豊富なアクションにマイスター魂が宿る!懐かしのMade in Germanyミニカーはネオクラシックの宝庫だ

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’80年代から’90年代のネオクラシックが気になるクルマ好きにとって、当時のクルマがミニカーとして数多く製品化されている現代はとても幸せな状況です。しかし、あまりにも出来が良すぎるため、取り扱いに気を遣ったり、誤ってアンテナやミラーなどを破損してしまうことも少なくありません。その点、ネオクラシックの時代につくられた当時のミニカーは基本的に頑丈で、しかも開閉部分が豊富なドイツ製品などは触って眺めるのが楽しいアイテムでした。今回は’80年代から’90年代にかけてつくられた、ドイツ製ネオクラシックミニカーの魅力をお伝えしたいと思います。

豊富なアクションにマイスター魂が宿る!懐かしのMade in Germanyミニカーはネオクラシックの宝庫だ!

リアルさの追求は果たして正解なのか?

ネオクラシックと呼ばれるクルマには、メーカーや国ごとの個性が色濃く表れているものが数多く存在します。しかし、グローバル化とグループ化が進んだ現代の自動車は、クルマの特徴を国ごとに分けるのは困難な状況にあります。それはミニカーの世界も同様。’90年代を境にメーカーが生産拠点を本国から中国に切り替えてリアルさを追求したことで、メーカーごとの個性が薄くなってしまいました。

当時の私は、どんどんリアルになっていくミニカーに驚嘆し、あまりの出来の良さで思わず買ってしまうことが少なくありませんでした。しかし、当時のベテランコレクターの方たちは、「出来が良すぎるとつまらない」とよく語っていました。そんな言葉に対して当時の私は『時代の変化についていけない旧世代の嘆き』としか思えず、かなり反発していました。しかし、今になってみると、確かにその言葉の意味がよく分かるようになりました。ミニカーは基本的にリアルであればあるほど素晴らしいものですが、極端に言えば、どのメーカーがつくっても似たり寄ったりの製品内容になります。今は技術が成熟しているためどのメーカーの製品も出来が良く、あとは買う側の好みの問題だけという状況です。同一車種のミニカーを並べて、それぞれのメーカーを言い当てられる人はいったい何人いるのでしょうか。

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▲CURSOR-MODELL 1/35 Mercedes-Benz W123(品番 71315)

それに対して、’90年代までのミニカーにはメーカーごとの個性、国ごとの個性が色濃く表れていて、それがミニカーコレクションの面白さでもありました。老舗ブランドの安定感が特徴のイギリス、個性的なレジン製ミニカーのメーカーが多かったフランス、1/24スケールに強いイタリアなど、それぞれの得意分野を活かした製品づくりを行っていたのです。

なかでもドイツ製のミニカーは、実車と同じようなカッチリとしたつくりで、さらにボンネットやドア、トランク/テールゲートの開閉は当たり前というクオリティの高い製品内容が特徴的でした。その技術力の高さはまさに職人芸であり、ドイツらしさが凝縮されていたのです。

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▲“Made in Germany” と刻印されたメルセデス・ベンツSL 500(R129)のミニカー。

思えば、最近はドイツ製品に対する『マイスター』という言葉を聞かなくなった気がします。フランスの『エスプリ』と並んで常套文句のように使われていた言葉も、グローバル化によりすっかり見かけなくなりました。
ミニカーはもちろん出来の良さがなにより大切です。しかしながら、メーカーや国ごとの個性が強く現れていた時代の製品には、現代にはない強烈な輝きを放っているものも多数存在するのです。

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シャシーに “Made in Federal Republic of Germany”(ドイツ連邦共和国)と刻印されたゲレンデヴァーゲンのミニカー。’80年代につくられた製品には、パッケージに “Made in West Germany”(西ドイツ)と記載されたものもあります。

高品質なミニカーが失ったものとは?

ミニカーの世界では、長年ドイツのメーカーが圧倒的なクオリティで業界をリードしてきました。メーカーでいえば『ミニチャンプス』と『シュコー』が有名です。それらは設計をドイツで行い、生産は中国で行っています。現在、世界のミニカーメーカーの多くは中国での生産を行っていますが、先鞭をつけたのは、ドイツのポールズ・モデル・アート社が1991年に立ち上げた『ミニチャンプス』でした。高品質な量産ミニカーを安価に提供することに成功し、今日のミニカー設計のスタンダードを築き上げました。こうして高価なレジン完成品モデルでなければ不可能だった高品質志向の製品が増えていったのです。

その一方で、ミニカーが高品質志向になればなるほど、取り扱いに気を遣う製品が増えてきました。それまでのミニカーは、手に取って眺めるのが普通の楽しみかたでした。ところがボディに繊細なパーツが数多く取り付けられるようになったことで、触ると壊れそうな製品が増えてしまったのです。それどころか、ミニカーを台座から外すことさえためらわれるような製品ばかりになりました。こうしてミニカーファンは、いつしか台座を持ってミニカーを眺めるようになったのです。

