第86回ジュネーブ・モーターショーは「21世紀を代表するスーパーカーショー」だった!

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3月3日から13日にかけて開催されていた第86回ジュネーブ・モーターショー。読者の方々はすでにさまざまなニューモデルをご覧になっていることと思います。実際にショー会場をまわって気になったのはスポーツカーの多さ。特に1,000psクラスのスーパースポーツが何種類も発表されたのが衝撃的でした。今回はそんなスーパースポーツの数々をご紹介します。

Bugatti Chiron(ブガッティ・シロン)

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今年のジュネーブ・モーターショーの華がブガッティ・シロン。ヴェイロンの改良型となる8リッターW16 クワッドターボエンジンは、最高出力1,500ps、最大トルク1,600 Nmを発揮。動力性能は、0-100km/h加速2.5秒、最高速度420km/h(リミッター作動)と発表されています。2015年のフランクフルト・モーターショーで発表されたブガッティ・ビジョン グランツーリスモと見比べるとコテコテ感がなく、ヴェイロンに比べてデザイン的に洗練されたため、魅力が増しています。最近はクラシックカーの値段が高騰しているため、240万ユーロ(約3億円)という価格がむしろ安く思えてくるから不思議です。

Lamborghini Centenario LP 770-4(ランボルギーニ・センテナリオ LP 770-4)

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フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念して製作されるランボルギーニ・センテナリオ。アヴェンタドールをベースにしながらまったく別物のモデルに仕上がっており、ディフューザーのお化けのような異様な雰囲気でした。6.5リッターV12エンジンは770psを発揮し、0-100km/h加速2.8秒、最高速度350km/h以上と発表されています。ジュネーブではグロスカーボンファイバー仕上げのボディでしたが、同社のカスタマイズ・プログラム「アド・ペルソナム」により、オーナーの好みに応じた仕上げにすることが可能です。生産台数は、クーペとロードスターで各20台、計40台とのことですが、発表された時点で完売でした。

Aston Martin DB11(アストンマーティン DB11)

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アストンマーティンDB11は、最高出力608ps、最大トルク700Nmを発揮する新開発の5.2リッターV12ツインターボエンジンを搭載したDBシリーズの最新作。ダイナミックに生まれ変わった新世代のスタイリングは、ルーフラインの低さが印象的でした。しかも「アストンマーティン・エアロブレード™」と呼ばれるエアフローを最適化したボディ設計により、スポイラーに頼ることなくリアのダウンフォースを確保しています。日本でも受注が開始され、ベースモデルの暫定車両価格は2,380万円と発表されました。

Pagani Huayra BC(パガーニ・ウアイラ BC)

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パガーニ・ウアイラBCは、パガーニが20台の生産を予定している限定モデル。最高出力は800psに引き上げられ、車重は130kg以上軽減されています。価格は230万ユーロ(約2億8,750万円)といわれ、価格的にもまさしくスーパーカーそのもの。

Koenigsegg “One of 1”(ケーニグセグ One of 1)

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スウェーデンのケーニグセグが発表したこのモデルは、同社のスーパースポーツ「アゲーラ」のファイナルモデルシリーズ。生産台数は3台で、会場にはその1台目が展示されました。“One of 1”のエンジンは5.0リッターV8ツインターボで、最高出力1,360ps、最大トルク1,371Nmを発揮。車両重量は1,380kgなので、パワーウェイトレシオは1.01kg/psという凄まじさです。

Koenigsegg Agera RS(ケーニグセグ・アゲーラ RS)

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ケーニグセグのブースには、2015年のジュネーブで発表されたアゲーラRSも展示。展示車両は、イエローのボディカラーにクリアカーボンのストライプとブライトレッドのアクセントカラーを施したシャシーナンバー7118。25台が製造されたアゲーラRSは、発表から10ヶ月後の2016年1月に完売しています。

Koenigsegg Regera(ケーニグセグ・レゲーラ)

