視線は大忙し、陸海空を集めたドイツの発動機イベント「モーターワールド・クラシックス・ボーデンゼー2018」

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ドイツ、スイス、オーストリアの3カ国が国境を接する、ボーデン湖(ドイツ語読みはボーデンゼー)湖畔のドイツの街フリードリヒスハーフェンで、今年もモーターワールド・クラシックス・ボーデンゼーが開催された。

モーターワールドは、ドイツ国内で自動車趣味の複合施設「モーターワールド(Motorworld)」を経営している会社である。大規模な建屋の中に、クラシックカー&スポーツカー販売店、ガラス張りの保管ガレージ、修理工場やレストアショップ、アパレルショップなどが入った施設で、同じような事業を手がける「クラシックレミーズ(Classic Remise)」という別の会社とともにドイツ国内では大成功を収めている。今月には、ケルンにあった飛行船の空港「Butzweilerhof」跡地に、Motorworld Köln – Rheinlandがオープン予定だ。

モーターワールド・クラシックス・ボーデンゼー2018

今回の会場となったのは、「Messe Friedrichshafen」という展示会場である。フリードリヒスハーフェンという街は一般的な観光地ではないが、有名なツェッペリン飛行船の本拠地だった場所で、飛行船の歯車メーカーとして創業した自動車部品のメガサプライヤー・ZFフリードリヒスハーフェンが現在も本社を置く場所である。

イベント当日は、遊覧の軟式飛行船が何度も離着陸を繰り返していた。

▲会場上空を飛ぶ軟式飛行船

モーターワールド・クラシックス・ボーデンゼーの特徴

モーターワールド・クラシックス・ボーデンゼーの特徴は、「陸」「海」「空」の乗り物が一堂に会するところである。正直なところ、展示会場はボーデン湖から少し離れており、展示されている海の乗り物は少ないが、隣接する飛行場を生かした飛行機のディスプレイと、頭上でのデモ飛行は圧巻である。また、敷地内には仮設サーキットも作られており、戦前のグランプリカーから比較的新しいレーシングカーまで、観客の前で全力疾走できる場所もある。今年は見かけなかったが、会場入り口にある池で水陸両用車(アンフィカー)を走らせることもあった。

▲「陸」会場と空港の間に仮設されたサーキット

▲「海」会場内に並ぶRivaヨット

▲「空」ユンカースJu52のディスプレイ

主役はドイツ車

さて、展示会場に移動してみよう。

会場は10個の屋内ホールがU字型に別れており、飛行機の展示場、オーナーズクラブの展示場、クラシックカー専門店の展示場、オークション会場、クルマの個人売買展示場、中古部品販売スペースといったところであった。U字型に囲まれたホールとホールの間のスペースはクラシックカーで来場したオーナーの専用駐車スペースになっており、ここも大変見ごたえがある。

ドイツ、スイス、オーストリアと、ドイツ語圏の国が接する場所柄、展示車両は圧倒的にドイツ車が多い。とくに活気があったのは、ドイツ車のオーナーズクラブ。ポルシェ911、ポルシェ928、BMW Z1、 Z3、フォルクスワーゲン・ビートル、メルセデスSLといったクルマは非常に盛り上がっていた。

▲一番人気はポルシェクラブ

また日本ではマイナーであるものの、オペル・カデットをベースにフランスのカロッツェリアがボディを架装したオペルGTや、ドイツ・フォードのタウヌスをベースにイタリアのカロッツェリアOSIがファストバックボディを架装したOSIフォード20M TSクーペなどは大きな存在感を放っていた。

▲オペルGT

▲OSIフォード20M TSクーペ

日本車特集「Nippon Classics」コーナー

今回は企画として日本車特集が組まれており、会場の一角にはなんと、鳥居と錦鯉の池が設置されていた!

▲特集してくれるのはうれしいが、鳥居と錦鯉に頭をかしげてしまう

▲なぜか一番多かったダルマセリカ

ドイツ・アウグスブルクのマツダ・ミュージアム・フライからコスモ・スポーツが来ていたが、ほとんどは現地の日本車オーナーによる持ち込み展示であった。印象的だったのは、ダルマセリカと呼ばれた初代トヨタ・セリカの展示が多かったこと。部品の入手などで維持が難しい日本のクラシックカーを、ドイツでどうやって維持されているのか機会があればお話を聞いてみたいと思った。ちなみに、離れたところから日本車特集コーナーを見ていたところ、見に来たお客さんが一番足をとめていたのは、初代ロードスターとコスモ・スポーツの前であった。

▲マツダ・ミュージアム・フライからやってきたコスモ・スポーツ

超がつく迷車を発見

▲アルファロメオ・アルナのフロントビュー

日本車特集コーナーからほんの少し離れたところに、とても希少なクルマを見つけた。

その名は、アルファロメオ・アルナ。

80年代に、アルファロメオと日産自動車が提携し、合弁会社が工場を建設して生産したクルマだ。アルファスッドのフラット4エンジンをはじめとする動力・電装系をアルファロメオから、日産パルサーのボディや足回りは日産から、組み立てはナポリ近郊のプラトーラ・セラ工場で行われていた。当時のプロジェクトに関わった両社の人間は、自社製品の魅力がわかっていなかったのだろうか。アルファロメオのボディに、日産の動力・電装系を組み合わせれば魅力的なクルマができたのにと皮肉られ、販売は泣かず飛ばず。たった4年で生産を終えてしまったプロジェクトであった。

▲アルファロメオ・アルナのリアビュー

展示されていたクルマは、ワンオーナーのTiグレード、3ドア。盗難防止のため、ナンバープレートの番号がすべての窓ガラスにエッチングされており、まるで新車のような内外装にオーナーの愛情がたっぷりと感じられた。自動車の歴史上、迷車として片付けられてしまうクルマを長年大切に維持されていたオーナーには大変頭が下がる思いである。

存在感を放っていた、ポルシェ930ターボの販売車両

▲オークション会場にあったポルシェ930ターボ

ドイツ本国では、近年話題になった空冷911モデルの暴騰が収まり、現在は評価が比較的低かった水冷の996モデルの相場がすでに上がってきている。

今回、クラシックカー専門店やオークション会場で目立っていたのは、ポルシェ930ターボの出物だ。大都市で開かれるレトロクラシック・シュツットガルトや、テクノクラシカ・エッセンと比べると、今回の会場の値付け自体が全体的に安いということもあるが、以前と比べるとかなり適正価格に近づいたと思われるプライスタグがつけられており、ようやくおかしな相場も終わりに近づいているのかもしれない。

[ライター・画像/林こうじ]

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林こうじ

ドイツ在住の自動車技術者。某国産自動車メーカーを経て、現在はドイツ系サプライヤーで設計を手がける。夢は自らの少量生産自動車メーカーを起業し、本当に乗りたいクルマを作ること。

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