初代ロードスター1台生活で感じた「介護問題」より大事なこと

  1. カーゼニ
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初代カングー+初代マツダ(ユーノス)ロードスターの2台生活から「男は黙ってNAのみ!」というニュアンスの1台生活に突入済みの不肖筆者である。しかしさっそく大問題が発生した。や、大問題ってほどではなく、そしてクルマの問題というよりは「介護問題」なのかもしれないが、とにかくちょっと困っているのだ。

初代ロードスターでは老義母(86歳)の送迎が不可能?

どういうことかというと、ロードスターならではの低い着座位置のシートだと軍曹家の老義母が乗り降りできないため、病院の送迎などにいちいちタクシーを呼ばなければならないのだ。そして、それによって多大なゼニが無駄にかかってしまうのである。異端の貧乏ライターとしては死活問題だ。

本日がまさにそうであった。

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今日締め切りの原稿が3本あったため、「うむ。とりあえず5万円ぐらいの日銭にはなるな……」とかなんとか独りごちながら、小生は朝9時半頃から机に向かった。が、やっとノッてきた10時半頃に手元のアイフォーンがリン!と鳴り、出ると、老人向け施設に住んでいる86歳の老義母が、本日出向いたデイサービス施設内でいきなりバイタル超絶低下状態となり、救急搬送されたたのこと。ついては、息子殿におかれては至急病院へ行き、付き添いを願いたいという旨の電話であった。

……息子といってもわたしは実子ではなく、それより何より「約5万円の日銭を稼ぐ」という超絶重要なミッションもあったわけだが、そんな細かいことを言っても始まらない。ていうか義母には青少年時代から大変世話になっている。ということでとりあえず日銭仕事を放擲し、わたくしは徒歩1分の場所にある月極駐車場へ走った。

で、今までならここでカングーを出動させるわけだが、あいにくカングーは数日前に完膚なきまでに手放してしまったため、手持ちの駒はロードスターしかない。仕方なくわたしはNAロードスターに乗り込み、時速180kmにてサイタマを目指した。……嘘です。本当は100km/hちょいぐらいしか出してません。

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そこに自家用車はあるのに、無駄にかかるタクシー代……

到着すると、幸いにして老義母は軽症とのことで、投薬やモロモロの処置のうえ帰宅してよろしいとの沙汰が降りた。

が、86歳ゆえ足腰が超絶弱った老義母(K子)は、とてもじゃないがロードスターの低いシートには乗り込めないのである。や、無理やり押し込めば乗れないこともない可能性はあるが、そうすると今度は十中八九、シートから降り立つことができないだろう。そうなると必然的に「寿命が尽きるまでの数年間か10年間ぐらい、ロードスターの助手席で生活してもらう」ということになる。……それはK子にとってあまりにもツラかろうし、わたしだってツラい。

ということで小生はすみやかにタクシーを呼び、後席に2人して乗って老人施設を目指した。で、運転手さんに「申し訳ありませんがちょっと待っててください」とお願いしたうえでK子を施設3階の自室まで車椅子で運び、返す刀でタクシーに乗り込んで再び病院に到着した。で、病院駐車場に留め置いていた小生のロードスターに乗り込んだ次第である。

待っていただいた分の時間料金とお手間賃としての心付けを加えたタクシー料金は、なかなかの金額であった。ついでに言えば、本日稼ぐ予定だった約5万円の日銭も水泡に帰したため、それも計算に入れたわたくしの本日の稼ぎは、完全にまっかっかの超絶大赤字であった。

コストがかかっても「リターン」がデカけりゃそれでいい

それもこれもすべては初代マツダ ロードスターのせいである。世の中にこんなクルマさえなければ、わたくしは今も平穏なカングー生活を営んでいるはず。そうすれば、水泡に帰した約5万円の稿料はさておき、高額なタクシー代など払わずに済んだのに……。おのれロードスターめ、許さん! 売り飛ばしてやる!

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……とは、当然ながら思わなかった。

こういったコストというかリスクというかは、「ロードスター1台生活を始める!」と決意したときからすでに織り込み済みだからである。

たぶんいい年の大人であろうカレントライフの読者諸兄に今さら言うまでもない話だが、この世の中では、何らかの快楽なり利益なりを得ようと思うなら、それに見合うだけのコストを払ったり、リスクを取ったりしなければならないのは自明の理。「何も支払う気はありませんし、覚悟みたいなものもありませんが、いいトコだけをボクにください!」といっても、誰も相手にしてくれないだろう。

いざというときのタクシー代やレンタカー代。3人ぐらいの友人知人などをどうしても乗せる必要があるシチュエーションで「や、わたしのクルマ2人しか乗れないんでスミマセン……」と言わなければならないときの申し訳なさや、「不評代」のようなもの。ほかにもあるだろうが、そういった一切合財のコストは覚悟のうえの小生である。

そしてそういったコスト以上に「初代ロードスターだけで生きてみる」という経験は価値(リターン)があるのではないかと小生は思っており、そして今のところ(まだ数日ですが)、その判断は間違ってなかったと思っている。

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老人施設の駐車場で、タクシー代により大半の紙幣が消失した薄っぺらいサイフをお尻のポッケに入れながら、わたしはロードスターの幌を開け放った。そして夕方の首都高大宮線をのんびりめに疾走し、「……これでいいのだ」とつぶやいた。

ただ惜しむらくは、足腰の問題や寿命等の問題により、老義母K子に「秋の夕方、幌を降ろした初代ロードスターでのんびり走る」という素晴らしくも美しい体験を、その生涯のなかでさせてやれなかったことだろう。

初代ロードスター、もっと早く買えば良かったよ。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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