本物のEvo 2を見分ける5つのポイントと、Evo 2ミニカーを完全網羅で紹介

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メルセデス・ベンツの長い歴史のなかでも、ツーリングカーレース参戦用のホモロゲーションモデルとして誕生した190 E 2.5-16 エボリューション1と、同エボリューション2(通称:Evo 2)は、数あるネオクラシックのなかでも別格の存在感を発揮しています。
前編では、190 E 2.5-16 エボリューション1・2のDTMにおける活躍、それに実車のディテールを中心にお届けしました。今回の後編では、実車の資料なども交えつつ、Evo 2仕様の見分けかた、そして各スケールのミニカーをご紹介します。

前回の記事「ネオクラシックの白眉、メルセデスベンツ190E 2.5-16 エボリューション1・2の伝説をミニカーで辿る」はこちらです。

ネオクラシックの白眉、メルセデスベンツ190E 2.5-16 エボリューション1・2の伝説をミニカーで辿る

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スポーティな190 Eをマニュアルで操る悦び

筆者自身、今から10年以上前に実車の190 E 2.5-16 エボリューション2を本気で買おうとしていた時期がありました。その個体は17台といわれる正規輸入車のなかの1台で、内外装はフルノーマルに保たれていて程度極上でした。

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▲発売時に製作されたEvo 2のセールスカタログ。裏表紙には、2.5-16、同エボリューション1、エボリューション2の3台が並ぶ有名な写真が使われています。

街中を試乗させていただきましたが、190 Eの高い実用性とスポーティさのバランスはまさに絶妙でした。もっとも感銘を受けたのは、メルセデスのツーリングカーレース用ベース車両をマニュアルで乗るという悦び。235psを発揮する2.5リッター直列4気筒DOHCエンジンの吹け上がりは軽く、左手前に1速がくるレーシングパターンの5速マニュアルミッションを操作して走らせる独特の楽しさがありました。

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▲オリジナルカタログは大変レアな存在で筆者もカラーコピーしか手元にありませんが、中面は外観写真で構成されています。また、簡単な車両解説とEvo 1とのスペック比較を行ったページも存在します。

残念ながらそのときは資金のやり繰りができず、泣く泣く購入を断念しました。しかし、現在のように価格が高騰して雲の上の存在になってしまうとは、当時まったく想像できませんでした。あのときEvo 2を買っていたら、今頃はどんな生活を送っていたのでしょうか。

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▲Evo 2を本気で探していたときに入手した英語版のサービス向けイントロダクションと、専用装備の使用方法を記載したオーナーズマニュアル。どちらも1990年に発行されたもの。

本物のEvo 2を見分ける5つのポイント

そんな190 E 2.5-16 エボリューション2は、デビュー当初から高嶺の花でした。そのため、当時は190 E 2.3-16に純正パーツや社外品のキットを装着した、いわゆる「エボ2仕様」を見かけることもありました。なかには、なぜかW124用のエボ2キットを製作するメーカーも現れるなど、当時のEvo 2人気は相当なもの。改めて調べてみたところ、今でもW124のエボ2キットは生産されているようで驚きました。

話が逸れましたが、Evo 2を見かけたときにそれが「エボ2仕様」でぬか喜びすることのないよう、本物であるか否かを判断する目利きのような知識が自然に身に付きました。最近は本物よりも「エボ2仕様」のほうがかえってレアかも知れませんが、主に外観上で本物のEvo 2を判断する5つのポイントを紹介します。

●ポイントその1:ルーフアンテナは付いているか?

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Evo 1では通常の190 E 2.5-16と同じように、左側Cピラーの後方に格納式アンテナを装備しています。しかしEvo 2では、スペース上の理由により、ルーフ後端中央に短いロッドアンテナが設けられました。
このアンテナは、45°〜90°の傾斜角度で取り付けたときに最良の受信状態を得ることができます。ただし、傾斜を45°以下にすると、トランクを開いたときにリアスポイラーがアンテナに接触し、損傷するおそれがあるので注意が必要です。

●ポイントその2:マフラーエンドはノーマルか?

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Evo 2のマフラーエンドにはオーバル型のカバーが装着されているため、その形状が本物か否かを判断する目安となります。Evo 2の純正マフラーは非常に高価だったため、純正マフラーを装着した「エボ2仕様」はほぼ皆無に近いでしょう。
ただ、誕生から26年を経過したモデルのため、マフラーの錆は否めません。そのため、マフラー全体を交換したり、マフラーエンドを残して中間部分を作り直した個体も少なくありません。逆にマフラーがフルノーマルの状態で残っている個体は、それだけ手厚く維持されてきた個体といえるでしょう。

●ポイントその3:左ハンドル車か?

