国産新車の見積もりで実感した「意外な高額さと不思議な安さ」のカラクリとは?

  1. カーゼニ
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「新車」と名が付くものは16歳のときのホンダCBR400F以外は買ったことがなく、以降の人生は常にさすらいの中古マンとして生きてきた。しかしこのたび、某媒体の仕事でスバルのエンジニア氏にスバル360の話を聞いていたら、なぜか知らねどスバルXVの新車が強烈に欲しくなってしまった。このあたりの心のメカニズムは我ながらまったくもって謎である。

いずれにせよXVが欲しくてたまらなくなった拙者は富士重工……じゃなかったスバルの公式サイトを開き、「見積もりシミュレーション」をしてこました。そこで吾輩が今さらながらに知ったのは、国産新車というモノの意外なほどの高額さと、それと同時にある「摩訶不思議な安さ」であった。

総額280万円ぐらいかと思ったら、さ、さんびゃくごじゅうまん?

まぁ貴殿は赤の他人のクルマ選びになど興味ないと思うので詳細は端折るが、件のエンジニア氏との話のなかで「あなた(筆者)にオススメのグレード」として挙がったXVは、2.0Lエンジンを積む2種類のグレードのなかでは下のやつ、デカい18インチではなく17インチのホイールを装着する「2.0i-L EyeSight」だった。で、それの車両本体価格は税込み248万4000円である。

「……新車のことはよくわからんのですが、乗り出し価格は280万円ぐらいですかね?」

なんとなくの当てずっぽうで吾輩は聞いた。するとエンジニア氏は答えた。

「まぁだいたいそんなモンでしょう」

メーカーの幹部社員がそう言うのだから、間違いないのだろう。

……こんなステキなクルマの、しかもビカビカの新車が、たったの280万円で買えてしまうのか。なんとも素晴らしい話ではないか。吾輩にとって280万円は決して安いゼニじゃないが、なんとかならなくもないギリギリの線ではある。嗚呼、さすらいの中古マンたる俺もついに「正規店で新車を買うご身分」になるのか……!

だがしかしそんな感慨は、見積もりシミュレーションの結果とともに吹っ飛んだ。

……350万円? えーと、アウディか何かのお値段ですか?

しかしそれは間違いなく、決して大それたものではなく必要最低限のオプション装備をモロモロ足していったスバルXV 2.0i-L EyeSightの、オンライン見積もり上の支払総額だった。

……話が違うじゃん!

「総額は意外と高い」という国産新車あるある

しかし吾輩は、先のスバル社エンジニア氏を責めたいわけでは決してない。

ここで氏の詳細には触れないが、そのエンジニア氏はとあるスバル車の、とある超重要部分をご専門とするエンジニアである。しかもXVの直接のご担当でもない。それゆえオプションがどうだとか、ルーフレール代だけで実は結構高いとか、そんな瑣末なことは把握してなくて当然なのである。それは例えば世界的な理論物理学者が、必ずしも底辺高校での物理の授業が上手いわけではない……というのと似た現象であろう。

結局のところ、車両約250万円のはずの中堅モデルが総額約350万円に化ける理由としては、主にはナビ&オーディオ(およびバックカメラ)関係の費用が車両本体価格に含まれていない……というのが大きい。

もちろん輸入車でもそういったケースはあるわけだが、吾輩が仕事上の主戦場としている欧州メジャーブランドの日本仕様各車はたいてい「オーディオレス」ではなく、ナビ&オーディオも車両本体価格に含まれている場合が多い。そういった違いに慣れていなかった我輩ゆえ、シミュレートしてみた途端にドドーンと跳ね上がった総額に驚いてしまったのである。

いずれにせよ、280万円なら(ギリギリ)なんとかならなくもないが、350万円となるとお手上げである。そんな高額車の購入はブルジョア各位に任せ、下積み労働者の吾輩としては「みなしごのバラード」を唄いながら50万円ぐらいのド中古車を探すしかない。

だがいちおうディーラーで正確な見積もりを出してもらうことに

しかし、オンラインでの見積もりはあくまでもシミュレーションに過ぎない。実際にディーラーに行ってセールス氏にいろいろ尋ねてみるなり、場合によっては土下座するなりすれば、もしかしたら実際の支払総額はもっと安くなる可能性もあるはず。

そう考えた我輩はみなしごのバラードを口ずさみつつも、電話連絡のうえ近隣のスバルディーラーを訪問してこました。よく考えたら吾輩、XV乗ったことないし。

「アットホーム」という言葉がマッチし過ぎるほどマッチする近隣のスバルディーラーに到着した我輩は、まずはXVの試乗を完了させた。試乗車は残念ながら2.0i-Lではなく18インチの2.0i-Sだったが、まぁだいたいのニュアンスはつかめた。なるほどなかなか素晴らしいクルマである。善き哉、善き哉。

しかし問題はゼニである。「正式なお見積もりの結果、総額はやはり350万円でした」と言われるなら、吾輩としては「そうですか、では帰ります。お忙しいところお手数おかけしました」と言って踵を返すしかない。

……しかし今、自宅に戻った吾輩は正式な見積書を前に、スバルXV 2.0i-Lの購入契約締結を真剣に考えている。あの建物のなかでいったい何が起こったのか、自分でもよくわからない。

国産車ディーラーという「魔空間」で日々繰り広げられる魔術

数字としての結論は、やはり総額350万円ほどだった。そこは変わらない。

しかし「結局のところ、ぶっちゃけ伊達樣は月々おいくらぐらいの支払額なら大丈夫なのでしょうか?」と問われ、まぁ●万円ぐらいでしょうかねぇ……と答えると、「ならばカクカクシカジカの方法にて、月々のお支払額をそれに設定することは十分可能です」と、非常に魅力的な数字を理詰めで提示してくる。なるほど確かに、それなら払えてしまえそうではある。

そのほかの諸々についても、「ほにゃららに加え、わたくしと所長が最大限ナニすることで、十分アレなソレをご提示できるとは思います」と。うむう……確かにそれをナニしていただけるならば、当方としてもアレをするにやぶさかではない……。

結局のところまだ最終結論は出せていないが、やもすれば吾輩は近日、新車XVのユーザーになるかもしれない。……それもこれも、すべては国産新車ディーラーという「魔空間」のせいである。

世の中の大半の労働者は、吾輩同様そう大したサラリーなど稼いではいないはずなのに、なぜ街には総額300万円以上、いや、それどころか400万円以上には達するはずの国産新車が溢れているのだろうか? 吾輩はこのところずっとそれを疑問に思っていたのだが、本日答えが出た。あの魔空間のなかで、さまざまな魔術が繰り広げられているのだ。そしてその魔術はうっとりと心地よく、決して反社会的でもない。

ならば、あえて魔術にかけられてみるのも一興かもしれないではないか。ううむ、マンダム……。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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