激安ガイシャ道に間違いはなかった。零細企業が借金をした意外な理由

  1. カーゼニ
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自分は常々安めの中古ガイシャを勧める原稿を書き、自らも安い中古ガイシャに乗る生活を実践してきた。そしてそれがために、他人様から馬鹿にされ、軽く扱われがちな男として日々を過ごしている。

信念を持って激安ガイシャ道を邁進してきたつもりではある。しかし幾度となく他人様から馬鹿にされ続けると、さすがに「……俺が間違っていたのだらうか?」と思ってしまう瞬間もないではない。

だが本日。自分は某金融機関から借金をしたことで、「うむ。諸君、無理してまで高いのは買わず、身の丈に合ったゼニのクルマで楽しもうじゃないか!という自分の主張は、決して間違いではなかったのだ」と確信したのだった。

ほとんどタダみたいな超絶低金利での借金

「金融機関から借金をしたことで、安めのクルマを買うことの正しさを確信した」といきなり言っても、おそらくは何のことやらサッパリ伝わらないと思うので、順を追ってご説明しよう。

自分が主宰している東京都某区の「伊達軍曹中古車研究所」は、実は法人である。つまり自分はこう見えて「社長様」なのだ。無論、社長様といっても「経営者=オレ、従業員=オレ、掃除のおじさん=オレ」という超絶零細企業の一人親方に過ぎないわけだが。

で、零細社長として地味に仕事をしていたある日。取引がある金融機関の若い男が当研究所を訪ねてきた。

「何の用だ? 返す金ならないぞ。や、よく考えたら金など借りてないぞ」

自分はそう言って男を追い返そうとしたが、男は言った。

「いえいえ。返していただくとかではなく、むしろお金を借りてほしいのです」

自分は「はて面妖な?」と思い、同時に「ゼニを借りる必要性はないのだが……」とも思った。しかしいちおう粗茶を用意し、男の話を聞くことにした。

聞くと、要するに当研究所のような零細法人向けに区がいろいろヨロシクしてくれる運転資金の斡旋制度……みたいなものがあって、ほとんどタダみたいな超絶低金利で結構なゼニが借りられるのだという。そしてその制度を使い、ぜひ当行からゼニを借りてほしいのだ……という話であった。

前述のとおり当研究所は特に借金の必要性を感じていないのだが、自分は「うむ、内容は了解した。とりあえず会計士のセンセイに相談したうえで、貴行に返事をすることといたそう」と男に伝えた。

ゼニを借りる立場なのになぜか不遜な筆者

で、後日センセイに相談すると、センセイは「その金利はベラボーだ。良い意味で。ぜひ借りたまえ」とおっしゃる。

……というような事情で本日、自分は(事前に区から財務面のお墨付きをもらったうえで)金融機関に赴き、借金をしたのだ。

借金といっても前述のとおり自ら望んでやったことではなく、むしろ金融機関から頼まれてのことであるゆえ、本日の自分の態度はひたすら不遜であった。

「……茶がぬるいな。君たちはこのボクに、こんなにもぬるい、しかも不味い茶を出すのかい? 一保堂の『嘉木』を使って淹れ直したまえ。ない? ならばニコタマの高島屋地下で買ってきなさい」

自分はそう言って、出された粗茶を男の頭にぶちまけた……というのは完全に嘘だが、それの千分の一ぐらいの横柄さはあったように思う。

これがもしも自分が希求した借金で、しかも相手がいわゆるサラ金とかであったなら、こうはいかないのだろう。

「あー、お金が借りたい? ほぉ、どの口が言いますか? これですか? この口ですか?」などと言われながら唇をラジオペンチでつままれ、一本背負いでリノリウムの床に叩きつけられ、そして事務所の便所掃除も命じられたうえで、やっとこさ50万円ぐらいを高金利で貸してもらえるのだろう。よく知らないが、そうだと聞いている。

しかし自分は本日、上記の「茶を頭にぶちまけ」というのは完全に嘘だが、ある程度の不遜な態度をもって、超絶低金利のマネーをゲットしてこました(や、ゲットというか借金なので返さねばならんわけですが)。

それは自分の会社が儲かっているゆえだろうか?

とんでもない。

だからこそ「中古ガイシャ」には価値がある

赤字っつーこともないが、「儲かってる」という単語とはかなり縁遠いニュアンスの当研究所である。自慢じゃないが。

それなのになぜ、当研究所の財務状況がひたすら健全なのかといえば、簡単な話で「身の丈以上のぜいたくはしていないから」である。

・事務所=長屋の一室
・社員の制服=アディダスのジャージまたは綿入れ半天
・昼食=自作のお弁当
・仕事=偉そうに選り好みしないでなんでもやります
・社用車=以前は安めの中古輸入車。今はスバルの大衆SUV
・趣味=冷蔵庫の残り物で旨い肴を作ること

……なんつー生活をしていると、金が貯まるということは特にないが、かといって無くなることもない、ほどほど程度には余裕がある財務状況となる次第なのだ。

結局のところ、クルマの選択も含めた何もかもにおいて「見栄は張らず無理をせず、身の丈に合ったバジェット感にもとづき、だがそのなかで自分なりの最大限の幸福を追求する」という姿勢が、自分のようなド庶民にとっては肝要だと思うのだ。

その意味で「比較的安価な中古ガイシャに乗る」という選択は、庶民にとって素晴らしく正しい。なにせ100万とか200万円とかその程度のバジェットで、けっこういい具合の満足感が得られるのだからね。もちろん、そのバジェットで確実に「満足」を得るためには、選び方や探し方、その後の維持方法などにちょっとしたコツと経験値は必要なわけですが。

無論、このように地味でしみったれた消費生活を万人に押し付けようとは思っていない。

富裕な方はガンガンお金を使って日本経済をブン回していただきたいし、富裕にあらずとも上昇志向の強い庶民(特に若い人)にあっては、あえて身の丈に合わぬ消費行動を取ることで自らにハッパをかけることも、時に必要だろう。そこは自分も理解している。

自分が言いたいのは「でも、もしも貴殿がそうでないのであれば、変に無理をするのはもうやめましょうや」という話である。押忍。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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