輸入車メーカーの心意気に感謝と拍手を。第46回東京モーターショー2019

  1. コラム
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絶え間ない行列に加わり、ようやく手に入れた2つ折りのパンフレット。何てことはない。そのインポーターで売られているクルマのオフィシャルフォトとスペック、車両価格を並べただけの質素な作り。(こういってはナンですが)お客としてカウントされていない物見遊山向けであることはあきらか。それでも嬉しかったんですね。普段は見ることができない憧れのクルマが目の前にあるんですから…。

そこへ行列のあいまを縫うようにすうっと道が開き、受付のゲートをくぐってブースの奥の部屋へと案内される1組のカップル…。おそらくはお客さんなのでしょう。いつかはあのゲートの奥に案内されてみたい。そう心に誓ったのでした。

『第46回東京モーターショー2019』 輸入車を中心にご紹介

▲間違いなく今回の東京モーターショーで注目された1台であるF40

これは、今年のモーターショーではありません。いまから28年前。1991年に開催された第29回東京モーターショー、コーンズブースでのできごと。このときのハイライトは、フェラーリF40 エボルツィオーネだったと記憶しています。そういえば、ジャガーXJ220なども展示されていました。この年、来場者数がはじめて200万人を突破したのです。そして1991年をピークに、来場者数が減っていくことになります。

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▲ジアロモデナのF50。御殿場にあった松田コレクションのF50もこの色でしたね

そしていま、目の前にはフェラーリF40とF50が並んでいます。昭和と平成の時代を彩ったスペチアーレモデルを、まさか令和初の東京モーターショー会場で観られるとは思いませんでした(2台のフェラーリは同じオーナーさんが所有しているのだとか)。

カレントライフは「輸入車に特化したメディア」として運営しています。会場のレポートは細谷譲の記事をご覧いただくとして、筆者にできることは何だろう…。このことばかり考えていました。そこで導きだした答えは「輸入車メーカーのワールドプレミアが相次ぎ、モーターショーが華やかだった時代を知る世代の方たちに向けて記事にすること」でした。単に「あの頃は良かった」と振り返るのではなく、現実を直視しつつ、今後はどうなるのか、と、先を見据えていければと思っています。

潜入!『第46回東京モーターショー2019』~プレスデー膝栗毛~

潜入!『第46回東京モーターショー2019』~プレスデー膝栗毛~

はじめて答えに窮した、友人・知人からの「モーターショー、どうだった?」への返答

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▲青海エリア〜有明エリアは徒歩で往復。ちなみにこの日の歩数は26000歩を超えました

プライベートでは30年、取材目的でプレスデーに行くようになって早いもので20年以上。一般の方よりも早くモーターショー会場に足を踏み入れることになるわけですから、その日のうちに友人・知人から「モーターショー、どうだった?」と連絡があります。

例年は「●○●○のブースが良かった」といった話題から「★☆★のブースはお姉さんはキレイだから行っとけ」のような下世話なものまでひとしきり盛りあがれるものなんですが、今回は「とにかく歩き疲れた。1日ですべて観てまわるのは不可能に近いから、興味があるブースの場所を事前にチェックしておいた方がいいかも」という、何とも情けない返答をしてしまった自分がいます。

1日でまわり切るにはあまりにも広すぎた

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▲”OPEN ROAD”に展示されていた、ウサイン・ボルト仕様の日産GT-R。個人的は両フェンダーに「百」のステッカーを貼りたくなります。通りがかりのオジサンはス○○○スみたいだとかなんとか…。こらこら(苦笑)

東京ビッグサイトに加え、トヨタ メガウェブがある青海エリアと、そのあいだをつなぐ”OPEN ROAD”と名づけられたシンボルプロムナードを含めたエリアが会場となった今回の東京モーターショー。