ミニカー本来の楽しさに溢れた Made in Germany のミニカー

いつも精密なミニカーに接していると、ときどき昔のミニカーが懐かしくなったりします。そこで段ボールの奥深くに眠っていた昔のドイツ製ミニカーを久しぶりに出してみました。旧いものは30年以上、新しいものでも20年以上前につくられた製品には、実車の雰囲気を的確に捉えた正確さのなかにも暖かみがあります。’80年代から’90年代にかけてアナログからデジタルに移行していった頃の空気感が伝わってきます。

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▲NZG 1/35 Mercedes-Benz 380 SL, 500 SL(品番 284)

この時代のドイツ製ミニカーは開閉箇所が豊富で、思わず手に取りたくなる魅力があります。そしてドアやボンネットを開け閉めしていると、ミニカー本来の楽しさに改めて気付かされたりします。そう考えると、ケースに入れて飾るミニカーと、手に取って触れるミニカーの両方があれば、より豊かな趣味生活が送れるのではないでしょうか。

重厚で存在感に溢れた1/24スケール製品

現在、大スケールの主役は1/18スケールですが、’80年代までの主役は1/24スケールでした。数あるドイツ製ミニカーのなかでも、1/24スケール製品はそのサイズゆえに存在感があり、ダイキャストボディならではの重厚感も魅力的でした。

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▲左:シャバク 1/24 BMW 850i(品番 1630)
▲中:シャバク 1/24 BMW 750iL(品番 1620)
▲右:シャバク 1/24 Audi Cabrio(品番 1415)

写真はドイツのシャバク(SCHABAK)がかつて発売していた1/24スケールのミニカーです。シャバクはオペル以外のドイツ車を1/43と1/24で製品化していて(オペルはガマ社がオフィシャルミニカーを担当)、当時としては非常にシャープなつくりが特徴的でした。

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この時代のドイツ製ミニカーの多くは、ボンネット、左右フロントドア、トランクが開閉可能でした。写真のシャバク製1/24 BMW 750iLは、逆アリゲーター式ボンネットを忠実に再現。その動きに感動しました。

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シャバク製の1/24 BMW 850iは、ボンネット開閉に加えて、リトラクタブルヘッドライトを再現。もちろん、ヘッドライトの開閉状態にかかわらずボンネットはスムーズに開閉します。

メルセデスのオフィシャルミニカーが豊富な1/35スケール製品

当時、メルセデス・ベンツのオフィシャルミニカーは1/35スケールで製作されていたため、この時代のメルセデスのミニカーには1/35製品が数多く存在します。

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▲左:1/35 コンラート Mercedes-Benz 200TD-300TD Turbo 4MATIC/200T-300TE 4MATIC(品番 1503)
▲右:1/35 コンラート Mercedes-Benz 230CE/300CE(品番 1504)

W124のミディアムクラスは、セダンとステーションワゴン、クーペの3種類が製作されました。パッケージも現代のようなクリアケースではなく、スポンジシートに包まれたミニカーが紙箱に収められるという簡素なものでした。

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▲左:NZG 1/35 Mercedes-Benz 380 SEC, 500 SEC(品番 226)
▲中:NZG 1/35 Mercedes-Benz 420 SEC, 500 SEC, 560 SEC(品番 282)
▲右:NZG 1/35 Mercedes-Benz 280 S/SE/SEL, 380 SE/SEL, 500 SE/SEL(品番 281)

写真はドイツのNZGが発売していた1/35スケールのW126とC126のミニカーです。1985年に行われた実車のマイナーチェンジに合わせて、ミニカーでも前後バンパーとサッコプレート、そしてホイールを変更して後期型を再現しています。

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▲左:CURSOR-MODELL 1/35 Mercedes-Benz TAXI 190, 190 E, 190 D(品番 1182)
▲右:CURSOR-MODELL 1/35 Mercedes-Benz 190-190 E(品番 1182)

W201のメルセデス・ベンツ190 Eもつくられています。写真はサッコプレート付きの後期型で、こちらはマイナーチェンジに合わせてボディが一新されました。一応1/35スケール相当なのですが、同スケールのW124やW126と比べて明らかに大きいのはご愛嬌です。

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▲左:CURSOR-MODELL 1/35 MB Geländewagen 250 GD, 300 GD, 230 GE, 280 GE(品番 679)
▲右:CURSOR-MODELL 1/35 MB Geländewagen(品番 71327)

Gクラスの原点でもある460型のゲレンデヴァーゲンも当然つくられています。’90年代につくられた右側の463型と比べると設計年度の違いは一目瞭然。表現が大きく進化していることが分かります。

