「カエル用のトンネル!?」ドイツ在住ブロガー・Chikaさんが語る、愛車やドイツと日本のクルマ文化の違いとは?

  1. ドイツ現地レポ
  2. 638 view

みなさん、こんにちは!今回のドイツ現地レポは今までと趣向を変えて、ベルリン在住の筆者・守屋健と、ポツダム近郊にお住まいの「まにあっくドイツ観光」(https://chikatravel.com/)を運営するブロガー・Chikaさんとの対談をお届けします。「まにあっくドイツ観光」は、他の日本語旅行サイトではまずお目にかかれない非常にマニアックかつディープな情報が満載で、筆者は以前からこのサイトの大ファンでした。

コロナウイルス感染が拡大するなか、インターネットを通じての対談で実現した今回の企画。Chikaさんからは、ドイツと日本のクルマ文化の違いや、自然環境保護への姿勢、愛車のスマート・フォーツーへの熱い思いなどを語っていただきました。Chikaさんから提供していただいた美しい写真とともにお楽しみください!

愛車の選定基準は「できるだけ小さいこと」

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

ーChikaさん、こんにちは!今回は「ドイツと日本のクルマ文化、その違いとは?」ということをテーマにお話を進めていけたらと考えています。Chikaさんは愛車としてスマート・フォーツーに乗られていますが、こちらはどこで購入されましたか?

Chika: ドイツにて購入しました。

ースマートを選んだ際のポイントは?

Chika:  できるだけ小さいこと(笑)!というのは、夫は会社から支給されるクルマ、いわゆる「カンパニーカー」に乗っているんです。車種については「このなかからどれかを選んでください」という感じで、自由に選べるわけではないんですね。会社では「配偶者が運転しても構わない」というルールにはなっているんですが、夫と私の体格が違いすぎて、乗りやすいクルマの大きさが違うんです。それで私、夫のクルマを何度かぶつけてしまって…。夫は全然気にせず「大丈夫だよ」と言ってくれるのですが、もうぶつけるのは嫌だし、できるだけ小さいクルマということで、スマートを選びました。

ーでは、今乗られているスマートは、会社からの支給されたものではない、と。

Chika: そうです。このスマートは7年前に新車で購入しました。免許を取得したのは17年前で、それほど早い時期に取ったわけではないのですが、実は私、5歳の時に交通事故でひどい重症を負ってしまって、クルマが怖いという意識がどうしてもあったんですね。免許を取る勇気もなく、クルマがなくても大丈夫だと言い張っていたんですが、子どもが2人になったので、クルマがないと不便だろうということでしぶしぶ取りました。

ー学校への送り迎え等で、どうしても必要になってきますしね。免許はドイツで取ったのですか?

Chika: 日本で取りました。夫がたまたま埼玉に転勤になっていたときに、保育園の送り迎えで必要になったので。そのときに乗っていたのは、日産・マーチの中古車でした。マーチにはとても満足していたので、ドイツに帰ってきた後も日産のマーチの中古車を買ったんです。8年落ちのクルマだったのですが、いろいろと調子が悪くなってきて、致命的だったのが窓のパッキングが劣化して、室内のガラスの曇りがまったく取れなくなってしまったんですね。危ないので買い替えようという話になり、「また中古車を買って調子が悪くなるのもどうかな」と思っていたところ、スマートがちょうど「新古車を5年契約でリースする」というキャンペーンをやっていたんです。そこで契約して、5年後に残価を支払って買い取りました。

ーそれはいいタイミングでしたね!

chika: 旧東ドイツのガタガタの道路を走るには、マーチの車体が軽過ぎたせいか、振動もすごくて。腰が痛くなってしまったこともありました。でも決してマーチが悪いクルマというわけではなく、古い石畳が多いなど、ドイツの道路事情がちょっと特殊だというところもあるとは思います。

ーところで、ドイツのレンタカーやカーシェアリングはマニュアル(MT)車がいまだに多いですが、ChikaさんはMTの免許をお持ちですか?

