全110号を個人輸入!日本未入荷の超大型キット『週刊 ルノー 5 マキシ ターボ』をつくる

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一般に販売されている自動車模型のなかで、一番大きな製品は1/8スケール。実に全長50cmを軽く超える巨大なモデルのため、完成品のミニカーでは50万円から100万円前後、組み立て式のキットでも10万円以上はする高価な製品です。有名なのはデアゴスティーニ・ジャパンやアシェット・コレクションズ・ジャパンなどの出版社が販売している週刊の組み立てキット。2017年9月26日にはデアゴスティーニから『週刊 マツダ コスモスポーツ』が創刊され、1/8スケールの車両と1/2スケールのロータリーエンジンの模型を同時に組み立てていくという魅力的な内容が話題となりました。今回はそんな1/8スケールの自動車模型をめぐる奮闘劇をご紹介します。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ
▲2017年9月26日に創刊された『週刊 マツダ コスモスポーツ』。創刊号は490円で、第2号以降は1,790円。組み立てが難しい人のために、別料金で組み立てサービスも用意されている

海外で人気の1/8自動車模型シリーズ

そんな週刊タイプの1/8スケールの自動車模型は、海外でも数多くリリースされています。メルセデス・ベンツ 300 SL、ポルシェ 911 カレラ RS 2.7、VW ビートル カブリオレなどの人気のドイツ車から、フォード・マスタング シェルビー GT 500、アルピーヌ・ルノー A110、ルノー 8 ゴルディーニなどのシリーズが発売されています。なかでもシトロエンはアイテム数が豊富で、2CV チャールストン、DS21、トラクシオン・アヴァンなどのシリーズがつくられました。

そんな魅力的な車種のなかで、もっとも筆者の興味をひいたのが、ルノー 5 マキシ ターボです。コンパクトカーのルノー 5をベースにエンジンをミッドシップに搭載し、グループ4時代のWRCで活躍したルノー 5 ターボ。その最終発展形として1985年にデビューしたのがルノー 5 マキシ ターボでした。
グループB規定に基づいて製作された車体は、ケブラーなどの軽量素材の採用などにより車重は905kgにまで軽量化され、スタイリングも一新。4気筒のOHVターボエンジンは排気量が1527ccに拡大され、最高出力は350psを発揮していました。デビュー戦となった1985年のWRC第5戦ツール・ド・コルスでJ.ラニョッティが優勝しています。
キットは、1986年のツール・ド・コルスでF.シャトリオが2位に入賞したDiacカラーのマシンを再現したもの。概要説明では、ヘッドライトとブレーキライトが点灯し、エンジン音の再生もできると謳われています。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

とはいえ、車両自体はかなりマニアックな存在であり、シトロエン DS21やメルセデス・ベンツ 300 SLのように、誰でも知っているような世界的な名車ではありません。そのため商業的にはかなりリスクの高いシリーズであり、当初欧州でテスト販売されたときも、数号で終了するのではないかと思っていました。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ
▲1/8 ルノー 5 マキシ ターボの創刊号。巨大な台紙に冊子とパーツが貼付されている。価格は驚きの1ユーロ!

ところが、予想に反して2015年にフランスで正式発売されました。グループB車両については1/1の実車からスーパーカー消しゴムまでコレクションしている筆者にとって、このシリーズはマストアイテムであり、なんとかして入手しようと試みました。

最初はフランスのインターネット書店で発見したものの、売り切れの号があったりして全号コンプリートは難しい状態。次にクレジットカード会社のコンシェルジュサービスを通じて発売元のAltayaに定期購読の問い合わせをしてみました。しかし、こちらも不調に終わり、泣く泣く断念したのです。それ以降、ネットオークションで見かける機会もほとんどなく、いつの間にか記憶から薄れていきました。

諦めなければ想いは叶う!

そんな1/8 ルノー 5 マキシ ターボの記憶が蘇ったのは数ヶ月前のこと。何気なくeBayをチェックしていたところ、組立済完成品の状態で販売している出品者を発見したのです。それはフランス国内向けの出品だったため購入は断念したのですが、さらに探していくと、なんと全110号のキットをコンプリート状態で販売している出品者を発見。早速連絡したところ、日本には何度も1/8キットを送っているので問題ないとのこと。2年間の空白期間を経て、ついに購入することができたのです。

史上最大の密輸作戦

全110号の価格は日本円にして約16万円ほど。送料も2万円ほどの大きな買い物です。清水の舞台から飛び降りる覚悟で決済を済ませ、発送を待ちました。私が購入した出品者のフランス人の方は非常に親切で、発送前に荷姿の画像を送ってくれました。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

箱の横幅と高さは1m近くあり、あまりの大きさに思わず絶句したのはいうまでもありません。海外からこんなに大きな箱が届いたら、妻からの小言だけに止まらず、家庭内に不和が生じることは火を見るより明らかです。荷物の受け取りには細心の注意を払わなければならない状況でした。

すると発送から1週間後、幸運にも留守中に郵便局からの不在票が入っていました。これにより、不意に荷物が到着して家族仰天という最悪の事態は免れそうでした。到着時間を自分でコントロールすることが可能になったため、前々からご近所さんと予定していた夏休みの家族旅行に出かけたのです。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