来年開催される東京五輪&パラリンピックの設置工事により、ビッグサイトの会場の一部(それも、本来であればメイン会場である東展示棟)が使えないため、その周辺に「散らす」しか方法がなかったのかもしれません。その結果、プレスカンファレンスの模様を取材し、即、記事として公開する必要があるメディアさんの苦労たるや…。*実際に取材していて「これならいっそ幕張で開催すればいいのに…」という声も

事実、ビッグサイトの枠を超えて、お台場エリア全体が東京モーターショー会場になっているかのような演出ができた反面、実際に会場を訪れた友人・知人の数人が「青海エリアは断念した」という声が…。オリンピック関連の暫定処置だと思いたいところですが、次回は会場をひとつにするのが来場者に配慮したモーターショーといえそうです。

輸入車メーカーの相次ぐ出展辞退に歯止めが掛からず…

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個人的にはこれがもっとも衝撃で、同時にショックでもあったできごとです。

モーターショーに出店するには億単位の費用が掛かるといわれています。それだけの予算が捻出できなかったのか、はたまた億単位かそれに匹敵する予算を投じるなら他にも有効な方法があると判断したのか。とはいえ、輸入車メーカーごひいき筋でなくとも、観る側からすれば「いてくれなければ困る存在」であることはあきらか。

輸入車メーカーが出展を辞退するようになったのは、リーマンショックが起こった年に開催された第41回東京モーターショー2009あたりだと認識しています。と同時に、この頃を境に世界3大モーターショーから脱落したと思わざるを得ないなと感じたのも事実です。

東京モーターショーを「去って行った」輸入車メーカーまとめ

第45回東京モーターショー 2017 ポルシェ メルセデスベンツ BMW

▲ついに多くのドイツ車メーカーが出展を見合わせた今年のモーターショー。正直いって寂しい…

少し前まではあたりまえのように出展していた多くの輸入車メーカー。では、最後に出展したのはいつなのか?過去に遡って調べてみました。

・2003年:ブガッティ、オペル、サーブ

・2005年:アストンマーティン、KIA

・2007年:フェラーリ、マセラティ、ベントレー、ランボルギーニ、フォード、GM、クライスラー、ヒュンダイ(乗用車)

・2009年:ケータハム(この年は多くの輸入車メーカーが出展見合わせ。出展したのはアルピナ、ロータス、ケータハムのみ)

・2011年:なし

・2013年:ジャガー、テスラ、KTM

・2015年:アルファ ロメオ、アバルト、ジープ、ロータス、ランドローバー、レンジローバー、ラディカル

・2017年:ポルシェ、BMW、BMW MINI、フォルクスワーゲン、アウディ、ボルボ・カー(乗用車)、シトロエン、DS、プジョー

こうしてまとめてみると、本当に多くの輸入車メーカーをモーターショーで観られなくなってしまったことが分かります。果たして、ここから何社が「戻ってくる」のか…。

出展してくれた輸入車メーカーの心意気に感謝と拍手を!

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今回の東京モーターショーで出展した輸入車メーカーは、「メルセデス・ベンツ」「スマート」「ルノー」「アルピーヌ」でした。なかでもメルセデス・ベンツのプレスカンファレンスは、「これぞモーターショー!」という華やかな演出が印象的でした。アジア地区におけるプレミアとなったVISION EQSとスマートブランドのEQ fortwoがともにEVであることも新しい時代の到来を感じさせます。

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▲生演奏もあり「これぞモーターショー!」という演出だったメルセデス・ベンツのプレスカンファレンス

そして、忘れてはならないのは、アルピナが1987年初出展以降、唯一17回連続で東京モーターショーに出展していること。奇しくも、日本におけるアルピナ1号車であるB7 Turboが上陸してから40周年という記念すべき年にあたるそうです。事実、アルピナのプレスリリースにも【世界中の自動車メーカーの多くが東京モーターショーへの出展を見合わせている中、特に今般はアルピナファン皆様への感謝の意を込めた出展となります。アルピナ・ブースではワールド・プレミア1台、ジャパン・プレミア1台を含む、すべてがニュー・モデルとなる計4台を展示いたします。(原文ママ)】と記載されており、その心意気に拍手を贈りたい気持ちでいっぱいです。