Chika: いえ、私はオートマ(AT)限定免許です。夫のハーディはずっとMT派で、特にこだわりが強いわけではないんですが、やっぱりAT車はクルマの値段が高いのと、選択肢が少ないというのがあって、だから私も免許を取り辛いなと思っていて。ただ、以前よりもだんだんAT車のクルマも増えてきたし、ドイツに戻ったときのカンパニーカーもAT車にすればいいか、と思い、AT限定免許にしました。

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲ブランデンブルク州の並木道。街灯はなく、夜は真っ暗

ー僕は日本で免許を取得して、ドイツの免許センターで現地の免許証に切り替えの手続きを行ったのですが、有効期限が15年だったので驚きました。しかも、書類の期限が切れるだけで、更新時にも何か講習や視力検査があるわけではなく、ただ書き換えをするだけ。日本に比べると随分ゆるい制度のように感じます。

Chika: 私の免許は無期限ですね(編注:2013年1月19日以降発行されたものについては15年ごとに更新が必要)。そう考えると日本って書き換えの手続きが面倒ですよね。更新期間も決まっているじゃないですか。

ーそうですね。誕生日の1ヶ月前から1ヶ月後の間です。講習や視力測定などもありますし、何より免許センターはちょっと不便な場所にありますよね。それから比べると、ドイツはドライバーからするとメリットが大きいと感じますが。

Chika: でも、高齢者の問題とかもありますよね。日本だと、免許の更新時に視力を測ったり、高齢者講習があったりしますけど、ドイツだとそういうのもなしに延々と乗れてしまいます。それはそれで危ないのかな、と。

ードイツでも免許返納のシステムとかあったと思います。今度詳しく調べてみますね。

自然環境保護への意識の高さ

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲風力発電と牛。「これぞドイツ」といった風景

ー僕は3年前にドイツに引っ越してきて、ドイツの路上に初めて出たときは、走行位置も違うしハンドル位置も逆だしでとても怖かったのです。Chikaさんがドイツで初めて運転したときはどうでしたか?

Chika: すぐにぶつけました(笑)。ドイツに帰ってきてから、夫はすぐに会社からクルマを支給されたのですが、私はまだクルマを買っていなかったので、夫のクルマで子どもの学校の送り迎えをしなければいけなかったんですね。ただ、引っ越してすぐだったのでクルマは選べず、仮で貸してくれたクルマが、アウディ・A8だったんです。

ーよりにもよって一番大きいセダン(笑)。

Chika: そうなんです。ハンドルの効きがあまりに良くて、切りすぎてしまって…。ポールにクルマを擦ってしまいました。それで、大きいクルマは絶対に嫌だ!となってしまったんです。

ーそれは災難でしたね…。大きな事故にならなくてよかったです。僕は、日本であまり馴染みがなくて、逆にドイツでよく遭遇するのが「ラウンドアバウト(環状交差点)」で、進入する際には今でもかなり緊張します。

Chika: 私はそれは大丈夫だったのですが、交差点での「どちらが優先か」を示す標識になかなか慣れませんでした。あの標識を日本で習った気がしないんですよね。

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲ドイツにおける、優先道路を示す標識。特に右側の標識は、日本のものとはまったく形が異なる

ーたしかに、日本の優先道路の標識とは、黄色のものはまったく違いますね。

Chika: だから入っていいのかわからなくて、徐行したり止まったりしていたら、後ろからクラクションを思いっきり鳴らされて。夫から「Vorfahrt(フォーア・ファールト:優先通行権)だよ、なんで行かないの?」って言われて「日本では見たことない」って答えたら「そんなことはありえない!」って言われました…。

ードイツだと、あの黄色い優先道路を示す標識がかなりたくさん立っていて、割と狭い交差点でもみんなスイスイ通過しますもんね。日本では「交差点は徐行!」の意識が強いですが。ドイツでの運転での苦労が出てきたところで、今度は逆に、ドイツの道路を運転していて楽しい!と思うことはありますか?

