当時を知る人にとって伝説だった、Carerra Turbo RUF=CTRというクルマ

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現在開催中のジュネーブモーターショーにおいて、RUF CTR(初代)を想起させるクルマが発表されました。そのシルエットは、当時発売されていた930よりも、当時CTRが存在しなかった964に近いイメージがあります。

Ruf CTR 2017 Engineering

[4k] Ruf Automobile Press Conference CTR 2017, 710 HP and 1200 kg presented by Alois Ruf

生産台数はRUF CTR(初代)と同じ30台、最高出力は710馬力、最大トルクは880Nm、0〜100km/h加速は3.5秒未満、カーボンモノコックボディにプッシュロッド式サスペンションを採用。価格は75万ユーロ、日本円に換算すると約9,000万円とアナウンスされています。見た目はクラシカルでも、中身は現代のテクノロジーが投入されている点において、往年のポルシェ911およびRUFフリークは色めき立ったのではないでしょうか。

あまりに偉大すぎた存在、RUF CTR(初代)

RUFがいち自動車メーカーとして認可されたのは1981年。いわゆる「イエローバード」が、フォルクスワーゲンのテストコースにおいて333.9km/hの記録を打ち立てたのは、それから6年後の1987年。さらに翌1988年には、auto motor und sport誌主催における最高速テストにおいて、この記録を更新する342km/hを樹立。このときのライバルはフェラーリF40やポルシェ959(この個体はスペシャルチューン仕様という説も)などを実力で抑えたことから、その名を世界に知らしめました。

当時を知る人にとって、この数字は驚異的であり、いまだに最新モデルの最高速と、イエローバードが樹立した記録を比較してしまうのは筆者だけではないはずです。

当時のポルシェ911ターボと比較して、圧倒的な性能

●各モデルの最高出力およびトルク
・ポルシェ911カレラ(930):231ps/5900rpm、28.6kgm/4800rpm(最終モデル、ヨーロッパ仕様)

・ポルシェ911ターボ(930):300ps/5950rpm、43.8kgm/4000rpm(最終モデル、ヨーロッパ仕様)

・RUF CTR(初代):469ps/5950rpm、56.4kgm/5100rpm

スペック上でも、RUF CTR(初代)が圧倒していることが分かります。

●各モデルのボディサイズ
・ポルシェ911カレラ(930):全長×全幅×全高:4291x1650x1350mm

・ポルシェ911ターボ(930):全長×全幅×全高:4291x1775x1320mm

・RUF CTR(初代):全長×全幅×全高:4151x1692x1310mm(ナローボディ)

あまり知られていないことかもしれませんが、カレラボディでもターボボディでもない、RUF CTR(初代)は独自のリアフェンダーラインなのです。リアに255/40ZR17インチのタイヤを履くために、そして、最高速をたたき出す際の空気抵抗を減らすために・・・。この相反する要素をクリアするためのサイズがこの数値だったと推察します。

ステファン・ローザがドライブするRUF CTR(初代)、ニュルブルクリンクでダンスダンスダンス!

RUFやイエローバードの存在を知らなかったとしても、この映像を観たことがある方は多いはず。RUF社のテストドライバーであるステファン・ローザ氏がドライブするイエローバードがテールスライドさせながら、ニュルブルクリンクサーキットを爆走する映像にカルチャーショックを受けて、自身のドライビングテクニック向上の指針とした・・・そんな話しも耳にします。

Ruf CTR “Yellow Bird” full laps on Nürburgring Nordshleife 1987 (Option Auto)

この映像は日本でもRUFオフィシャルビデオが発売されましたが、筆者には高額だったため買うことができず‥。はじめて映像として観たのは、カーグラフィックTVでRUF特集をオンエア(RUF BR2/BR4特集のとき)したときだったと記憶しています。

実は筆者もオーナーさんのご厚意で1度だけRUF CTR(初代)を公道で走らせたことがあり、ふんわりと、滑らかに回転するエンジンにただただ驚いた記憶があります。突然ステアリングを握ることになったため、あまりに緊張して、スタート時にエンストしたことも書き加えておきます・・・。

さまざまな仕様が存在したRUF CTR(初代)

RUF CTR

当初は10台限定生産といわれていたRUF CTR(初代)。しかし、注文が殺到したことで生産台数を30台に拡大。日本には、その1/3以上にあたる11台のCTRが生息していたといわれています。イメージカラーであるイエローはもちろんのこと、白や赤、シルバー、薄い緑掛かった個体、ダークグリーン、コンバージョンされたターボルック仕様(ホワイトボディの段階からターボボディで造られた仕様も存在)、革張りのシートで仕立てた仕様や、ロールケージとレカロ・プロフィーと呼ばれる軽量のフルバケットシートが装着されたライトウェイトモデル、5速/6速仕様、果ては新車時にオーダーされたフラットノーズまで、狭い日本にもさまざまなCTRが存在していました。

もともと台数が少ない存在であるだけでなく、海外へ行ってしまった個体も少なくありません。これから先は、オーナーさんの熱意と思い入れが日本に留まり続ける唯一の方法かもしれません(RUF CTRのオーナーインタビュー記事はこちらです)。そして、何台の2017年版RUF CTRが日本に上陸するのでしょうか。その1台を筆者が・・・というのは夢のまた夢で終わりそうです。

[ライター/江上 透 画像出典/江上 透・Pinterest]

松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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