あの幻のスーパーカーの実車展示も!?「第9回美濃クラシックカーフェスタ」イベントレポート

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今や毎週のようにどこかでクルマのイベントが開催されているとはいっても、1年を通してクルマのイベントに適した季節というのは思ったより短いもので、魅力的なイベントが同時期に開催されてどのイベントに行こうか、あるいは参加しようか迷う事も多くなる時季ではないでしょうか?

第9回美濃クラシックカーフェスタに行ってきた

本来は他のメディアの取材依頼なのですが、3月11日岐阜県美濃市で開催された第9回美濃クラシックカーフェスタに行ってきましたので、CLでは舞台裏的な視点でレポートをお届けしようと思います。

美濃市市役所の駐車場で開会式を行ったのち、市内パレードに出発、クルマを展示ということで、まずは東海北陸自動車道経由で美濃市の市役所に向かったのですが何分はじめて行くイベントなのでスマホナビを頼りに…と思っていた所、美濃ICに近づいたところでレーシングカーの様な音をさせながら一台の真っ平なクルマがミラーに迫ってきました。

もしやと思って追い抜かれ際にそのクルマを見ると、マジョーラカラーに塗られたカウンタック25THアニバーサリー。そしてサイドやフロントノーズには今回お世話になるメディアのロゴステッカー。とりあえず、出来るかどうかはわからないけどこのカウンタックについていけば会場にたどり着けるだろうとカウンタックを追走。幸い(?)そのカウンタックのドライバーも安全運転で市役所に向かってくれたので、迷うことなく無事会場にたどり着くことが出来ました。

▲ある意味、こんなにわかりやすいナビもそうそう無い!?

今回の美濃市のイベントも江戸時代から残る「うだつの上がる町並み」という歴史的建造物群の中で開催されるイベントです。このイベントの最大の特徴は、日本海CCRと同様、地元警察のサポートで一旦交通規制を敷き、市内パレードをしてからそのまま町の一画を交通封鎖して路上にクルマを展示するというかなりおおがかりな展示方法しているということでしょう。

市長の挨拶と黙とうからイベントがスタート

開会式では武藤鉄弘美濃市長の挨拶もありました。最近は自治体主導のイベントで、市長や時に県知事までスピーチがあったりと、地域活性化にもクラシックカーイベントというのは無視できない存在なのでしょう。

また、この日は未曾有の大災害となった東日本大震災からちょうど7年の3月11日。犠牲者の冥福と二度とこのような悲劇が起こらないことを願っての黙とうからイベントが始まりました。

パレードの先導者は、このイベントのプロデュースをしているフリーマガジンメディアのデモカーで希少な愛5ナンバーの残るH30型セドリックとスペシャルサポートカーのランチア037ラリーという顔ぶれ。これから古式蒼然とした街並みを珠玉の名車が駆け抜けることになります。

出発準備をしている参加車両を横目に、パレードコースとなる「うだつの上がる町並み」の景観エリアで撮影の準備をしていると、この一画が午前10時から自動車の通行規制がかかることを告げるパトカーが巡回していました。いよいよ美濃クラシックカーフェスタのパレードの開幕です。

▲江戸時代から残る町並みのを駆け抜ける211型ダットサン。時折なんとも言えないノスタルジックな思いにふけることすらあります

ところでいつもクラシックカーイベントというと駐車場も見ものと書いているわけですが…ちょっと今回は全エントリー車両+特別展示車両をすべて撮らなければならなかっため会場から離れることが出来なかったのですが、飲み物や食事を買いに近くのコンビニ行くと…

やっぱりいました。コンビニの駐車場に510ブルーバードとVWタイプ1。その脇の路地にはアイアンバンパーのC3コルベット。会場の外にもイベントにも希少な名車が集まるのがクラシックカーイベントの面白さです。