Chika: 私は郊外に住んでいるので、運転するのは田舎道ばかりなのですが、郊外はスピード出せるでしょう?それは楽しいなって思います。

ー(笑)。郊外は100km/h制限ですよね。ベルリンの市内は50km/hや30km/hがほとんどですが。ただ、日本に比べると道幅も広いし、歩道も整備されている印象です。

Chika: 別にスピード狂ってわけではないんですが、景色を見ながら運転するのはとても楽しいですね。それに、ブランデンブルグ州はクルマの数も少ないですし。

ーこれからの季節が、ドイツの森が一番美しい時期なのに、コロナウイルスで大変な状況になってしまいましたね…。ああ、今ひとつ思い出しました。ドイツって鉄道の踏切で一時停止しないじゃないですか。遮断機が開いてたり、信号が青だったら、減速しないで通過してOK、という。あのルールにはなかなか慣れませんでした。

Chika: 最初のうちは止まってしまいますよね。今はもう、減速しないで通りますが。…そうそう、ルールではないんですが、日本と違う点がありました。とにかく、街灯がなくて夜は道が真っ暗ですよね。私の家の近所は湖の近くで、湖に沿って道が走っているんですが、曲がりくねっているし、片方は森、片方は湖で、とにかく夜運転するのが怖いんです。半年くらいはビクビクしながら運転していました。野生動物とかも出てくるし…。

ーたしかに!道を走っていて、鹿やイノシシを見かけることもかなりありますよね。

Chika: 最初は「なんで街灯つけないんだろう?暗いし危ないし」と思っていたんですが、ドイツ人の考え方だと「森をむやみに照らすと、野生動物が混乱する」という考え方なんですね。人間の安全や都合よりも、自然保護を優先するという。私も今は運転に慣れたので、その考え方のほうがいいかなと思っています。

ードイツ人の自然環境保護に対する意識はとても高いですよね。以前、Chikaさんから「道路にカエル用の通路を作っている」と伺ったことがあるんですが。

Chika: そうです。自宅の近所の道路の下に、森と湖をつなぐ「カエル用のトンネル」があります。未舗装路をきれいにしたときに、こうした設備も整備されました。

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲道路の下に埋設されたカエルなどの野生動物用のトンネル。分断された野原を野生動物が行き来できるように、道路の下に整備されている

ーこうした、道路の整備に伴って起こる野生動物への影響、というのは日本ではまだあまり重視されていないように感じます。山中の高速道路にも、灯りはたくさんついていますし。

Chika: ドイツでは、新しい道路を作るときは自然環境へ配慮しなければならない、という法律があるみたいなんです。詳しいことは専門家ではないのでわからないのですが。私の住むブランデンブルク州は特に自然環境保護に力を入れていて、アウトバーン(高速道路)の上には「野生動物用の陸橋」をかけて、生息域が分断されないようにしているところも多いです。ただアウトバーンも、こうした自然環境への保護の観点から灯りがまったくないので、とにかく暗くて怖い(笑)。

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲アウトバーン上にかかる「野生動物用の陸橋」

ー僕も、夜のアウトバーンは今でも慣れませんね、本当に真っ暗ですから。速度無制限区間でぶっ飛んでいくポルシェなどを見ると、ドライバーの理性は確かか?と思ってしまいます。

ドイツの車検事情

ードイツでは冬用タイヤの装着が義務になっていますが、毎年履き替えていますか?

Chika: はい。夫が家でやってくれます。

ー僕はまだドイツで車検を通したことはないのですが、Chikaさんのクルマの車検はどのように行なっていますか?

Chika: 家の近所に個人でやっている整備工場があって、車検の時期の少し前にクルマをチェックしてもらいます。それで、先に悪いところだけ整備しておくんですね。毎月決まった日時に整備工場にTüv(テュフ:ドイツの検査機関)の担当者が来るので、そのタイミングでクルマを見せに行きます。事前の修理代などを除けば、手続きにかかる金額は100ユーロ(約1万2千円)ほどです。

ー日本と比べたらとても安いですね!日本では10万円単位の出費になってしまいますが。

Chika: 私も、日本にいた頃はディーラーの方に引き取りに来てもらったりしていました。私はドイツでもかなり田舎に住んでいるので、こうした方法で車検を通していますね。

愛車スマート・フォーツーについて

ーChikaさんがスマートを運転していて、愛車のここが気に入っている、というポイントはありますか?