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2015年のジュネーブで発表されたケーニグセグ・レゲーラは、アゲーラに代わる次期モデル。ちょうど1年後のジュネーブでは待望の量産型が展示されました。プロトタイプから3,000箇所以上の改良が施され、車両重量は1,590kg、乾燥重量は1,470kgと発表されています。アゲーラの5リッターV8ツインターボエンジンに3基の電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドで、システム合計出力は1,500ps以上、最大トルクは2,000Nm以上とのこと。0-100km/h加速は2.8秒です。ブガッティとケーニグセグの世界最速車争いは、それぞれがニューモデルが変わっても続いていくようです。

RUF SCR 4.2(ルーフ SCR 4.2)

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RUFはジュネーブで毎年意欲的なモデルを発表しています。今年の新作となるRUF SCR 4.2は、空冷時代のシャシーのホイールベースを70mm延長し、同社のRGT 4.2と同じ525psを発揮する水冷4.2リッターの自然吸気フラット6エンジンを搭載したもの。トランスミッションは6速マニュアルで、駆動方式は後輪駆動。車両重量は1,190kgという軽量さです。クラシックポルシェの魅力と圧倒的な動力性能、それに現代的な快適性を兼ね備えた通好みのモデルです。

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これはRUFのブース内に展示されていたカーボンファイバー製ボディシェル。590psの空冷3.6リッターツインターボエンジンを積む、RUF Ultimate用に開発されたものです。ボディシェルの成型方法は、プリプレグシートを6バールの高圧および120℃の高温で焼き上げたオートクレーブ成型(ドライカーボン)。試しに触ってみましたが、恐ろしいほど軽量で驚愕しました。

Spyker C8 Preliator(スパイカー C8 プレリエーター)

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2014年に経営破綻したオランダのスパイカーがついに復活。2009年にジュネーブで発表したC8 Aileronの後継となる、C8 Preliatorを発表しました。エンジンはアウディ製4.2リッターV8にスーパーチャージャーを装着したもので、最高出力535ps、最大トルク600Nmを発揮。トランスミッションはゲトラク製6MTまたはZF製6ATと組み合わされます。豪華絢爛で個性的なインテリアは以前のまま。生産台数は50台で、価格は6MT車で324,900ユーロ、6AT車で330,990ユーロと、いずれも4千万円オーバーの高級スポーツカーです。

Alfa Romeo Disco Volante Spyder by Touring(アルファ ロメオ・ディスコヴォランテ・スパイダー by トゥーリング)

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カロッツェリアのトゥーリング・スーパーレッジェーラの新作が、このディスコヴォランテ・スパイダー。同社は2012年にベルリネッタボディのディスコヴォランテを発表しているので、今回のスパイダーはその続編といえます。ベース車両はアルファ ロメオ8Cスパイダーで7台が製作される予定。ドナーとなる8Cスパイダーを見つけてから6ヶ月の製作期間を経てディスコヴォランテに生まれ変わります。ドナー自体が貴重な限定車のため、なんとも贅沢な内容です。

Radical RXC Turbo 500R(ラディカル RXCターボ 500R)

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ラディカルは、ニュルブルクリンク北コースで市販車のコースレコードを持つ英国のスポーツカーメーカー。今回同社が発表したRXCターボ500Rは、クローズドボディ仕様の「RXC」に追加した最強モデルで、21台が限定生産される予定です。エンジンはフォード製のEcoBoost 3.5リッターV6エンジンをベースに、2基のギャレット製GT28RSターボチャージャーとインタークーラーを加え、最高出力600psを発揮。6速シーケンシャルトランスミッションとの組み合わせにより、後輪を駆動します。オーナーはラディカル・ワークスチームの支援により、ニュルブルクリンク北コースで個別にドライビングレッスンが受けられるという特典付きです。

Apollo Arrow(アポロ・アロー)

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2012年に経営破綻したドイツ製スポーツカーメーカーのグンペルトが、新たな資本を得て「アプロ」として復活。「アロー」の名でニューモデルを発表しました。グンペルトの創業者だったローランド・グンペルト氏は、新生アポロ・オートモビルのCEO兼チーフエンジニアとして「アロー」の開発に携わっており、実質的には旧グンペルト・アポロの改良型といえる内容です。エンジンはアウディ製の4リッターV8に大型のターボチャージャーを2基装着することにより、最高出力1,000ps、最大トルク1,000Nmを発揮。クロモリ製チューブラーフレームとカーボンモノコックを組み合わせたシャシーに搭載されます。まだプロトタイプながら、ドイツ製スーパースポーツの復活に期待したいですね。

