ヒトの金でクルマ道楽するなんざ邪道!あぶく銭で破滅しないための考え方

  1. カーゼニ
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きょう、ママンが死んだ……というのは前々回の当欄にてお伝え済みで、ママンの(微々たる)遺産でクルマでも買おうかと思ったのだがやめにして、代わりにスーパーマーケットで紀州南高梅を買った……というのは前回の当欄でお伝えした。しかし事態はその後急展開し、わたくしはクルマはおろか紀州南高梅すら買えない身の上と化した。

なぜならば、わたくしにはママンの(微々たる)遺産を継承する法律上の権利がいっさい無いことが、専門家の説明により判明したからである。……ワオ!

少々の遺産が入ると思っていたが、それは勘違いだった

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話はこういうことである。

ここでは「ママン」と呼んでいるが、ママン・ミツコはわたくしの実の母ではない。実の母であるママン・キミエがわたくしの幼少期に亡くなったのち、ペール・ユキヒロが再婚した女性だ。要するに「義理のママン」である。

義理のママンとはいえ、ペール・ユキヒロが今際の際に「……ジュニアよ、オレが死んだ後もママン・ミツコの面倒を全面的にみてやってくれよな、頼んだぜ……」とわたくしに言い残すのをしかと聞いているため、そのとおりにした。まぁそうでなくても面倒はみるつもりだったし、そういった私情や状況にいっさい関係なく、ママン・ミツコはわたくしの法律上の母親に相当するのだろうと思っていた。

「それが実はそうじゃないんですよ、軍曹さん……」

と言ったのは、ペール・ユキヒロがパスト・アウェイした際にもモロモロのことをお願いした行政書士の護摩坂さんだ。

ママンにとってわたしは無関係な第三者

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「軍曹さんたち兄弟は、あくまでもペール・ユキヒロ氏とママン・キミエ氏との間に産まれた子供たちです」

まぁそりゃそうですよね。で、ユキヒロがミツコと再婚してからは、いちおう法的にはミツコが我々兄弟の母になった、と。

「違うんですよ。軍曹さんにとってミツコさんは『実の父が再婚した女性』に過ぎません。細かい法律用語は省きますが、ざっくり本質を言うとそういうことなんです」

……へ?

「そのため、もしも法的な観点から厳密に言うなら、軍曹さんはミツコさんのお世話をする義務はいっさいありませんでした」

……は?

「しかし扶養の義務がないということは、同時に相続の権利もないことを意味します」

……ほう。

「仮に軍曹さんがママン・ミツコ氏と養子縁組の手続きをしていた場合は実子と同じ扱いになりますが、養子縁組はされてないですよね? そして遺言書もない、と」

へい。

「……となりますと、ペール・ユキヒロ氏の死後、実質的にミツコ氏の面倒を全面的にみており、心情的にも母子の関係であった軍曹氏ですが、今回のご相続にあたって法的には『まったく無関係の第三者』という立場になります。お兄さまたちも同様です」

ひい……。

「話が長くなるとカレントライフ読者の皆さんもそろそろ飽きる頃と思いますので、結論だけ申し上げます。今回、ママン・ミツコさんの遺産を相続する権利があるのは、ミツコさんの唯一ご存命の肉親である妹さん、鍋川ユリコさん(82)だけです!!!」

ドーン!!! と喪黒福造のようにわたくしを指差しながら、護摩坂行政書士はそう言った……というのは嘘だが、話の内容は本当だ。

ダサい自分に失望。しかし逆に良かった?

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わたくしはショックを受けた。いや正確に言うと、自分がショックを受けたという事実にショックを受けた。

「たかだか数百万円の遺産なんてハナからアテにしてねえし、親とはいえヒトの金でクルマ道楽するなんざ邪道もいいとこさァ。ま、せっかくペールが遺してくれた金なんでゴミ箱に捨てたりゃあしねえが、せいぜい特売梅干しを紀州南高梅に替える……ってなぐらいが粋なんじゃねえの? わははは、NAロードスター最高!」

などと格好をつけていたわたくしだが、いざ「たかだか数百万円」が瞬間的にゼロ円へと変動してみると、喪黒福造にドーン!!と指を差されたかのようなショックを受けている。なんだ、やっぱ欲しかったんじゃねえか。ダセエな、ダサすぎるぜ、俺……。

気の毒そうな目でわたくしを見る護摩坂さんに礼を言い駅前のドトールを出たわたくしは、放心状態で自宅長屋までの道のり約10分を歩いた。

しかし10分も散歩的行動をすると人間の精神というのはある程度リフレッシュされるようで、長屋に着いたときにはほぼ心の底から以下のように思うに至った。

「ゼロ円で逆に良かった」と。

あぶく銭が人を破滅させるメカニズム

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わたくしはそれなりぐらいには自制心が強いタイプだと自負しており、また何かとカッコつけたいタイプなので、ダサいことはしたくない。つまり、いつだって正道を行きたい。本名も「正行」だ。しかし、たかが数百万円とはいえ「あぶく銭」というのには、そういった自制心やカッコつけ正道マインドを破壊する力がある。

