総生産台数の10%が日本に上陸。メルセデス・ベンツ500E(W124)はそれでも希少

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生産終了から20年。いまだ根強い人気を持つ、メルセデス・ベンツのミディアムクラスセダン、W124。その中においても、1991年に発売された「500E」は別格の存在といえます。“FIRE AND SILK”、日本版のカタログには「炎の情熱。絹の優美。」のキャッチコピーが踊り、500Eの成り立ちを端的かつ雄弁に物語っています。

“FIRE AND SILK”のキャッチコピーに込められた、メルセデスが放ったスポーツ・セダン

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最高出力325馬力を誇る、5リッターV8 DOHC 32バルブエンジンを搭載するために、サスペンションやシャーシも500E専用のものが用意されました。その結果、フロントフェンダー幅が拡大されたのですが、外観はあくまでさりげない主張に抑えられています。その内に秘めた高性能さを「分かる人にだけ分かれば良い」といわんばかりに、そっとアピールする奥ゆかしさすら感じさせるフォルムが実に魅力的です。

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500Eのボディサイズは、全長4755×全幅1795×全高1410(mm)。300Eのボディサイズが全長4740×全幅1740×全高1445(mm)であることからも、全幅が広げられ、車高は下げられていることが一目瞭然です。

また、500Eの新車販売時の価格は1550万円であり、300Eの715万円の倍以上の価格でした。もはやミディアムクラスの枠を超え、Sクラスの最上級モデルにあたる560SELの1355万円や、500SLの1580万円に匹敵する価格で販売されていたにも関わらず、当時人気を博しました。

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室内も、通常のW124とは異なり、リアシートにはセンターコンソールが備えられ、定員は4名となります。シートはファブリックが標準。本革はオプションでした。

登録台数の10%にあたるメルセデス・ベンツ500E/E500(W124)が日本に上陸

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500E/E500の生産台数は10,479台。そのうち、日本に上陸を果たしたのは、約10%にあたる1,184台。その内訳は、前期型の500Eが969台、後期型のE500が215台となっています。

しかし、現役当時で1,184台です。最終モデルでも1995年。生産終了してから、すでに22年が経過しています。クルマの性格上、大切にされている個体の割合が多いのではないかと推察します。事実、前期型の500Eオーナーである岩村 立之氏に取材した際も、こだわりと深い愛情を持っていることを強く実感しました。

ポルシェの生産工場で造られたメルセデス

前期モデルにあたる500Eが、ツッフェンハウゼンのポルシェ工場で生産されていたことをご存知の方も多いことでしょう。また、当時のポルシェ社が販売不振に陥っていたことで実施された処置が、少なくとも日本においては500Eの付加価値となっている点は、当時の関係者にも予測できなかったこともかもしれません。

とはいえ、ホワイトボディの状態からポルシェの工場で生産されたものではなく、あくまで一部を委託しているというスタンス。記録上の生産場所は、メルセデスのジンデルフィンゲン工場となっているのです。また、1993年モデルの途中からジンデルフィンゲン工場に切り替えられているだけでなく、エンジンのマネジメント方式の変更に伴う、若干の出力低下なども影響してか、「ポルシェライン製造の500E」として前期型に人気が集中するようです。

5年間におよぶメルセデス・ベンツ500E/E500(W124)の生産。そして、W124の終焉

500E/E500の最後を飾るモデルとして、1995年に「メルセデス・ベンツE500リミテッド」が500台限定発売されます。日本では前年に正規販売を終了していたため、日本にある個体はすべて並行車です。

ボディカラーの設定は、サファイヤブラックとジルコンシルバーメタリックの2色。日本にある個体は、サファイヤブラックの方が多い印象です。このボディカラーと、R129型のSLなどにも採用された6本スポークデザインのホイールが、外観上の識別点となります。

内装は革の表皮はE500リミテッド専用デザインで、黒を基本に、赤/緑/グレーの3色の組み合わせから選択することができました。また、バーズアイメイプルウッドの落ち着いたトーンが特徴的なウッドパネルも、このモデルの特徴のひとつです。

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筆者の記憶では、日本におけるこのE500リミテッドは、即完売ではなく、長期在庫としてたびたび雑誌広告で見掛けた記憶があります。もちろん、手も足もでない価格帯であったため、心の底から悔しい思いをしたことを覚えています。

そして、E500リミテッドの生産終了とともに、W124の歴史も1995年で幕を閉じます。しかし、500E/E500に限らず、W124型のメルセデスがいまだに根強い人気を誇っていることは事実です。また、この時代のAMGも実に魅力的です。このあたりは別の機会にまとめてみたいと思います。

[ライター・画像/江上 透]

松村 透

輸入車の取扱説明書の制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトのリニューアルを担当し、Webメディアの面白さに目覚める。その後、大手飲食店ポータルサイトでコンテンツ企画を経験し、2013年にフリーランスとして独立。現在はトヨタ GAZOO愛車紹介の監修・取材・記事制作や、ベストカー誌の取材等で年間100人を超えるオーナーインタビューを行う。カレントライフは2015年より参画。副編集長を経て、2019年、編集長に就任。現在の愛車は、1970年式ポルシェ911Sと2016年式フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン。9月11日生まれの妻と、平成最後の年に産まれた息子、動物病院から譲り受けた保護猫と平和に(?)暮らす日々。

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