Apollo (アポロ N)

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アポロの復活に伴い、かつてニュルブルクリンク北コースで市販車コースレコードを持っていたグンペルト・アポロも復活しました。「アポロN」と呼ばれるニューモデルは、エアロダイナミクスに改良を加えるなど、さらなる進化を遂げています。エンジンは4.2リッターV8ツインターボで、最高出力700ps、最大トルク880Nmを発揮。0-100km/h加速3.0秒、最高速度360km/hというスペックは現在でも世界トップクラス。6台のみ限定生産される予定です。

Lykan HyperSport(ライカン・ハイパースポーツ)

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自動車サプライヤーのマグナに展示されていたのは、なんとライカン・ハイパースポーツ!Wモータースが開発したライカン・ハイパースポーツは、340万ドル(約3億8,500万円)という高価格で話題となったスーパースポーツです。ミッドシップに搭載されるRUF製の3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンは、最高出力780ps、最大トルク960Nmを発揮。0-100km/h加速は2.8秒という俊足ぶりです。マグナはエンジニアリングおよび製造パートナーとしてプロトタイプのデザインと組み立てを担当したことから、今回の展示につながりました。

Kahn Design Vengeance(カーン・デザイン・ヴェンジェンス)

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ランドローバー車のカスタマイズで知られるイギリスのカーン・デザイン。そのブースに展示されていた1台のスポーツカーが密かに注目を浴びていました。「Vengeance」と名付けられたこのモデルは、アストンマーティンDB9をベースにしたカスタマイズモデル。’80〜’90年代のアストンマーティンから影響を受けたデザインとしているため、初代ヴァンキッシュにも通じるアストンマーティンらしさを感じたモデルでした。

Zenvo TS1(ゼンヴォ TS1)

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デンマーク生まれのスーパーカーメーカーがゼンヴォ。今回発表されたゼンヴォTS1は、2009年に登場したゼンヴォST1の後継モデル。2基のスーパーチャージャーで過給した排気量5.9リッターのフラットプレーンV8をミッドシップに搭載し、後輪を駆動します。詳しいエンジンスペックは未公表ですが、スポーツ走行時は850ps、ウェット路面では650psに設定することが可能。最高速度は375km/hと発表されています。生産台数はゼンヴォST1と同じ15台となる模様です。

Zenvo TSR(ゼンヴォ TSR)

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ゼンヴォTS1をサーキット仕様に仕立てたのがゼンヴォTSR。サーキット走行向けにダウンフォースを高めたボディカウルと軽量・簡素化されたインテリアが特長です。

Arash AF10(アラッシュ AF10)

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イギリスの小さなスポーツカーメーカーがArash。マイナーな存在ながら今回世界を仰天させるハイブリッド・スーパースポーツ「AF10」を発表しました。従来のAF10はコルベット用をベースにした7リッターV8エンジンを搭載していましたが、新型ではパワーユニットを一新。最高出力900ps、最大トルク1200Nmの6.2リッターV8スーパーチャージドエンジンに加え、電気モーターを前後アクスルに各2基ずつ装着。合計出力はなんと2,080ps、2,280Nmに達します。動力性能は0-100km/h加速3秒以下、最高速度201mph(約323km/h)で、スペックからすると控えめな感が否めません。とはいえ、スーパースポーツはついに2,000psの時代に突入していくのでしょうか。

Arash AF8(アラッシュ AF8)

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Arashのブースで世界初公開のAF10とともに展示されていたのが、2014年に発表されたAF8。鋼管スペースフレームをカーボン製パネルで補強したシャシーに、最高出力560ps、最大トルク645Nmを発揮する7リッターV8エンジンを搭載。6速MTを介して後輪を駆動する、古典的なレイアウトのモデルです。