たとえば、わたくしが嗜んでいる外国為替証拠金取引だ。

俗にFXと呼ばれるこの取引にて、わたしは日に5000万円ほど利益を得たり、しかしすぐに4999万円ぐらいの損失が生じたりして、せいぜいトントンに毛が生えたレベルなのだが(……言っときますが数字は冗談ですよ。わたくしの原稿はエッセンシャルな部分はすべて真実ですが、表層部分は虚実ないまぜになっている点にご注意ください)、そんな感じで若干の利益を得ている。非常にコツコツと、堅実に損切りをしながら。

しかし、例えばだが500万円ぐらいのあぶく銭が入り、それをFXの種銭に投入したとしたら、果たしてどういう結果になるだろうか?

「ま、もともとなかったカネだし、とりあえずそのなかの100万円でもってギャンブル的に勝負してみっか。普段はリスク1万円ぐらいだけど。わはは。もしも負けたところで、もともとなかった500が400になるだけのことよ、わはははは」

などと必ずやってしまうだろう。で、そういうときに限って外国為替証拠金取引は負ける。もうね、確実に負けるフラグが立ってますよ。

そうして100万円という大金をせいぜい5分から5時間ぐらいの短時間で溶かしてしまうわけだが、そこでまだ平静でいられると思う人は、人間修行が甘い。

「もともとなかった500が400になるだけのことよ、わははは」などと言っていたくせに、妙に攻撃的になってマウスをディスプレイに投げつけたりしながら、「……今度こそ」とつぶやきつつ、根拠の甘いエントリーで再び100万円のリスクを取る。で、これまたなぜか5分から5時間ぐらいでアッサリ溶け、怒りと興奮は頂点に達する。先ほどは手加減したが、今度は本気で投げつけたためマウスが壊れる。

しかしマウスを破壊したことで若干の冷静さを取り戻した自分は、こう思うだろう。

「……ま、落ち着けオレ。ここで倍プッシュすれば、先ほどの損失を取り戻したうえでお釣りが来る。もちろん負ける可能性もあるんだけど、な~に、ちゃんと損切りすれば最悪の場合でも『もともとなかった500が0になる』だけのこと。しかし勝てば官軍、錦の御旗。ここはいざ尋常に勝負するほかないっしょ!」

そのようにうそぶきながら、残った300万円で大勝負に出る。で、もうおわかりのことと思うが、こういうときに限ってなぜか確実に負けるのが外国為替証拠金取引である。

てめえの責任においてのみ生きようじゃないか!

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チャートが目論見とは逆の方向に進み、みるみるうちに損切りすべきラインが迫ってくる。ここで潔く負けを認めて撤退すれば、種銭の一部を温存したまま次のアクションに移ることができる。完全に冷静になった翌日以降に再チャレンジするとか、あるいはいっそFXから足を洗うとか。

しかし、それができない。「このポイントは通過されるけど、次のポイントこそ必ず反転する! だからここはガマンだ!」と、予定していた損切りを執行せず、さらに含み損が膨らむ。で、当然こういった場合はなぜか次のポイントもあっさり陥落する。

長くなったので以下略とさせていただくが、まあこんな感じで、最初の500万円ではなく「全財産」を失うことになるのである。

それもこれも、あぶく銭が手に入ってしまったせいだ。

自分がカレントライフ編集部で土下座まんじゅう営業をしたり、タイアップ企画で某企業の広告担当者から虫ケラのように扱われながらもなんとかギャラを得て、そして若干ながらも貯めたゼニであったなら、このような雑なことは絶対にしない。ビビリながらコツコツと、まずは自分のために、それでちょっと余裕があったならば周囲のために、正しく運用するだろう。なんたってわたしは「正行」だ。

しかし自分のものではない「人のカネ」だと、どうしてもこうなってしまうのである。公衆トイレが汚れるのと同じ理屈である。また、先ほどはたまたま外国為替証拠金取引を例に挙げて物事を説明したが、その他のジャンルにおいても話の根本は同一だ。

ということで、先の例のような破滅・破産・滅亡を防ぐためには「てめえの責任においてのみ生きる。他人は、敬いはするがはアテにはしない」という思想スタイルを取ることが重要なのである。なのであるというか、わたくしはそう思うのである。

それゆえ、クルマとはあまり関係がないこの文章をあえて書くことによってカレントライフ編集部に苦情が殺到し、その結果わたくしが降ろされ干されることになったとしても、それはそれでわたくしの責任において納得ずくでやったことの結果なわけで、それでいいのである。いいのである。いいのである……(ディレイ=エコーかけました)。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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