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190 E 2.5-16 エボリューション1および2は、左ハンドル車のみが製作されました。そのため、右ハンドル車の場合は「エボ2仕様」と思って間違いないでしょう。

●ポイントその4:マニュアル車か?

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▲Evo 2のシフトノブには、このようなシリアルナンバー入りのシフトノブが装着されます。

Evo 1およびEvo 2は、左手前に1速がくるレーシングパターンの5速マニュアルトランスミッションのみが設定されました。そのため、AT車は「エボ2仕様」といえます。また、マニュアル車をベースにした「エボ2仕様」の場合、***/500と刻まれたシリアルナンバー入りのシフトノブがあるか否かがひとつの判別ポイントとなります。ただ、本物でもオリジナルのシフトノブを保存するため別物に交換している例があるので、もちろん絶対ではありません。

●ポイントその5:車高のバランスは自然か?

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本物と「エボ2仕様」の見分けは、実はパッと見の第一印象で決まることが多いかも知れません。「エボ2仕様」には腰高な印象があり、低く身構えた凄みがありません。車高を落としていればその印象はなくなりますが、逆に低すぎる車高も不自然な感じを受けます。本物にはバリッとしたオーラが感じられる個体が多いため、結局、最初に見て違和感を感じるか否かが案外重要だったりします。
ちなみにEvo 2の車高は1,342mm。190 E 2.3-16および2.5-16の車高は1,361mmのため、その19mmの差が違和感を感じる主な要因といえるでしょう。

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このほかにも、エボリューションモデルには車高調整機能が標準装備されるため、エンジンルーム左手前にはレベリングオイル用リザーブタンクが設けられ、ライトスイッチ横には車高調整スイッチが備わります。この車高調整機能は、190 E 2.3-16および2.5-16にオプションとして用意されたため(日本仕様は設定なし)、並行輸入車の場合は見分けが付きにくいかもしれません。また、維持費が嵩むハイドロを嫌って車高調整機能を外した個体もあるため、これらはあくまでも参考程度です。

とはいえ、そんな豆知識よりも実はビークルプレートの「WDB」の後の数字を見れば一目瞭然です。
190 E 2.3-16:201034〜
190 E 2.5-16:201035〜
同、Evo 1/Evo 2:201036〜

ほかにも細かい変更点がいくつかあるので、もし実車を観察できる機会があれば探してみてください。

手軽で効果的な缶コーヒーミニカーのプチ改造とは?

アグレッシブな外観が魅力のEvo 2は、コンビニの缶コーヒーキャンペーンで手に入るミニカーとしても登場しています。

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▲左:1/100 Mercedes-Benz 190 E EVO Ⅱ
▲右:1/64 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 EVOLUTION Ⅱ

左は2007年に缶コーヒーの販促キャンペーンとして配布された「ジョーシア メルセデス・ベンツ ミニチュアカーコレクション」のミニカー。1/100スケールの樹脂製ボディで、Evo 2を含む10種類の車種が用意されました。

右は2016年4月にコンビニで行われた「UCC メルセデス・ベンツ Premium Collection. 」キャンペーンの景品として付いていた1/64ミニカーです。このキャンペーンでは全5種類のダイキャスト製ミニカーがラインアップされ、高品質なつくりが特長でした。このEvo 2は、キャンペーンオリジナルカラーとしてブルーブラックのマットカラーとマットブラックのホイールを装着しています。

でも、眺めているうちにフルノーマルのものが欲しくなってしまいました。そこでロードバージョンのカタログ仕様を再現するため、誰でも簡単にできるプチ改造を行ってみました。

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**作業は以下のように行いました。
1. 2本のネジを緩めてボディとシャシーを分解。
2. ウィンドウやライトなどのクリアパーツをマスキングテープで外側からマスキング。*取り外しできないため
3. 模型用缶スプレーのクリアを全体に吹く。*今回は「Mr. スーパークリアー 光沢」を使用
4. 塗装面の凹凸を平滑にするため、2000番のペーパーで水研ぎ。
5. コンパウンドでボディを磨いてつや出し。*今回は「タミヤコンパウンド(仕上げ目)」を使用
6. マスキングテープを剥がす。
7. ホイールをシルバーで筆塗り。
8. ネジでボディとシャシーを固定して完成。

これで、マットカラーがグロスカラーのブルーブラックに早変わり。シルバー塗装したホイールとともに、フルノーマルのロードバージョンにすることができました。

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左が改造前。右が改造後の姿です。
ドイツのナンバープレートは、Evo 2のカタログをスマホで撮影し、それを画像ソフトのPhotoshopで1/64スケール相当に縮小したもの。その際、画像解像度を72ピクセルから300ピクセル程度に上げておくと、サイズを縮小しても文字が荒れません。