ところで、「うだつの上がる町並み」の「うだつ」ですがこれは、甲斐性なしや出世の下手な人を指す「うだつの上がらない」の「うだつ」です。奥の緑のMGの向かって左に見える家の屋根のように瓦が載って少しせりあがっていている部分を「うだつ」と言います。これは隣家で火災発生時に自宅に延焼を防ぐための防火壁として考案されたものですが、次第に装飾目的の意味合いが強くなり、その家の財力の象徴となっていきました。そこから転じて、出世しないことを意味する「うだつの上がらない」という慣用表現ができたと言います。つまりこの街はそれだけ経済的に栄えた町であり、その意味では縁起のいい町並みということになります。

パレードの締めは美女を乗せたカウンタック。こうしてみると「レディを乗せる」というのは、ランボルギーニの一貫したコンセプトなんだろうなぁとあらためて思います。

昭和43年型スバル360DX。筆者もいよいよレストア作業を再開しました。やっぱりスバル360は何処のイベントでも人気者、「はじめて手に入れた自家用車」だったのでしょうか、時折感慨深そうに眺めている年配の方もいました。

▲昭和33年型三菱「ウィリス」シープ

日産パトロールやトヨタランドクルーザーと並び、三菱が警察予備隊(後の自衛隊)等の官公庁向けに生産した4輪駆動不整地走行車ですが、採用されたのはウィリス社のジープをライセンス生産した三菱となります。

やはり実績のあるウィリスの国産化ライセンス生産というのは自衛隊には魅力的だったのでしょう。また朝鮮戦争勃発による日本駐留米軍のジープの現地調達に必要に迫られたという事情もあるようです。

初期のライセンス生産車はウィリス車のノックダウン生産の名残で、部品の完全国産化後も国産車でありながら、しばらくは左ハンドル仕様だったことで知られています。またステアリングホイールの細いグリップは拳銃を握りながら運転が出来るように、可倒式のフロントガラスは草むらの中で身を隠すための設計と言われています。

ジープの設計でユニークなのはシート下に燃料タンクがあることでしょう。ジープのフロントノーズをよく見ていただくとわかると思うのですが、ラジエーターグリルがタイヤに対してかなり奥まった場所にレイアウトされている事に気づきませんでしょうか?そしてシートの下、前後車軸の内側の燃料タンク…

つまりジープは前後重量配分が50:50のフロントミッドシップレイアウトなのです。重量バランスの偏りの弊害は何もスポーツカーだけではありません。ぬかるんだ路面を走る4WD車でも、重量バランスが悪ければ重いほうが地面にめり込みスタックの原因になります。まったくベクトルが真逆のクルマでも、理想を突き詰めると同じレイアウトに行き着くというのは非常に興味深い話ではないでしょうか。

▲1953年型ビュイックスーパー

北米のマニアがフルオリジナルコンディションでレストアした車両を直接譲り受けたものだそうです。トムとジェリーのようなアメリカのカートゥーンアニメに出てくるクルマそのものが目の前にあるようでした。

エンジンも冷却とオルタネーターを強化した以外はフルノーマルとのこと。

後ろについているのはエアコンの吹き出し口、さすがアメリカ車もう1953年式にしてエアコンが付いています。ただしオーナーは使っていないとのこと。

ペダルを見ればわかる通り、このクルマはオートマティックトランスミッション(ダイナフロー)が搭載されています。ただし、完全なフルオートではなく、発進だけ1速に入れてドライブギアに入れたらトルクコンバーターとエンジンのトルクでカバーするセミオートに近いシステムだそうです。ちなみに初代トヨペットクラウンに搭載されたオートマチック(トヨグライド)も、同様のシステムだったようです。

▲昭和43年ホンダS800輸出仕様

よく見ると左ハンドルであることがわかると思います。オーナーの方に仕向け先は何処なのか聞いてみた所なんとドイツ(!)だそうです。きっと新車当時のオーナーは、ホンダRCのように回るホンダツインカムエンジンをアウトバーンでさぞかし堪能したことでしょう。故郷に里帰りしたのが良かったのか、はたまたそのままドイツにとどまり今頃Hナンバーを掲げてアウトバーンを走りつづけるのが良かったのか、ちょっと考えてしまいました。

そしてカーイベントのお楽しみ、キャンギャルがスーパーカーの横に立てばカメラを構えたくなるのが男のサガなのかもしれませんが…

今回のイベントのお楽しみは何といっても幻のスーパーカーの実車展示!

