メルセデスベンツの独壇場?ドイツでBMWのタクシーが少ないワケ。

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メルセデスベンツの独壇場?ドイツでBMWのタクシーが少ないワケ。

ドイツで駅前のタクシー乗り場を見てみると、ずらりと並ぶ中でも多いのはC・Eクラスのメルセデス車。フォルクルワーゲンやアウディも見かけますが走っているのはほぼ国産であるドイツ車で、たまに走っているトヨタアベンシスやプリウスはかなりの少数派。そこで気づくのが「あれ?BMWがないぞ?」と。街を見れば颯爽と走るBMWは沢山見るのですが、タクシー車両となると確率がぐんと減ります。この状況は自分の住む街だけなのかと思い、BMWのお膝下ミュンヘン在住の友人に聞いても、確かにメルセデスのタクシーが多いとの答えが。BMWのタクシーが全く走っていないわけではないのですが、車両数は他のメーカーと比べるとかなり少ないのです。確かにBMWはドイツ国内にしても高級車クラスですが、それでもドイツの大衆車として認識されています。そうであるにも関わらずタクシー業界ではメルセデスが群を抜いて人気でBMWがマイナーな存在であるのは何故なのでしょうか? その理由をいくつか挙げてみました。

理由その1:メーカーによってはタクシー車両の割引制度がある

まず大きな相違点としては、メルセデス・ベンツをはじめタクシー車両販売にも力を入れているメーカーは大幅な価格割引を実施していることでしょう。メルセデス・ベンツは公式サイトにタクシー車専用サイトと専用販売カタログがあり、BMWにはそのような専用サイトはありませんでした。同じメルセデスのリムジンC200dモデルで一般販売用とタクシー特別仕様で価格を比べてみたところ、本体価格はタクシー車両の方が通常より2~3割程安く設定されています。その上タクシー業務上必要なオプションパーツ・機能のほとんどがすでに本体価格に含まれているので、他社で一からオーダー、オプション追加した場合の全コストと比べれば、最終的に約4~5割程安価で購入できるのではないでしょうか。もちろん更なる追加オプションも可能で、そちらもかなりの割引価格で装備することができます。それに加えてメルセデスはタクシー車両レンタルも提供しています。BMWは高級車の上にそのようなタクシー仕様車もなく、割引も実施していないので車体購入時点でかなりのコストが発生してしまうことから、タクシー運転手たちは元々手厚い保証とサービスが付いたメルセデスを好んで選ぶといえそうです。

理由その2:タクシー業務に適した乗り心地の違い

タクシー業というのは客を乗せ目的地まで運ぶ旅客運輸業。その為にも顧客及び乗客が快適だと感じる車でないといけません。2社のコンセプトで比較するとメルセデスは「コンフォート」、BMWは「スポーティ」を売りにしています。走り手にスピード感・力強さ・大胆さを感じさせるのは断然BMWですが、タクシーが求めているのは安全で静かで細やかな走り心地。そのニーズに応えているのはメルセデスの方が優位でタクシードライバー達からは信頼性を得ているのでしょう。車体に関しても、BMWはシートが深く乗り降りする際に高齢者は大変なことや、車内やトランクルームも狭いことからタクシーとしてはあまり適していないと言えます。また、メルセデス・ベンツは顧客であるタクシードライバーの意見を常に取り入れ、新たなタクシー車両の開発・改善に努めていることもあり、いかにタクシー業界にも力を入れているかが分かります。

メルセデスベンツの独壇場?ドイツでBMWのタクシーが少ないワケ。

理由その3:メンテナンスコストの違い

BMWがタクシーとしてあまり利用されないのには、車の性格や保証のほかにもう一つメンテナンスコストの問題が挙げられます。先ほども記したように、BMWは全ての自社製品にスポーティさを求めています。大胆な走りを見せるためにも、こまめな点検・整備が必要不可欠となり、調整部品も高価なBMWなので日常的に車を走らせているタクシー業ではメンテナンス費用・日数を考えればかなりの負担となりそうです。メルセデスの車は比較的丈夫だ、と言われていることからBMWと比べると整備頻度が少ない上に、メルセデスタクシー向けの整備工場でメンテナンスが特別料金で受けられることから維持費も安く済むのではないでしょうか。

以上、3つに分けてBMWがタクシーにあまり選ばれない理由を分析してみましたが、決してBMWが性能として劣っているわけではありません。BMWはメルセデスのようなバス・トラックなどの商用車を生産しておらず、全て走行性能を重視した個人ユーザー向けであると言えます。法人使用という点に関してはメルセデスの方が、業務に適した車両バリエーションと多様な保証があるためタクシー車両として好まれているのです。逆を言えばタクシーとしてはマイナーですが、警察車両となるとドイツではほとんど全てがBMWを採用しており、イタリアをはじめ他の欧州国家機関でも使用されています。やはり緊急性とスピードを求めるため、走行スペックが優れたBWMが警察の現場では重宝されるのでしょう。

そしてさらにメルセデスがタクシー車両としてよく使われる理由としては、ドイツだけでなく欧州各国でもメルセデスはタクシー車として同様のニーズがあるため、中古車として売る場合にかなりの距離を走った車でもいい値段で売れるというのもあります。そしてメルセデス・ベンツがこれだけ熱心にタクシー業界に参入している背景としては、自社製品の広告効果もあると言われています。構造も走行性能も一般販売車両と変わりはありませんが、顧客を乗せて実際に街を走ることで、ビジュアル・乗り心地・走り心地でメルセデスを知ってもらい、マイカー購入に繋げようじゃないかという考えがあります。街にメルセデスのタクシーが多く走るのには、タクシードライバーとメーカー側どちらにも利点があるからこそなのですね。

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NAO

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在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

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