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最近は缶コーヒーの景品でも高品質なミニカーが増えています。そのため、ひと手間かけるだけで簡単に立派なミニカーができあがります。プラモデルを完成させるのは大変でも、こんなプチ改造なら息抜き程度に楽しめますね。

さまざまなスケールで製品化されたEvo 2ミニカー

DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の歴史とともに進化してきた190 E 2.5-16 エボリューション1および2は、その型破りのスタイリングにより、ミニカーの世界でも人気の高いアイテムとなっています。アイテム数が膨大なためここですべてを網羅することはできませんが、各スケールの代表的なモデルをダイジェスト的に紹介します。

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▲手前左:ヘルパ 1/87 Mercedes 190 2.5-16 EVOLUTION Ⅰ(品番 3090)
▲手前右:ヘルパ 1/87 MB 190 2.5-16 EVOLUTION Ⅱ(品番 3095)
▲2列目/3列目:ヘルパ 1/87 MB 190E 2.5-16 Evo Ⅱ(品番 030953)

ドイツのヘルパが製造した1/87スケールのEvo 2ミニカーは、実車と同時期に製作されたもので全長はわずか5cmほど。樹脂製ボディのシャープな造形はいまだに第一級のクオリティです。

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▲メルセデス・ベンツ特注 1/87 AMG-Mercedes 190 E Ellen Lohr(*ヘルパ製 品番 B6 600 5620)

1/87スケールのヘルパ製DTMモデルには、MBパッケージの特注品も存在します。女性ドライバー、E.ロールがDTMで活躍していた時代が懐かしいですね。

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▲左:マイクロチャンプス 1/64 Mercedes 190 Evo 2/Berlin 2000 Rosberg 1992(品番 MCH 651101)
▲右:マイクロチャンプス 1/64 Mercedes 190 Evo 2/AMG-Sonax Ludwig 1992(品番 MCH 651102)

「ミニチャンプス」ブランドで知られるドイツのポールズ・モデル・アート社が、1/64スケールのダイキャストモデルとして’90年代前半に発売したのが「マイクロチャンプス」です。1/64ミニカーの可能性をいち早く見出した同社でしたが、時期が早すぎたのか商業的には失敗に終わりました。
同社はその後も新開発の1/64ミニカーを「ミニチャンプス64」としてリリースしましたが、こちらも鳴かず飛ばずの状態でした。ドイツ市場では1/87ミニカーの人気が高いため、日本やアメリカで人気の1/64ミニカーはイマイチ受けが良くないようです。

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▲京商 1/64 Mercedes-Benz Typ 190 E 2.5-16 EVOLUTION Ⅱ

サークルKサンクス系列で販売される京商製1/64ミニカーは、ついに第80弾を数えるほどの長寿シリーズとなっています。
第9弾の「Mercedes-Benz Miniature Car Collection」として製品化されたEvo 2には、ブルーブラック、レッド、ターコイズメタの3種類が設定。ブラインドボックスのためカートン買いしても全種類揃わないことがあり、コレクター泣かせの内容でもありました。

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▲左:ミニチャンプス 1/43 Mercedes-Benz 190 E Evo 2 AMG-ZUNG FU Thiim Macau GP 1991(品番 Best.-Nr. 13104)
▲右:ミニチャンプス 1/43 Mercedes-Benz 190 E Evo 2 AMG Berlin 2000 GP Macau 1992 E. Lohr(品番 430 023133)

ミニチャンプス製の1/43モデルには、マカオGPのギアレースに出場した仕様の製品もありました。DTMとは異なるカラーリングを正確に再現し、コレクターを喜ばせました。

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▲左:ミニチャンプス 1/43 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 Evo 2 Homologation in BLACK(品番 403 923493)
▲右:ミニチャンプス 1/43 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 Evo 2 Kyosho Fair 2008 Spezial Models(品番 403 923494)

ミニチャンプスでは、後年1/43のEvo 2をダイキャスト製ボディのままリニューアルしたモデルを発売しました。
左はエイ出版社が刊行していた雑誌「ミニカーファン」が特注したマットブラックの製品で、右は2008年7月に名古屋の丸栄で開催した「KYOSHOフェア & ミニチュアモデル2008 in 名古屋」の会場にて販売したモデルです。

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ミニチャンプス製Evo 2ミニカーの新旧比較をしてみました。左が旧製品で右が現行品です。
右側のほうが確かに完成度は高いものの、左側の旧製品も190らしさが濃厚で、現代の目で見ても捨て難い魅力があります。