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▲マイナーチェンジしたBMW 7シリーズをベースに仕立てられたBMW ALPINA B7 Limousine Allrad(AWD)。巨大なキドニーグリルもそのうち見慣れてくるのでしょうか…(なぜかアルピナコンプリートモデルだとそれほど違和感なく観られたように思います)

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▲ワールドプレミアとなるBMW ALPINA B3 Limousine Allrad(AWD)。ひっきりなしに海外メディアが紹介していました

また、輸入車販売を行っているアトランティック商事が「ダラーラ・ストラダーレ」および「アストンマーティン」の展示を行っていたことが印象的でした。さらに、一般社団法人日本スーパーカー協会による、各種スーパーカーの展示が会場を沸かせていたことは間違いありません。南3・4ホールという、会場内でもかなり分かりにくい場所に出展しながらも、一般公開日には大盛況。今後、モーターショーを続けていくうえでやはりスペシャルなクルマの展示は欠かせないコンテンツであることは間違いありません。

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▲ランボルギーニ ミウラを手がけたあのジャンパオロ・ダラーラ氏の夢を具現化したダラーラ ストラダーレ。オールカーボンボディの恩恵で乾燥重量855kg!

▲久しぶりに東京モーターショーへ帰ってきたアストンマーティン。Sky Group アストンマーチン東京、アストンマーチンジャパンのご尽力によるもの

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▲筆者とカレントライフ執筆陣のひとりである北沢氏が思わず「画期的!」と叫んでしまった、ブースでのオフィシャルグッズの販売。海外ではあたりまえだったことがようやく実現

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▲私事で恐縮ですが、最後まで購入を迷った日産GT-Rのミニカー。1/43で7000円オーバーという価格にビビりまくって結局断念。高くなりましたねぇ…(涙)

さらに今回、驚いたのは、ブース内での物販。メルセデス・ベンツのブースでも、オフィシャルグッズを多数展示していました。海外のモーターショーではあたりまえのように行っている物販が解禁になったことで、次回以降、また違った楽しみ方がありそうです。

余談:本音と建前が交錯するモーターショー。否定するのは簡単だが…

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▲シルエットクイズ?ではなく、アンベール前のアルピーヌ。カバーが被せられていても、美しいフォルムはそのまま

去る10/26(土)に、東京モーターショーにて開催された、香川照之編集長と豊田章男社長のトークライブのなかで

「本当のことをいっていいんですか?僕はねぇ、ガソリン臭くてね、燃費が悪くてね、音がいっぱい出てね。そんな野性味溢れたがクルマが好きですね。だけど、CASEとかいってるんですよ、立場上。燃費も大切ですよね。騒音はだめですよね、っていってますけど、心の底ではクルマっていうのはそういうものなんですよ。古い人間ですけど」

と語った豊田章男社長。おそらくこれは本音ではないかと感じました。詳細はこちらへ。

香川編集長×豊田章男 東京モーターショー2019 モリゾウトークライブ

本音と建前が交錯する傾向が強まった感のある、令和初の東京モーターショー。1日付けの朝日新聞の記事によると、今回の来場者数が目標に掲げていた100万人に到達したようです。しかし「広すぎて見切れない」「面白くない」「スーパーカーのブースが盛りあがっていた」という声も。もしかしたら、関係者の多くが「昔はよかった。でも、これから起こるであろう近未来のことから目を背けるわけにはいかない」と思っているのかもしれません。

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可能であれば、もっと若い世代、20代の方たちに企画立案を託せないものでしょうか。新しい時代を創るのは老人ではないのですから(もちろん、筆者も例外ではありません)。きっと斬新かつ画期的なコンテンツを考えてくれるに違いありません。次回は2021年。次回の東京モーターショーが、大きな分岐点になるような気がするのは筆者だけでしょうか…。

[ライター・撮影/松村透]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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