ジウジアーロが手掛けた457台のイタリアとドイツの混血児、BMW M1

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BMW M1が誕生したのは1978年。E26というコードネームを与えられ、BMWが世に放つスーパーカー(といってよいのではないかと思う)は、どのようにして創られていったのでしょうか?

ジウジアーロがスタイリングを手掛けたBMW M1

BMWといえば、スポーティなイメージは強いけれど、スーパーカーのイメージとはいい切れない点はいまも変わらないように思います。BMW i8もスタイリングこそスーパーカー然としていますが、ある種の凶暴さや狂気めいたような、毒気が感じられないようにも見えます。どちらかというと、スマートさや都会的な雰囲気漂うイメージです。

BMW M1 全長×全幅×全高:4360x1825x1140mm

BMWは、当初からランボルギーニとの共同プロジェクトでM1の開発を模索していました。しかし1970年代前半という時代は、折しもオイルショックとランボルギーニ社の経営不振が重なり、BMWとしても独自にM1を開発せざるを得ない状況。当時のランボルギーニ社は、あのカウンタックシリーズを世に送り出し、ウラコを発表していた時代。華やかな裏側で、苦しい現実と向き合っていた一面があったのです。

結果としてBMW M1のデザインを手掛けたのは、イタリアのカロッツェリアであるイタルデザイン社。そしてジョルジェット・ジウジアーロでした。M1のデザインおよび設計、フレームの組み立て、ボディパネルの製作および組み付けにいたるまでが、イタルデザイン社の範疇となったのです。

ドイツとイタリアの混血児、BMW M1

デザインを含めた外装はイタルデザイン社、つまりイタリアで仕立てることになり(ホイールもカンパニョーロ製)、内装の組み付けていました。

BMWにとってキモとなるBMW M社(モータースポーツ社)ストレート6エンジンなどの搭載はドイツのバウル社が担当しています。完成車のセッティングをBMW M社が担当…という、非常に手の込んだ工程を経て、ようやくBMW M1が完成するのです。

レーシングエンジンのストレート6を心臓部に持つ BMW M1

BMW M1の3.5L 直列6気筒DOHC24バルブエンジンは、レーシングカーの血統を受け継ぐものです。BMW3.0CLSのものをベースにリファインされたエンジンのパワーは277ps/6500rpm。グループ4仕様のエンジンは470ps、さらにグループ5仕様(ターボ)は800psオーバーというスペックを持ち合わせていました。

BMW M1のワンメイクレース車両として仕立てられたM1プロカーは、楚々とした佇まいのM1を獰猛なレーシングマシンへと仕立てた例といえるでしょう。

BMW M1は、発表からわずか3年で姿を消すことに

難産の末、1978年のパリサロンにおいてBMW M1はデビューを果たします。当時のグループ4カテゴリーに参加するためには、2年間のあいだに400台以上を生産することを課せられていました。結果としてその条件をクリアすることはできましたが、時代が味方しなかったのか、タイミングを逸したのか、ロードカーの販売面においてもレーシングバージョンの戦績においても目立った成績を残すことができず、発表からわずか3年後の1981年に457台という限られた生産台数を世に送り出し、ひっそりと表舞台から姿を消したのです。

しかし、BMW M1が後世に残した足跡は偉大なものであることは間違いありません。BMW M3やM5など、長きに渡りモデルチェンジを重ね、そのモデルごとに熱心なファンが存在しています。たとえBMW M1が誕生していなかったとしても、通常のモデルでは飽き足らないユーザーの心を満たすスポーツモデルが誕生していたことは間違いありません。しかし、Mモデルのどこかに、レースの気配が感じられるのはBMW M1というクルマがあったからこそ、なのです。

[ライター/江上 透 画像出典/Pinterest]

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松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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