個人情報の侵害に?ドライブレコーダーに関する議論高まる

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ロシアだけでなく、ドイツでも普及しつつある「ドライブレコーダー」と呼ばれるダッシュボードカメラ。その理由として、以前ロシアで大量に隕石が降ってくる現象が起きたことは記憶に新しいことと思います。その際、多くのドライバーがその場面を撮影しており、インターネットに公開され、世界中で話題となりました。なぜそれほど多くの人がビデオを同時に撮れていたのか?それはロシアではほとんどが車に搭載しているドライブレコーダー(ダッシュボードカメラ)が撮影していたからです。

日本でもサイドミラーカメラや車載カメラも普及しつあるようです。交通事故の際、衝突時の証明や事故前後の状況など、自分の立場や実際の状況を説明または有利にするために据えつけられたカメラですが、100%物事を証明するのに有利かといえば難しいようです。ちなみに、ドイツにおけるこのドライブレコーダーの存在は「グレーゾーン」なのです。そこで今回は、ドイツの南部ミュンヘンで起こった出来事をご紹介します。

ドライブレコーダーが立証の有力な手掛かりになる?


2014年1月14日、この被害にあったある女性ドライバーが、運転中に駐車場を出て前の道路へ入り込もうとしていたときでした。道路は混んではいないけれども車が絶えず走っている状態で、女性の走る方向には2車線道路がありました。彼女がウィンカーを出したあと、空いたところで割り込もうと思ったその瞬間でした。一番右車線を走っていた1台の車両が指示器を付けないまま急な車線変更をし、スピードを落とさず女性の入ろうとした手前の車線へ侵入。衝突してきたのです。

女性は前述の通り状況を説明しましたが、突っ込んできた男性ドライバーは警察の検証時に「すでに自分は前から車線変更せずその車線を走っていたが、女性側が見落としてぶつかってきた。」と証言しました。この2車両以外に事故車両はなく、この2人だけが証言者であり目撃者であり、被害者でした。当事者しかいないこの状況で矛盾する双方の言い分。いったい誰が真実を語り、誰が嘘つきなのか。この事故をきっかけにミュンヘン市内でも状況判定のために車載カメラレコーディングの必要性が問われることとなりました。

証拠品としては無効。ドイツの「法」という存在

しかし、ミュンヘンの裁判局は「レコーダーで撮影したビデオは証拠品にはならない」と、車載カメラのレコーディングの有効性を否定しました。その理由として挙げられたのは、「特定の理由がないまま交通を継続的に監視及び録画するという行為は個人情報保護法と著作権侵害に触れる」とのことでした。

つまり、映っている人・モノに対して許可をなく撮影することは、プライバシー侵害であるということ。確かに、ドライブレコーダーというものは運転している間は事故があろうとなかろうと断続的に撮影をしているわけです。事故というのは予想できないからこそ、こういったものが役に立つわけですが、「密かに撮影する」というのは、個人法やこの情報に対する自己決定権を著しく侵害するものであると、ドイツはNOサインを出しました。

しかし、同年はじめに、ほかの裁判官は同じ状況で事故にあった自転車ライダーが提出したビデオは証拠品として許可しているのです。このカメラ撮影に対する見解や法への解釈は裁判官によっても差があるようで、一概的に「有効・無効である」とは言えず、いまだドライブレコーダーの存在は法の上ではグレーゾーンなのです。

いまでも法的にはっきりと説明されていない事故証拠品としてのカメラ撮影。将来、事故の際にレコーダー撮影の証拠提出がドイツでは認められるか認められないかはまだ先の話ですが、いずれ明らかになることでしょう。

いまはっきりと言えることは、個人情報保護がカギ

実際の事故被害よりも、その撮影が証拠品として出されることによって個人情報が著しく侵害され、大きな被害がでると予想できる場合にはビデオ撮影記録は裁判では承認されないのだそうです。ドライブレコーダーを搭載する必要は十分にあるとは思いますが、問題が法で引っかかっている以上、法で解決して早急に白黒をつけてなければなりません。

出典・参照元:http://www.auto-news.de/

[ライター/NAO]

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NAO

NAO

在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

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