その過激さゆえに、GR.Bというカテゴリー自体を消滅に至らしめることになる曰く付きのマシン、ランチア037が実際に走っているところを見る機会もそうそう無いでしょう。

スーパーカーといえば近年、ホンダがNSXを復活したりトヨタがレクサスブランドでLFAをリリースし、最近もGRブランドで新型スーパーカーを発売するという噂でもちきりですが、かつて日本がバブルの好景気で沸いていた時代にも国産スーパーカーを開発する動きがあった事を覚えておられる方も多いことでしょう。今回の美濃クラシックカーフェスタの特別展示はそんな幻の国産スーパーカーです。

まさか、筆者も自分が生きている内に童夢 零の実車を拝める…それも、ジオットキャスピタと並んでいる状態を目にする日が来るとは思ってもみませんでした。

今回の美濃クラシックカーフェスタはこれだけでも十分な価値があったと言えるでしょう。筆者も頼めばキャスピタのシートに座らせてもらえたかもしれないのですが、正直そんな気にすらなれませんでした。でもこの後もっととんでもない光景を目にすることになります。

なんと撤収時に図らずしもカウンタックと童夢 零の奇跡のツーショットが!このときたまたま居合わせた人たちからも歓声があがりました。実はこのシャッターを切った時、手が震えていたのでしょう…少しブレています。

うだつの上がる町並みにたたずむジオットキャスピタ。まるでグランツーリスモのスクリーンショットのような光景が目の前にありました。

このラグトップのVW、遠くから見た時は展示車両かと思ったのですが、どうも様子がおかしいと近くで見るとナンバープレートが無い…

どうやらこのお店の軒先でディスプレイとして余生を送っているようです。とはいえ、ちゃんと手入れをしているようで、今でも車検整備さえすればすぐに公道走行可能な状態になるのではないかと思えるくらいに綺麗なクルマでした。他にもここの町の人が置いたと思われるクラシックカーがいくつかあり、この町の人自身がクラシックカーを楽しんでいるように感じました。

クラシックカーイベントが年々地元に根差したものに

実は美濃クラシックカーフェスタに行くのははじめてだったのですが、最近とくに感じるのがこういった地方のクラシックカーイベントが年々地元に根差したものになっているということでしょう。最近は一部の過激な改造車のイベントやミーティングの問題行動で会場が借りれなくなる、パーキングが閉鎖になるという話を聞きます。そのたびにせめて最低地上高やタイヤのはみ出しマフラーくらいは保安基準に適合させて、ブリッピングやオーディオの大音量再生はしないくらい徹底すればと思う事があります。

クラシックカーの場合、改造に関してレギュレーションが厳しいからというのもあるかとは思いますが、比較的良好な関係を築けているだけでなく、自治体や警察までが積極的に協力してくれるイベントも珍しくありません。できる事なら、他のジャンルのカーイベントもまたご当地コンテンツになるような、そういう文化に昇華する事を願いたいものです。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシックカー。免許取得後念願の昭和44年型スバル360スーパーDX購入、その後昭和48年型トヨタセリカLB2000GTを購入し現在も所有、今気になるのは縦目以前のオールドメルセデス。普段、普通の会社員をしつつ、休日は購入から20年近くたったスバル360のDIYレストアに挑戦中。実車のほかカーモデルやスロットカーも嗜み、最近はフルスクラッチで市販キットでモデル化されていない車種も製作。プロフ画像は最近完成したタミヤ1/12Gr.5セリカLBターボのラジコンボディをベースに市販車仕様に改造し自分の愛車を再現した初期型セリカLB2000GT。いつかはドイツに移住し愛車のセリカLBでヒストリックナンバーを取得しアウトバーンを走るのが夢。

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