イタリアの老夫婦が教えてくれた「ランチア・フルビア」の魅力

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ランチア・フルビアを探し始めたきっかけは、新婚旅行でイタリアのトスカーナに行ったときのことだった。

新鮮だった素のフルビアとの出会い

▲駐車場を去っていくランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3

フィレンツェ郊外の町の駐車場に、レンタカーのフィアット500を停め、妻と一緒に目的のお店に向かって歩き出すところだった。クラシックスポーツカーらしい特徴的なエンジン音が響き、駐車場から1台のクルマが動き出した。反射的にカメラを取り出してレンズを向けると、そこには今までに見たことがない、絵の具のような緑色のランチア・フルビア・クーペ・シリーズ3があった。イタリア人らしい中年の夫婦が、買ったばかりのショッピングバッグをリアシートに載せて楽しそうに乗っている。ただ、それだけの景色だが、私の目にはとても新鮮に映った。

ラリーのイメージが強いランチア

▲ラリーモディファイされたランチア・フルビア

ランチア・フルビア・クーペは、一般にモンテカルロラリー等で活躍した「ラリーカーのベースになったクルマ」としてよく知られている。

クラシックカーイベントで見かけたことのあるランチア・フルビアは、どれもそんなラリーのイメージを前に押し出したクルマが多かった。イタリア車らしい赤いボディに貼られた多数のステッカー、マッドフラップ、バンパーレスに、追加のドライビングランプ。わかりやすい格好の良さなのだが、数多くあるラリー仕様のフルビアには正直食傷気味だった。

アンダーステイテッドなランチア

ランチアと聞いて、多くの人が思い浮かぶのはストラトス、037ラリー、デルタS4などのWRCを制したブランドのイメージだろう。しかし、それ以前のフィアットに買収される前のランチアは、上品だが控えめで、精度の高い最先端の技術を惜しげなく使う、妥協の無い高品質な車を作るメーカーだった。ラリー仕様を否定するつもりはまったく無いが、私にとっては、ロードカーのランチアにはそちらのイメージを求めてしまう。

▲上品だがアンダーステイテッドという言葉が一番似合うランチア・フラミニアGT

そのイメージを、フィレンツェで見かけたフルオリジナルのシリーズ3には感じることが出来た。夫婦で楽しそうに乗っているというのも、男気溢れるラリーカーのイメージからかけ離れていて好印象だった。

ドイツに引っ越して仕事と生活が落ち着き、日常使いのクルマとは別に、旅行やドライブを楽しめるクラシックカーを手に入れようと思ったとき、この新婚旅行のときに見たフルビア・クーペの姿がすぐに思い浮かんできたのである。

意外と理解されていないシリーズ2以降のフルビア

▲新車当時、日本にほとんど入ってこなかったシリーズ2

いままで日本の雑誌等で読んだ印象では、ランチアがフィアットに買収された後に発表されたシリーズ2以降のフルビアは、コストダウンが激しくクオリティーが落ちて人気が無くなり、モデル落ちしたという印象だった。しかしよく調べてみると、フィアットに買収されてたった2年後に発売されたシリーズ2からは、以前の4速からZFとの共同開発による5速トランスミッションへの変更。トラブルが多かったダンロップ製ブレーキキャリパーから、更に効きのいいガーリング製ブレーキキャリパーに変更されていることがわかった。

これだけのコストアップになる要因があるものの、コストダウンになる要素は、シリーズ2からフロントグリルが樹脂製になった程度。ここは好みの分かれるところだが、シリーズ3からはヘッドレスト付きの大柄なシートに、衝撃吸収パッド付きのステアリングといった安全装備もついた。シリーズ1の特徴とも言われる、アルミ製のボンネット、ドアスキン、トランクリッドも、実はシリーズ3末期まで新車オプションで追加が可能だったという。

▲新車当時、日本にも輸入されていたシリーズ1のフルビア

シリーズ1のフルビアは、国際自動車によって60年代に日本に輸入されていたが、シリーズ2以降は70年代に入ってインポーターが安宅産業系のロイヤル・モータースに変わったこともあり、残念ながら輸入されることがなかった。

調べていけば行くほど、技術的にも成熟しておりかつシリーズ1に近いクラシカルな雰囲気を漂わせているシリーズ2が、自分にぴったりのフルビアに感じられてきた。

それから半年ほど、夜な夜なインターネットでヨーロッパ中の売り物を探しては一喜一憂する日が続いていくのであった。

[ライター・カメラ/林こうじ]

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林こうじ

ドイツ在住の自動車技術者。某国産自動車メーカーを経て、現在はドイツ系サプライヤーで設計を手がける。夢は自らの少量生産自動車メーカーを起業し、本当に乗りたいクルマを作ること。

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