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▲ミラージュ 1/43 Mercedes-Benz 190E (#3) 1992 DTM(品番 8364)

「ミラージュ」とは、日本のホビーメーカー、HPI RACINGのミニカーブランドです。レジン製ミニカーとして発売されたこのEvo 2は数種類がリリースされましたが、同社は2013年にミニカー部門から撤退したため比較的短期間で市場から姿を消しました。絶妙なディフォルメが行われているため、数あるEvo 2ミニカーのなかでもスタイリッシュさは抜群です。

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▲左:TSM 1/43 1990 Mercedes-Benz 190E EVO2(品番 TSM124343)
▲右:TSM 1/43 Mercedes-Benz 190E EVO2 #20 1991(品番 TSM124349)

TSM(トゥルースケールミニチュアズ)は、高品質なレジン製ミニカーをリリースしている香港のメーカーです。1/43スケールのEvo 2ミニカーはDTMマシンがほとんどで、ロードバージョンは長年ミニチャンプスの旧製品しかない状況でした。そのため、TSMのEvo 2 ロードバージョンはファンにとって待望の製品化でした。
また、写真右側のDTMマシンは、M.シューマッハがドライブしたマシン。このほかにもミニチャンプスの旧製品と同じ仕様のモデルが複数リリースされたため、当時買い逃してしまったファンにとっては朗報でした。

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▲オットー 1/18 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 EVO I(品番 OT151)

フランスのオットー(Ottomobile)が発売した1/18スケールのレジン製モデルです。
Evo 2ではなくEvo 1を製品化するあたりに、マニアックな車種選定で知られる同社らしさが表れています。

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▲オートアート 1/18 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 EVO2 (METALLIC BLACK)(品番 76131)

オートアート製のEvo 2は1/18のダイキャスト製モデル。製品自体は決して新しくないものの、ボンネット、前後ドア、トランクが開閉するフルディテール製品で、現在でも第一級のクオリティを備えています。そのため、eBayなどではかなりのプレミア価格で出品されています。
写真のモデルはシュツットガルト・ナンバーを付けたファーストモデルで、その後ナンバープレートをEvolutionロゴに変更したセカンドモデルが発売。同時にシルバーとワインメタのカラバリが追加されました。

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▲オートアート 1/18 Mercedes-Benz 190 E 2.5-16 EVO2 DTM 1992 “BERLIN 2000” K.ROSBERG #6(品番 89231)

オートアート製ではDTMマシンの1/18モデルも製作しています。
写真はK.ロズベルグがドライブしたBERLIN 2000カラーの車両ですが、このほかに1991年のマカオGP仕様のマシンも製品化されました。エンジンルーム、室内およびトランク内はロードバージョンとは別物のつくりで見応えがあります。

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▲オットー 1/12 Mercedes-Benz 190E 2.5-16 Evolution 2(品番 G020)

最後にご紹介するのは1/12スケールのオットー製ミニカーです。タミヤの1/10 RCカーを除けば、これまでにリリースされたEvo 2アイテムのなかでもっとも大きなモデルとなります。

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気になるリアまわりはご覧の通り。レジン製のため可動部分は一切ありませんが、外から見えるインテリアなどは当然作り込まれています。

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TSM製の1/43モデルを横に置くと1/12スケールの巨大さがよく分かります。
全長約37cmの巨大な置物のため、普通の家ではディスプレイする場所に困りそうです。もちろん我が家には飾るスペースがないので、撮影後は段ボールに収めました。

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このように多くのアイテムが製品化されていることからも分かるように、190 E 2.5-16 エボリューション1およびエボリューション2は昔から高い人気を誇っています。

502台が製造されたといわれるEvo 2は、ちょうど日本のバブル絶頂期に発売されたこともあり、ディーラー車を含む多数の個体が日本に輸入されました。しかし、ここ数年で相当数のEvo 2が海外に流出しており、国内でのタマ数が急激に減少しているのは周知の通り。貴重なモデルが1台でも多く日本国内に留まってくれることを願って止みません。

北沢 剛司

’70年代のいわゆる「スーパーカーブーム」の洗礼を受け、以来、クルマの世界にどっぷり浸かって大人になってしまった自動車ライター。ニューモデルを見るため20年以上ジュネーブ・モーターショーに通う一方、所有したクルマは’80〜’90年代のネオクラシックカーばかり。さらにミニカーやカタログなどの自動車趣味からモータースポーツまで、興味の対象は幅広い。自動車専門誌や一般誌での執筆をはじめ、輸入車関係の仕事などを幅広く手がけている。

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