下の流れるようなラインはとても美しく、さすがはピニンファリーナ!と膝を打ちたくなります。

プジョー504クーペは、セダンの価格の約2倍という高価なモデルでしたが、当時のラリーでも活躍しました。もともと504のセダンで参戦していたプジョーは、旧フランス領の多いアフリカでのラリーで勝ち星を積み上げていて、のちに504クーぺにシフト。504クーペでの参戦はグループB開始の前年・1981年まで続き、プジョーのスポーツイメージの向上に貢献したり、高い耐久性をアピールしたりすることとなりました。

プジョー504シリーズは、合計340万台近く生産されたとのことですが、現在では見かけることが少なくなりました。中でも、504クーペはかなり希少な存在と言えるでしょう。写真の個体は、ヘッドライトがイエローバルブだったり、エンブレムの金色がきちんと残っていたりと、オーナーの方が大事に維持しているようですね。ちなみに、504クーペと同時期に発表されたカブリオレもとても美しいデザインで、筆者憧れのモデルのひとつです。

シトロエンDSの意外なレース戦歴

シトロエンDSは、言わずと知れた名車中の名車です。前衛的な空力デザインは、空気抵抗を意識したデザインが一般的になった現代の目から見ても、古臭く見えるどころがさらに先を行っているようにすら感じます。一度見たら忘れられないクルマの筆頭に挙げられるでしょう。

油圧によってサスペンションやパワーステアリング、ブレーキサーボ、トランスミッションまで統括制御する「ハイドロニューマチック・システム」を搭載していることはあまりにも有名です。駐車時はサスペンションの高さ調節機構が最低位置になるため、写真の通りベタベタの低い車高になるのもご愛嬌。クルマというより、何か別の乗り物のようにも見えます。

シトロエンDSの全長は4.81m、全幅も1.8mとかなり大柄ですが、その優れたロードホールディング能力により、ラリーでも活躍しました。特に、モンテカルロラリーにて、1959年に優勝、1963年に2位に入ったことは特筆に値します。当初は75hp、最終型でも141hpの出力しかなかったクルマとしては、かなりの快挙です。

シトロエンDSの偉大な点は、独創的な技術を駆使した上級モデルでありながら、あくまでも量産車として140万台以上生産されたところです。フランスにおいてはタクシーや救急車に使われていましたし、DSをヨーロッパの街中で見かけることはごく一般的なことでした。1999年に発表された「20世紀で最も偉大なクルマを選ぶ」カー・オブ・ザ・センチュリーでも、T型フォード、ミニに次いで3位を獲得。シトロエンDSは、その登場前と登場後で、世界中のクルマのあり方を変えてしまったのです。

個性的で美しく、偉大な2台のフランス車。ドイツでの評価も高く、いまだに高い人気を誇っています。どちらのクルマも、現在でも十分通用する足回りを持っていますし、アウトバーンを走ったら気持ちが良いでしょうね。メカニズム関係の維持の難しさを乗り越えて、長く走り続けてほしい、そう願わずにはいられません。

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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