Chika: 実は、スマートに乗るまでは運転が嫌いだったんですね。すごく苦痛で、自分は運転が下手だし、向いてないしとか考えていて、イライラして「もうクルマなんか乗りたくない」と文句を言っていたこともあるんですけど、田舎に住んでいるので乗るのをやめるわけにもいかなくて。でもこのクルマ、スマート・フォーツーにしてから、運転するのがとても楽しくなりました。

ー素晴らしい!

Chika: 前のクルマがずっと調子が悪かったのもあるかもしれませんが…。クルマの調子が悪いと、それだけ運転するときにストレスになるじゃないですか。それに、以前は「運転が下手だから、そんなにいいクルマはいらなない」っていう考え方だったんですね。もったいないというか。でも今のスマートにしたらずっと調子が良くて、すごく楽になったので、「ああ、下手だからちゃんとコンディションのいいクルマに乗らないとダメなんだな」という風に考えが変わりました。

ー調子の良いクルマは、ドライバーの気分を高めてくれますよね。僕も初めて新車を買ったとき…それはルノー・クリオだったんですが、長距離を走ってもまったく疲れなくて。そんな経験は初めてで、クルマがドライバーを助けてくれることってあるんだな、って思いました。テンションが上がってロングドライブばかりしていた記憶があります。

Chika: 私も、以前乗っていたマーチは用事をこなすために運転している、という感じでした。スマートにしてからは、一人でもロングドライブできるようになって、自分の楽しみのために乗るようになりましたね。スマートは私の体の大きさにも合っているし、視界も良くて見切りもいい。運転するのがとても楽です。

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲シュヴェービッシェ・アルプの風景。こうした場所に行けるのも自家用車ならでは

ーまさに相棒といえるような存在ですね。

Chika: ずっとジレンマを抱えていたんです。「下手だから運転したくない」っていう気持ちと「楽しく乗れるようになりたい」という気持ちがあって。というのは私、出かけること自体はとても好きなんです。それで、クルマでしか行けないような、マニアックな場所ってたくさんあるじゃないですか。そんな場所を見つけても、以前はバスもない、電車もない、乗り継ぎも大変という理由で諦めざるを得ない場合が多くて、それが残念で、悔しくて。クルマに乗れれば、自分でどこにでも運転していけるから「楽しく運転できるようになりたいな」という気持ちはずっとあったんです。今は楽しく運転できるようになったので、本当に嬉しいですね。

ーフットワーク軽く、自由に動けるようになったきっかけが、スマートだったんですね。

Chika: 「まにあっくドイツ観光」はスマートなしでは運営できませんね。本当にマニアックなところばかり取り上げていますから(笑)。

対談を終えて

ドイツ在住ブロガー・Chikaさん

▲Chikaさんと愛車のスマート・フォーツー

ドイツと日本の交通ルールの違いから始まり、環境への意識や、愛車スマートへの思いを語っていただいた今回の対談。大変有意義なお話を聞かせていただきました。いかがだったでしょうか?

以前は運転に対し苦手意識があったChikaさんが「今は本当に運転が楽しく、いろいろな場所に出かけられて嬉しい」と語り、そのきっかけを与える存在となったスマート・フォーツー。自然環境への関心も非常に高いChikaさんは、自然の豊かな地域にガソリンエンジン車で出かけることについて「若干の躊躇がある」と言います。

「自宅にソーラー発電パネルを取り付けて、電気を作れるようにしたんです。将来は電気自動車を購入したいですね」と語るChikaさん。スマートが電気自動車にシフトしたことを伝えると思わず笑顔に。スマートとChikaさんの素敵な関係は、きっとこれからも続いていくに違いありません。

「まにあっくドイツ観光」
https://chikatravel.com/

[写真提供:Chika/ライター・聞き手:守屋健]

外車王公式チャンネル「外車王TV」

輸入車好きに向けて、人気車両の走行シーンからサウンド、車両レビューなど、さまざまな角度から輸入車をテーマにした動画をYouTubeで公開中!!【チャンネル登録お願いします】

外車王TV
守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

記事一覧

関連記事