Euro6規定で窒素酸化物の排気量を大幅削減へ、注目の低公害燃料アドブルーとは?

  1. ドイツピックス
  2. 60 view

環境保護政策でガソリン使用量削減のために国で燃料使用基準値が定められていたとしても、生活習慣やクルマの燃費によってそれ以上消費しているのが現実ではないでしょうか。

ヨーロッパでも、燃料使用や排気ガス量に関する規定は年々厳しくなっていますが、それでも実走行で計測された数値が、データベースで定められた基準値より約24~40%多く燃料を使用している結果が出ています。その場合、想定値よりおよそ7倍の人体に有害な窒素酸化物が検出されていると、2014年にクリーン交通国際員会から発表があり、今までの方法で計測した結果と実走行状態で計測したものに大きな差があるのは、規定値を定める際に問題が出るのではないかと議論されました。これを踏まえてEU専門委員会は将来的に窒素酸化物排出量の基準を実走行の数値に合わせて改定していかねばならない、という意見がでています。

この問題の背景としては、新たに定められた排ガス規定にあります。2014年9月1日よりEuro6と呼ばれる自動車による大気汚染物質の排出規制値を定めた規定がEUにて取り決められました。この規定により窒素酸化物(NOx)の排出規定量が特に厳しくなり、ディーゼル車は従来1kmあたり180mgだったものが、最高80mgまで窒素酸化物の排出を制限されることとなりました。

そして2015年1月から販売される新車はすべてこのEuro6の規定値をクリアしなければならならず、使用するエンジンオイルもEuro6規制の基準数値より低い排出量に抑えるものでなければなりません。加えて、ディーゼル車には排気ガスから窒素酸化物の排出量を測定できるポータブル排ガス測定システムなどの移動測定技術が備え付けられることが予定されています。

乗用車へのEuro6規定は2017年9月1日から導入されますが、この規定が施行されると、EU全体で約6割の窒素酸化物の削減できると見込まれており、2020年にはさらに厳格な制限を掛けると発表されています。ガソリン車よりディーゼル車台数が多いドイツではこのEuro6規制はかなり大きな課題となり、どの自動車会社もしのぎを削って技術開発をしているようです。

そしてもう一つの問題は、どのように各車両の排気量を測るのか?Euro6導入によって排気量が規定され自動車にも測定器が搭載されたとしても、排気量測定方法がいまだきちんと固定されていないのが現状です。今回規定の導入に伴い、実走行排気計測法RDE(Real Driving Emissions)と呼ばれる新たな計測方法が検討されています。

この新たな計測方法とは、公道走行により計測を行うポータブル排ガス測定システムや、シャシーダイナモメーターを使用して、計測をあらかじめ決められた走行パターンではなくランダムなもので行うRTC計測(Random Test Cycle)が候補に挙がっています。

しかし街中で多くの信号待ちで過剰に発車と停止を繰り返さなければならなかったり、冬の高速道路で多大な負荷を掛けつつ走らなければならなかったり、渋滞の中のろのろ運転しなければならなかったり…その都度の走行状況によって排出される量が大幅に変わってしまうので、すべて正確なデータが得られる計測方法が決まるまでまだしばらく議論が必要なようです。

そのような状況をすでに考慮し、新しいBMW2シリーズグアンツアラーのディーゼルバージョンが低公害燃料として今注目されているアドブルーにも対応できるように設計されました。

アドブルーは尿素SCRシステムと呼ばれる排出ガス浄化技術の一つで、ディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化する技術であり、「アドブルー」という名称はドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。アドブルーの主な成分は尿素でできており、純水に高純度の工業用尿素を溶かして製造された無色・透明の尿素水溶液です。

ディーゼル車の媒体内部で排出ガスに対してアドブルーを噴きかけることで、窒素酸化物を窒素と水に分解する役割を持っているので窒素酸化物の排出を大幅に削減することができるのです。

RDE計測が導入されることになれば実燃費の数値とデータベースの数値の差が小さくなり、確実な排気ガスの削減へ繋がっていきますが、将来的に全てのディーゼル車にアドブルーシステムが必要不可欠になることでしょう。もしそうなるとドライバー達はディーゼル車の値上げと定期的にアドブルーを補充しなければならず、環境保護のためには我々が経済的負担を負う以外ないようです。

出典・参照元:http://www.auto-news.de/

[ライター/NAO]

NAO

NAO

在独6年目のライター。Current Europe GmbH (ドイツ現地法人)所属。ドレスデン工科大学修士課程を修了し、現在はケルペン在住。2012年よりドイツワイン店に勤務し、日本向けの販売・輸出業に携わる。独英韓中の語学力を活かし、通訳・翻訳家、現地コーディネーター、日本語教師としても活動。現代車にはない欧州クラシックカーの多様性に惹かれ、個人的にロイトとフィアット推し。「本当のドイツをもっと見てほしい」と自動車にまつわる文化・マーケティングを中心に現地情報を発信している。

記事一覧

関連記事