当時世界最高峰の再現度を誇っていた1/43スケール製品

ドイツ製ミニカーは、1/43スケールにおいてもボンネット、左右フロントドア、トランクの開閉を可能にしていました。その技術力は他を圧倒するもので、当時としては最高レベルの製品内容を誇っていました。

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▲NZG 1/43 Porsche 911 Speedster(品番 327)

写真は当時ポルシェのオフィシャルミニカーを製造していた、NZG社の1/43 ポルシェ911スピードスターです。フロントフード、左右ドア、エンジンフードが開閉し、ボディの造形も良好です。

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▲左:シャバク 1/43 Mercedes-Benz SL 500(品番 1255)
▲右:シャバク 1/43 Mercedes-Benz 300 SL-24, 500 SL(品番 1250)

こちらはシャバク社の1/43 メルセデス・ベンツ SL(R129)です。左はガラスルーフを装着したフェイスリフト後のモデル、右は初期のモデルです。R129では危険時に自動で立ち上がるオートマチックロールバーを装備していますが、この製品ではその動きをしっかり再現しているのが特長です。これだけの開閉を実現しながらチリがしっかり合っているのは「お見事!」と言うほかありません。

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▲左:CURSOR-MODELL 1/43 Mercedes-Benz 300 SE/SEL, 400 SE/SEL, 500 SE/SEL, 600 SE/SEL(品番 71311)
▲右:シャバク 1/43 Mercedes-Benz 600 SEL(品番 1261)

W140のSクラスも製品化されています。写真のミニカーは異なるメーカーの製品ですが、開閉箇所は同じ。6リッターV12エンジンも的確に再現しています。
思えば、ドイツ製の乗用車ミニカーにとってもっとも脂がのっていたのはこの頃でした。’90年代後半になると、中国生産によりディテールの再現度と低価格を両立したミニチャンプスが台頭し、NZGやシャバクなどのメーカーは乗用車から建機や飛行機モデルの製造に移行。CURSOR-MODELLに至ってはブランド自体が消滅するなど、Made in Germanyの乗用車ミニカーは姿を消してしまいました。

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▲NZG 1/43 Mercedes-Benz Unimog(品番 871)

NZG社は乗用車から次第にトラックや建機などに移行し、現在は乗用車製造を止めています。写真のメルセデス・ベンツ・ウニモグ U140はそんな時代を目前にした時期につくられた製品でした。

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ドアとダンプ荷台が可動するのはもちろん、ステアリングが左右に切れるなどシャシーの造形も凝っています。コイルスプリングは実際にサスペンションとして機能し、押すと沈み込むしくみでした。

1/87スケールの精密ミニカー

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▲左:Herpa 1/87 Mercedes-Benz E 280
▲中:Herpa 1/87 Mercedes-Benz C 220
▲右:Herpa 1/87 Mercedes-Benz A-KLASSE

ドイツ製ミニカーといえば、1/87スケール製品も代表格のひとつ。プラスチック製ボディのシャープな造形は精密さの極致で、DTM車両なども豊富につくられました。

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▲左:Herpa 1/87 Ferrari F40(品番 2510)
▲右:Herpa 1/87 MB 500 SL(品番 2516)

なかでもヘルパ社が90年代初頭に開発した“HIGH TECH”シリーズは、わずか5cmほどのミニカーに驚くほど多くのアクションを盛り込んだ意欲作。名実ともにマイスター魂の究極といえる製品内容でした。

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前後カウル開閉やハードトップ着脱など、「よくぞここまで!」といえる内容にファンは驚愕しました。R129のSLはオートマチックロールバーの動きも再現していて、現代の目で見ても古さを感じさせません。むしろ現在の製品でここまで作り込んだミニカーはほとんどないため、発売から四半世紀が経過しても、その輝きはまったく失われていないのです。

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あくまでもコレクター向けミニカーとしてつくられたこれらの製品。パッケージには一応、[not a toy and unsuitable for children under 3 years.] と書かれています。逆にいえば、対象年齢から外れるのは3歳未満だけ。開閉箇所が豊富なので、子どもたちも思わず触りたくなるでしょう。壊れやすそうなドアミラーもドアと一体成型されているものが多いため、子どもが多少乱暴に扱っても壊れることがなく、安心して与えられます。こうして幼いときから本格的なミニカーで遊んで育つと、将来のクルマ好きが自然と育まれていくのかもしれませんね。
良いものは廃れないという意味で、ネオクラシックのクルマたちと、この時代のドイツ製ミニカーはつながっているのではないでしょうか。

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北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人になってしまった自動車ライター。ニューモデルを見るため20年以上ジュネーブ・モーターショーに通う一方、所有したクルマは’80〜’90年代のネオクラシックカーばかり。さらにミニカーやカタログなどの自動車趣味からモータースポーツまで、興味の対象は幅広い。自動車専門誌や一般誌での執筆をはじめ、輸入車関係の仕事などを幅広く手がけている。

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