SIN R1(シン R1)

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イギリスを本拠地とするシン・カーズは、ブルガリア人のエンジニア兼レーシングドライバー、ローゼン・ダスカロフ氏が設立した小規模メーカー。2015年のヨーロッパGT4選手権に参戦し、未勝利ながらポールポジションや表彰台を何度も獲得している実力の持ち主です。シャシー構成はチューブラーフレームにカーボン製ボディパネルを備えた古典的な手法。とはいえ、GT4マシンもロードバージョンも基本構成は変わらないため、名実ともにロードゴーイングレーサーそのもの。エンジンはシボレー製の6.2リッターV8で、最高出力は430ps/505ps/650psの3種類のチューニングが用意されています。

Rimac Concept_S(リマック・コンセプト_S)

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クロアチアのEVスポーツカーメーカー、リマック・アウトモビリが発表したニューモデルがこの「コンセプト_S」。電気モーターは各車輪に1つずつ装備され、4基の合計出力は実に1,384ps、最大トルクは1,800Nmを実現。これは2011年のフランクフルト・モーターショーでデビューした「コンセプト_ワン」の1,088ps、1,600Nmを大きく上回っています。車重が50kg軽量化されたこともあり、0-100km/h加速2.5秒という圧倒的な加速力を誇ります。

Rimac Concept_One(リマック・コンセプト_ワン)

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リマックのブースには2011年に発表された「コンセプト_ワン」も展示されていました。ホイールごとに電気モーターを備えるため、ホイールトルクベクタリングシステムを開発。さらにギアボックスもホイールごとに備えているのが特長です。実車の印象はとにかく車高が低いこと。初代ロータス・ヨーロッパ並みの低さで、実際の全高も1,070mmしかありません。ワイド&ローの極致をいくスタイリングが魅力的です。

Techrules GT96(テックルールズ GT96)

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今回もっとも度肝を抜かれたのが、中国のテックルールズ社が出品したスーパーカーです。「TREV」(タービン・リチャージング・エレクトリック・ビークル)と呼ばれるパワートレーンは、タービンエンジンを用いたレンジエクステンダー。駆動自体は、フロントの左右に各1つ、リアの左右に各2つ搭載された計6つの電気モーターにより行います。最高出力は1,044ps、航続距離は1,930km超という、夢のような効率を誇るスーパーカーです。

Techrules AT96(テックルールズ AT96)

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テックルールズが発表したもう1台のスーパースポーツがAT96。GT96がロードバージョンであるのに対し、AT96は航空機用の液体燃料を用いたサーキット専用モデル。タービンをパワートレーンに使用した独自性と派手なスタイリングで、会場では大きな話題を集めました。完成度は果たしてどれほどのものなのでしょうか。

第86回ジュネーブ・モーターショーは「21世紀のスーパーカーショー」だった!

このように、ひと昔前なら考えられないような高出力のスーパースポーツが登場した背景のひとつには、電気モーターを併用したハイブリッドモデルが増えてきたことが挙げられます。また、以前は「イスパノ・スイザ」のように休止した有名ブランドの名を使ってプロトタイプを発表した例がありましたが、最近はブランド名に頼ることなく独自にスーパーカービジネスを展開する例が増えています。

ジュネーブでは昔からカロッツェリアやスーパースポーツの新作が華々しく発表される場であり、これまで多くのスーパーカーがスポットライトを浴びてきました。スパイカーやアポロのように一度は経営破綻しながら不死鳥のように蘇ってくるブランドがある一方、打ち上げ花火のように1発屋で終わったブランドも少なくありません。

今回発表されたスーパーカーたちが、今後もクルマ業界を盛り上げる存在であり続けることを願いたいですね。

北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人になってしまった自動車ライター。ニューモデルを見るため20年以上ジュネーブ・モーターショーに通う一方、所有したクルマは’80〜’90年代のネオクラシックカーばかり。さらにミニカーやカタログなどの自動車趣味からモータースポーツまで、興味の対象は幅広い。自動車専門誌や一般誌での執筆をはじめ、輸入車関係の仕事などを幅広く手がけている。

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