なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part3:クーペ編]

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「オープンカーかクーペか?」

スポーツカーを所有する際、どちらを選ぶか悩む方は意外と多いのかもしれない。

ユダ会長 HCC95

そこで今回は、オープンカーの影に隠れつつも、独自の美しさで圧倒的な存在感を放つクーペモデルのデザインについて触れてみたいと思う。
※あくまで著者の独断と偏見でチョイスしたクーペであることをご了承願いたい

クーペの素晴らしさとは?

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オープンの爽快感は、車体の軽さも手伝って2輪車のような人馬一体感があるように思う。筆者自身、何気ない景色ですら感動を覚える独特の空気感がたまらなく好きで、オースチン・ヒーレー・スプライトにはじまり、現在のMGBまで長年所有している。

しかし実のところ著者は、(かなり限定されてしまうが)基本的には「オープンモデルが有名すぎて、影に隠れがちなモデルのクーペのデザイン」が大好物だったりする。ただの「クーペフェチ」というひとくくりでは表現できない、そのなかでも特殊な「フェチ」といっても過言ではないほど愛してやまないのである。

特に、屋根からテールにかけての流れるようなデザインは、オープンモデルと比較してもまったく引けを取らない美しいディテールに魅了されているクルマも数多い。

著者は数年前までMGC GTを所有していたのだが、現在所有しているMGBと比較して(エンジンは、まったくの別物ではあるが)、圧倒的に異なるのはデザインよりもドライブ中の安心感であろうか。屋根があるだけで遮断された空気の流れとボディーの剛性から「守られている感」がオープンの状態とは別のクルマであると主張しているように感じるのだ。その分、軽快さを犠牲にしているのは事実だが、クルマの楽しみ方としては(この場合、使用目的とはまったく異なる)オープンとは違う走りの素晴らしさを提供してくれるのである。

クーペの素晴らしさとは?【MGB】

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前述のとおり、オープンカーとしてもっとも有名な旧車で真っ先に思い浮かぶのはMGBであろう。

MGBは、1962年から1980年まで52万台以上も製造されたイギリス製のスポーツカーだ。1965年よりGTを生産しているが、フロントウインドウもまったく別のガラスを使用してデザインを作り直している。ハッチバックスタイルのデザインはMGBのデザインを崩すことなく、まるで元々存在していたかのような「そつのない完成度の高さ」である。

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MGB GTは、その後、直列6気筒エンジンを搭載したMGC GTや、V8エンジンを積んだMGB GT V8をはじめとして進化を続けるなかでも生産されつづけ、結果的に12万台も製造された。しかし、日本国内での生存数は圧倒的に少ないような気がする(写真はMGC GT)。

クーペの素晴らしさとは?【ジャガーE-Type】

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1961年から製造された、ジャガーE-Type。一般的にはオープンモデルの方が知名度は高いのだが、E-Typeのクーペの美しさは、あのエンツォ・フェラーリですら嫉妬したとまでいわれているデザインだ。リアに伸びる流線型に流れるようなデザインは、ロングノーズ・ショートデッキの代表格であろう。

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また長めのハッチの開き方も、左側に横に開くように造られており、実用性も兼ねた美しいギミックだ。

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著者は以前から一番欲しいクーペといっていたのだが、近年の旧車価格の高騰で手が出ない金額になってしまった。

「あのとき無理してでも買っておけば…」は旧車あるあるネタであるが、好きが高じてか、現在はデアゴスティーニの「週刊E-Typeを作る」でクーペを製作する連載を行っている。

https://ameblo.jp/yudakaichou/theme-10109453082.html

クーペの素晴らしさとは?【アルファ ロメオ・ジュリエッタ750・101系】

ユダ会長 HCC95

イタリアンオープンスポーツの代表格でもあるアルファ ロメオ・ジュリエッタ。

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1955年から製造されているピニンファリーナがデザインしたスパイダーはあまりにも有名だ。750系はその1年前にあたる1954年に製造されたベルトーネがデザインした2ドアクーペのジュリエッタ・スプリントが存在する。こちらはジュリエッタ・スパイダーとは別物の扱いになるのだろうが、このクーペのリアデザインは秀逸すぎてため息ものだ。テールのデザインを基調にして、それとは独立したかのような屋根から丸みを帯びながらリアウインドウへ流れるデザインは、そのままトランクまで丸みを残しながらテールフィンとの協調しながら調和をとっている。

クーペの素晴らしさとは?「ホンダS600】

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最後に国産旧車のオープンカーとしてまず思い浮かぶのがS600だろう。

1964年から製造されており、その翌年にクーペが追加されているのだが、実はビジネス用という名目で登場したのは有名な話である。

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小さな車体ながらテールのデザインを崩すことなく、美しいクーペのフォルムを創りあげた当時のホンダスピリットを感じる。現代の視点から見てもスポーツクーペとしか言いようがないだろう。

忘れてはいけないクーペの存在

あまりにも有名なオープンカーの影に隠れてしまったクーペは他にも沢山ある。少し前ならBMWのZ3クーペも大好きな1台だ。どのクルマにも共通するのは、『オープンのデザインを壊さず、しかもクーペ然とした主張をもったデザイン』のモデルが多いと感じる。

ちなみにまったくの余談だが、女性に関して、著者はグラマラスなヒップよりスマートなヒップが好みである(笑)。

過去の記事はこちら

なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part1:ヘッドライト編]

なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part2:テールデザイン編]

[ライター・撮影/ユダ会長]

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ユダ会長

1995年より活動するHCC95(ヒストリックカークラブ95)の会長。18歳の頃から、「ユダ」というバンドで活動しながら(当時からユダと呼ばれていた)クラブの会長になったのが「ユダ会長」の由来である。HCC95は、1950年代の旧車~1970年代のスーパーカー等を中心に集めたクラブであり、関東全域を中心に活動中。毎月第三日曜日の午前中に集まるミーティングも恒例行事となっている。「JCCAニューイヤーミーティング」は19年連続出展。「お台場旧車天国」では、毎年120台をクラブ展示するなど様々なイベントに参加。また「かわさき楽大師 昭和まつり」では、第一回から15年間、大師公園において50台もの国内外の名車の展示およびパレードを行うなど、様々なイベントを企画運営も行う。ユダ会長個人としても、OldTimer誌(八重洲出版)、デアゴスティーニなどで連載中。http://www.hcc95.com/

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