イタリアンデザインと質実剛健なクルマ作りが融合!ベルトーネが手掛けた希少なクーペ、ボルボ780をドイツで発見

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ドイツの人々はとにかく、壊れない、頑丈な道具を好みます。ドイツで売られている工具を見ると、ドライバーやスパナひとつとっても「ここまでゴツい作りにすることはないのでは?」と思うくらい、とにかく頑丈で重く、耐久性を重視して作られています。

ドイツの有名な登山用バックパックのメーカーに、ドイターという会社があります。耐久性を重視した頑丈な作りと、長時間背負っても背中が蒸れにくい設計で知られていますが、同クラスの価格帯の他社製品に比べて重量があります。道具は軽ければいいというものではなく、耐久性が犠牲になるくらいなら多少重くても構わない、といった価値観がドイツでは好まれているようです。

古いボルボを日常的に見かけるドイツでも希少なボルボ780

そうした理由からか、ドイツではボルボが人気です。多少重くても、頑丈で、耐久性に優れた道具としてのクルマ。かつてのメルセデス・ベンツに通じる質実剛健さを備えたクルマ作りが、ドイツ人の心の琴線に触れるのでしょうか。現行の車種よりもかつての850や900シリーズ、240といった少し前のモデルが、日常の足としてガシガシ酷使されているのをよく見かけます。ドイツでは週末に自然の中で過ごす人も多いので、そうした人々にとって、ステーションワゴンタイプのボルボは頼りになる相棒となっているのでしょう。

ところが先日、ベルリンにてとある一台のボルボを見かけて思わず「あっ」と声を上げてしまいました。直線基調のシャープでスクエアなデザイン。ゆったりとしたサイズ感に大きめのドアが2枚。そしてCピラーに取り付けられたイタリアの名門カロッツェリア、ベルトーネのエンブレム。ウッドパネルと革張りのシートによる色気のあるインテリア。日本でもめったに見かけることはなく、少し古いボルボが日常的に街中を走り回っているドイツでも希少な、ボルボ780との出会いでした。

生産拠点はスウェーデンではなくイタリア

ボルボ780は1985年から1990年にかけて生産されました。生産台数はわずか8,518台。エンジンは2リッターと2.3リッターの直列4気筒モデル、2.8リッターのV6モデル、2.4リッターの直列6気筒ターボディーゼルモデルが用意され、諸説ありますが日本へは500台前後が輸入されました。当時付けられていたプライスタグは1,000万円をわずかに切るというもので、ベースになったセダンモデル、700シリーズの約4割増という高級2ドアクーペモデルでした。

2.8リッターのV6エンジンはPRVと呼ばれるプジョー、ルノー、ボルボ3社の合弁会社で生産されていたもので、同型のエンジンはルノー・アルピーヌA310、ランチア・テーマ、プジョー604、そして極めつけはデロリアンDMC-12にも搭載されていました。PRVにはターボが装着されたエンジンも存在しましたが、エンジンルームの熱問題が解決できず、結局ボルボ780に搭載されたのは自然吸気エンジンのみでした。

ボルボ780の設計を担当したのは先述したベルトーネです。ベルトーネはイタリアに専用のラインまで準備し、車体の組み立てや革張りのシート、手の込んだウッドパネルといった内装まで一手に引き受けました。有名な話が、当時ベルトーネで手掛けていた他社ブランドの部品が共用で使われている、ということです。たとえば、ボルボ780のトランク・フューエルリッドオープナー。同形状のものがランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ308GT4、ランチア・ストラトスでも使われています。

イタリアンデザインと質実剛健さの融合

時代を超越した、エレガントでバランスのとれた角ばったクーペボディに、エキゾチックな革張りの内装にウッドパネル。どことなくイタリアのスクエアなクーペスタイルの雄、マセラティ・ビトゥルボ系を想起させるデザインだなと思うのは筆者だけではないでしょう。道具としてのボルボがイタリアンデザインを身にまとって、少し華やかな雰囲気に変貌している様子は、素朴で真面目な青年がめったにない特別なパーティのために着飾っていることに喩えられるでしょうか。

セールス面で成功を収めたとは言えないボルボ780ですが、その独特のデザインや特異な成り立ちによって、現在でも熱心なファンが存在します。この個体も、美しいブラックの塗装が保たれていて、オーナーがとても大事にしていることがひしひしと伝わるコンディションでした。日本のみならず、世界でも何台のボルボ780が現存しているかはわかりませんが、その美しいデザインとスタイリングをいつまでも私たちに見せつけてほしいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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守屋 健

鹿児島県出身。幼い頃、歯医者の待合室で偶然手に取った自動車図鑑、それに載っていた緑のポルシェ911ターボ(930型)に衝撃を受け、「将来必ずこのクルマに乗る」と決意するも、今日まで実現には至らず。1993年シーズンのDTMや1995年のル・マンでヨーロッパへの思いを募らせ、念願叶って現在はベルリンに居を構えるフリーランスのライター。自他共に認めるドイツ好きだが、何の因果か現在までの愛車はカングーやルーテシアといったフランス車ばかり。

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