決戦は日曜日

そして家に帰る日がやってきました。妻はご近所さんのクルマに同乗することになり、乗り切れなかった私と息子は電車で帰ることになりました。私のクルマはエアコンがないため稼働せず、我が家は電車を使って現地集合したのです。
帰宅のタイミングはちょうど夕方で、高速道路の渋滞と重なっていました。そこで私は19時-21時の時間指定で荷物の再配達を依頼し、電車で先回り。クルマに乗った妻の帰宅前に荷物を受け取ろうという作戦を企てました。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

計算上は19時前に帰宅できるはずでしたが、乗ったバスが一般道で渋滞にハマり、到着が19時をまわってしまいました。荷物は宅配ボックスに入るような大きさではないため、もし再配達が来てしまえば即アウトです。

今回は幸運にも間に合ったため、自分の部屋に荷物を収める仮スペースを確保する作業をすぐに実施します。しかし、そのタイミングで妻から「まもなく帰宅するよ」というLINEが入りました。これでは密輸どころか、取引現場に踏み込まれて現行犯逮捕です。

「もはやこれまでか?」と思っていた矢先にチャイムが鳴りました。モニターを恐る恐る確認すると、巨大な荷物を持った配達員さんが立っているではありませんか。ホッと胸をなでおろしたのはいうまでもありません。そこから急いで荷物を自分の部屋に運び入れ、荷物の周りをさりげなくカモフラージュしているときに妻が帰宅。まさに薄氷を踏むような勝利でした。

全110号は仰天のボリューム

こうして無事密輸に成功した全110号の1/8キット。重量が16.5kgに達していた箱を開封してみると、とてつもないボリュームに驚きました。日本の週刊組み立てキットは箱に収められていますが、この1/8 ルノー 5 マキシ ターボはビニール袋に冊子とパーツが入っているだけのシンプルな構成。そのためビニールが破れて冊子とパーツが単品で入っているものもありました。いかにも海外商品らしいザックリとしたつくりで、彼らの合理性が垣間見れます。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

全110号を並べてみると、最初の10号まではボンネットやドアなどの外装パーツの組み立て。その後は内装、エンジン、車体と進んでいき、最後にボディパネルを組み合わせて完成という流れになっていました。
購入時に気になっていたのは、ボディの分割方法です。というのも、日本で発売された1/8キットの『週刊 NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』では、車体とルーフが別部品で、組み立てるとCピラーに分割線ができる構造になっていたからです。しかし、このルノー 5 マキシ ターボでは、巨大な一体成型ボディだったのでひと安心です。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

それにしても、ひとつひとつのパーツの大きさに圧倒されます。それもそのはず、完成時の全長は46.6cm、高さは18cmもあるのです。コンパクトな車体のルノー 5 ターボでこのサイズなのだから、1/8スケールのフォード・マスタングは相当なボリュームでしょう。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ
▲1/43スケールのミニカーと並べると、1/8スケールの巨大さに改めてビックリ!

実際の組み立ては?

ただ眺めているだけでは一生完成しないように思えたので、まずは創刊号から組み立ててみることにしました。キットは誰でも作れるようにパーツは塗装済み、組み立てはビス留めで行うため、基本的には特に問題なく作業を進めることができます。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

当然ながら組み立てガイドはフランス語で書かれているため、フランス語に長けていない筆者は内容を断片的に理解することしかできません。とはいえ写真も豊富なため、パーツ番号さえ間違わなければ失敗するリスクは少ないでしょう。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

とりあえずフロントバンパーとボンネットを組み立ててみましたが、1号あたりの組み立て時間は10分から15分程度。必要な工具はプラスドライバーとピンセット程度なので、ちょっとした合間に気軽に作れるのがメリットです。
ちなみにコツを要する箇所にはヒントが書かれているので、その部分のみ日本語に翻訳して理解する必要があります。とはいえ、仏和辞典を買う必要はありません。webの機械翻訳ページでフランス語を入力していけば、組み立てに支障のないレベルの日本語訳が表示されるからです。
趣味を楽しむという面でいえば、フランス語の単語や文法を覚えつつじっくり取り組むのが、もっとも充実した時間の過ごしかたかもしれません。

週刊 ルノー 5 マキシ ターボ

このように、さまざまな経緯を経て手元にやってきた1/8スケールのルノー 5 マキシ ターボ。置き場所などは一切考慮しないで購入したため、完成時した暁には我が家で対策が話し合われることになるでしょう。そんな先行き不透明感も含め、かつてない経験を楽しめることが、1/8スケール自動車模型の魅力といえそうです。

[ライター・画像/北沢剛司]

北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人になってしまった自動車ライター。ニューモデルを見るため20年以上ジュネーブ・モーターショーに通う一方、所有したクルマは’80〜’90年代のネオクラシックカーばかり。さらにミニカーやカタログなどの自動車趣味からモータースポーツまで、興味の対象は幅広い。自動車専門誌や一般誌での執筆をはじめ、輸入車関係の仕事などを幅広く手がけている。

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