色褪せない優美なスタイリング。かつて「世界一美しいクーペ」呼ばれた名車、BMW 初代6シリーズ(E24)

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読者のみなさんにとって、もっとも美しいクルマはなんでしょうか?それこそ、世代にもよりますし、子どもの頃の原体験にもよりますし、人によってさまざまだと思います。フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティン、ジャガー、アルファロメオ、ポルシェ…。しかし、かつてデビュー当時、そのあまりの美しさに「世界一美しいクーペ」と世界中から賞賛され、クーペのデザインにおける金字塔となったクルマが存在します。

今回の主役は、優美なスタイリングで今も多くのファンを持つ、BMWの初代6シリーズ(E24)、633CSiです。

1976年にデビュー

ドイツにおいて、古いクルマを大切にガレージで保管して、晴れた休日にしか乗らない!という人も存在する一方、そこそこ貴重なクルマを日常の足としてガンガン乗る人も存在します。今回ご紹介する633CSiのオーナーも、どちらかといえば後者に属するでしょうか。クルマを見つけた時にまず思ったことは、「これ、木にぶつかってない?」でした。写真で見てわかる通り、街路樹とバンパーの距離は10cmも離れておらず、クルマの全長がそこそこ長いとはいえ、思い切った停め方をするなぁと感じずにはいられませんでした。

BMW 633CSiは1976年にジュネーブモーターショーで発表され、1984年までの8年間製造されました。とくに美しいとされているのは、ほっそりとしたバンパーを持つ初期型から中期型のヨーロッパ仕様ですが、今回撮影した個体はアメリカ仕様の衝撃吸収バンパーを装備していることから、アメリカからドイツへ里帰りした個体と考えられます。

たしかに、バンパーだけを見れば少し不恰好かもしれませんが、クルマ全体の伸びやかな美しさは決して失われていません。事実、アメリカにおいても好調なセールスを記録し、BMWの北米での躍進を支えたモデルでもありました。

搭載されたエンジンは一貫してストレート6

当時のBMWのフラッグシップモデルとして開発された初代6シリーズは、ライバルに対抗すべく充実した装備を誇っていました。電動セントラルロック、パワーウインドウ、電動サイドミラー、高さの調節が可能なフロントシートやステアリングホイールをはじめとし、電動もしくは手動のサンルーフやオートマチックトランスミッションがオプションで選択可能でした。

しかし、初代6シリーズを名車たらしめたのは、やはりその滑らかなフィーリングの直列6気筒エンジンがあってこそ、といえるでしょう。デビュー当初は630CSと633CSiの2グレードで、それぞれのエンジンは2,986cc・185PS(本国仕様)のキャブレターと、3,210ccで200PS(本国仕様)のインジェクションが搭載されていました。絶対的なパワーこそ控えめだったものの、高回転までスムーズに吹け上がるフィーリングは、まさに「シルキーシックス」というべき上品なもので、他社製エンジンでは味わえない独特のものでした。

アウトバーンをめぐるパワーウォーズ

当時のライバルといえば、メルセデスベンツ450SLCやポルシェ928でした。V8エンジンを搭載し、かつ年々強化されていく各社のエンジンパワーに対抗して、BMWも1978年に635CSi、最終的に1984年にM635CSiを投入します。とくにM635CSiに関しては、かのスーパーカーBMW M1に乗せられていた、純血のレーシングユニットM88を搭載。3,453cc直列6気筒DOHCから286PSの最高出力を発生、最高速度は255km/hと、驚異的な性能を誇りました。とはいえ、このM88ユニット、レースにおいてはグループ4で470PS、ターボ付きのグループ5では850PSを叩き出していたのですから、この286PSという数字も「デチューン」の範疇に入るのかもしれませんね。

初代6シリーズの総生産台数は86,219台。13年間の長きに渡って生産され、アルピナやハルトゲ、シュニッツァーといったチューナーたちにも愛されたこの美しいクーペは、現在でもドイツ国内において高い人気を誇っています。とくに、スレンダーなスタイリングが特徴の初期型〜中期型、それからM635CSiに関して人気が高く、ドイツのみならず周辺国でも高値で取引されています。

現地のクラシックカーイベントにおいて、主役級の扱いを受けることも多い初代6シリーズは、「世界一美しいクーペ」の称号とともに、今後も長く多くの人々に愛されていくことでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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