旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

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旧い輸入車には、必ずある程度のレストアが施されていると見ていい。そう考えるのが常識ではあるが、実際のところはどうであろうか?

「レストア」という言葉自体、日本では勘違いされている部分も多々あるように思う。

そこで今回は、レストアについて思うところを書いていきたい。

レストアは異なると感じているもの

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

一般的に「フルレストア」あるいは「レストア済み」などで売られているクルマを見かけるが「レストア」という意味は基本的に「復元」だと著者は思っている。

辞書でもRestoreは「復元」とある。

ここからは著者の考えるレストアとそれ以外の違いを挙げてみた。

■カスタム
例として、我が愛車のMGBはサビだらけのボロボロだった状態からボディーを作り直す際、オリジナルとはかけ離れた自分の思っているスタイルに仕上げていった。明らかにオリジナルとは異なる仕様を思い描きながら作っていったのだ。

錆びた部分を切り貼りして溶接し、自分なりに完璧に仕上げていったわけだが、これはレストアではなく「カスタム」の部類だと思っている。

■リペアー(修理)
例えばセルモータが動かなくなり修理する。足回りのブッシュ等がダメになり交換する。電装系がおかしくなり配線を引き直す等、旧車に乗っていれば様々なトラブルを解決しなければならないときがある。

これは壊れたから修理するのであり、「復元」と作業内容が同じでも意味合いが異なっている。

「修理」とレストアとの違いは結果論だけかも知れないが、必要に迫られて行う作業とは異なるという考え方が正解ではないだろうか。

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

■オーバーホール
エンジンの調子がいまひとつでキャブレターを分解清掃する。エンジンのオイル上がり、オイル下がり、クランクからの異音等でエンジンをバラして組み直す。

これは調子が悪くなり元の状態に戻す、またはチューニング等を行うケースもある。
バラして組み上げるにはガスケットやシール類、ピストンリングやメタルに至るまで必要な部品は交換する必要が生じる。

しかし、これもレストアとは別の意味合いだ。

「”Overhaul”は徹底的に見直す」等の意味合いであり、「復元」とはニュアンスが異なると感じている。

■レストモッド
こちらは上記のカスタムと似ているが、レストアとモディファイを掛け合わせたものと定義される。国産車系では以前から行われている作業だが、旧車ブームの昨今では、新しいジャンルとして確立しつつある。

では、どこからがレストアにあたるのか?

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

それでは、どういうシチュエーションで行われる作業が「レストア」なのか?

現在、著者はFIAT500の再生計画を自宅ガレージで行っている。

ボロボロでサビ穴だらけのボディーから再生をはじめて、すでに1年と3ヵ月が経過している。

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仲間内で毎月1度集まり、ダメな部分は、その場で鉄板から作り直し溶接しながら、かなり本格的なレストアだ。できるだけオリジナルに近い状態に仕上げたいと作業を進めているまっ最中だ。

この一連の作業はレストアに該当すると筆者は考えている。

果たして、自宅でレストアを行うことに意義があるのか?

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

事実、各分野の得意な仲間とともに楽しみながら作業できる点は大きい。

考えてみて欲しい。たいていのショップで100万円くらいで売られているクルマに対して(最近は高騰してはいるが)、どこまでレストアを行って売るであろうか?

もし自分がショップ側の立場であったなら…。

考えただけで、おのずから答えは出てくるはずだ。

だからこそ、みんなで集まり、徹底的にボディーを良い状態に「復元」する。

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

現在はボディーを中心に「復元」を行っているが、ここで、やはり海外で真剣にレストアを行っているショップとの、あからさまな違和感は感じてしまう。

欧州のレストアは「いかに現在の状態を維持しながらレストアしていくか」が課題であるケースが多い。
ボディーの切った貼ったを極力抑え、元のボディーや部品を極力使用しながら再生していく。

これこそが本来の姿への再生の道なのかもしれない。

ただし、ここまでくると、技術はもちろんのこと、労働時間も含めて現在の日本でここまでできるショップが減っていっているのが実情ではないかと感じている。

現在のレストア事情とは?

ユダ会長 旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]

現在、きちんとレストアされているクルマは一握りで、代々受け継がれるような素晴らしいコンディションのクルマが中心ではないかと感じている。市場価値が高くなっていることはいうまでもなく、一般的には手が出るレベルではないのかもしれない。そもそも、時間と労力、そして魂を吹き込まれたクルマが安く手に入るはずがないのだ。

「そこまでレストアされたクルマが手に入るはずがない?」

だから著者は自分で行うようにしたのだ。工具を集めるところからはじめて25年以上経過した。そして修理やレストアを行うことで、クルマとの付き合い方だけでなく、人とのコミュケーションも変わっていった。

要はクルマが楽しくて仕方がなくなったということだ。

今後、旧車を手に入れたいと思うなら、自分で手を汚しながらクルマと向き合うことも間あえて見ると良いかもしれない。

そこには今までに感じたことのない世界が待っているであろう。次回からは実際に行っていった作業を修理も含めて紹介していけたらと思っている。

[ライター・撮影/ユダ会長]

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ユダ会長

1995年より活動するHCC95(ヒストリックカークラブ95)の会長。18歳の頃から、「ユダ」というバンドで活動しながら(当時からユダと呼ばれていた)クラブの会長になったのが「ユダ会長」の由来である。HCC95は、1950年代の旧車~1970年代のスーパーカー等を中心に集めたクラブであり、関東全域を中心に活動中。毎月第三日曜日の午前中に集まるミーティングも恒例行事となっている。「JCCAニューイヤーミーティング」は19年連続出展。「お台場旧車天国」では、毎年120台をクラブ展示するなど様々なイベントに参加。また「かわさき楽大師 昭和まつり」では、第一回から15年間、大師公園において50台もの国内外の名車の展示およびパレードを行うなど、様々なイベントを企画運営も行う。ユダ会長個人としても、OldTimer誌(八重洲出版)、デアゴスティーニなどで連載中。http://www.hcc95.com/

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