斜陽産業ということは実はチャンス?ライターになりたい君に超絶具体的なアドバイス

  1. カーゼニ
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このご時世に「将来は自動車ライターになって日銭を稼ぎたい(あるいはビッグマネーをつかみたい)」と考える若人も少ないだろう。

それは考えれば当たり前で、ネットはともかく、紙媒体というのは完全な斜陽産業である。そして自動車産業が斜陽なのかどうかは知らないが、長らく続く「自動車趣味の希薄化」と「クルマの電動化および運転の自動化」という大きな潮流から考えれば、少なくとも「自動車趣味に関する文字列の製造業者」は斜陽の人であると断ぜざるを得ない。

だが「斜陽」であることが逆に小さなチャンスなのかも

しかし、もしかするとそういった「一見すると泥沼」の中にこそ、浮かぶ瀬というのはあるのかもしれない。

今さら自動車ライターなどという斜陽丸出しな業種を選ぶ者は少ない。つまり、今後パイは(さらに)小さくなるとはいえ、それと同時に競合他社(他の自動車ライター)の数も減っていくわけだ。今いる爺さん評論家たちもそのうち亡くなったり引退したりするだろうし。

となれば、これからその職に就く若人であっても「比較的頭角を現しやすい」という状況は生まれるはずなのだ。

まぁ「頭角を現したところで大したゼニにならない」ということと、「今後電動化と自動化が進むと、実はあまり書くことがなくなる」という大問題はある。

だがそこは各自の努力と工夫でなんとかしてもらうとして、クルマを愛し、そしてその魅力を言語化する職業に就いてみたいと考えているレアな若人に向け、今回は筆者なりの超絶具体的なアドバイスを贈りたいと思う。

もちろん筆者はぜんぜん大したことのない自動車ライターであるため、大それたアドバイスなどできない自信に満ちあふれている。

しかしそれでも、37歳で独立してから50歳となった今に至るまでの13年間、フリーランスの自動車ライターとして食いっぱぐれることなく、国民年金も滞納せず、さらには満額の国民年金基金までもを掛け続けている「下町のエリート」ではある。それゆえ、自分で言うのもアレだが、貴君に何らかの学びは与えられるのではないか確信しているのだ。

まずは多種多様なクルマに触れ、そして「とある文庫本」を買う

では、具体的にパンパン申し上げましょう。まず「学歴」。これはハッキリ言って何でもいい。無理に大学なんか行かなくてもいいですよ(まぁ行きたきゃ行けばいいけど)。仮に田中角栄みたいな「小卒」だとしても、独学でいろいろ学んでいるならそれでOK。ノープロブレムです。

ただし、文部省的な高等教育はいっさい不要だとしても「クルマに関する高等教育」だけは絶対に必要です。つまり、たとえば自動車整備の専門学校とかに行く必要はないのだけれど、「なるべく多くの、多種多様な自動車に振れる機会」をまずは作っておかないと無理でしょう。そうでないと「想像だけで描く官能小説」みたいになっちゃいますから。

その意味で「自動車の雑誌とかWEBメディアの編集部に、社員でもバイトでもいいからとりあえず潜り込む」というのは有効なやり方です。実際、そんな感じのバックグラウンドを持つ自動車ライターや評論家はけっこう多いし。

その際、社員編集者になるに越したことはありませんが、バイトでも「広報車の借り出しおよび返却」「ロケ撮影の手伝い」とかで死ぬほどいろいろなクルマを運転することになるので、週5勤務ぐらいの長期バイト君でもOKでしょう。で、その経験を後にどう活かすかは本人次第。

あるいは、現在「SUPER GT SUBARU BRZ GT300公式応援団長」にまでのし上がった自動車ライター・マリオ高野氏が昔そうしたように、「とりあえずヤナセで洗車バイトをする!」みたいなのもアリといえばアリ。

要するに何でもいいので、とにかく「クルマに関する高等教育」を自らに叩き込みつつ、それと並行して「日本語に関する高等教育」を受けるようにします。

といっても「大学の文学部」とか「カルチャーセンターの文章講座」とかに通うのは時間とゼニの無駄(まぁどうしても行きたいなら行けばいいですが)。それよりも、下記の648円の文庫本をアマゾンかどこかで買って、血肉化するまで熟読すればそれで十分です。

本多勝一著『〈新版〉日本語の作文技術』(朝日文庫)

これは超絶名著です。や、ホンカツこと本多勝一氏にさまざまな毀誉褒貶があることは拙者も承知しています。でもそれはそれとして、こと「一発で意味が通り、鼻クソをほじりながらでもスッと読める日本語文章を書くための技術」を養ううえでは、これ以上に有効な参考書を拙者は知りません。もちろん「ほかにもあるけど拙者が知らないだけ」という可能性も大ですが、少なくとも「これを何度も読んで血肉化すれば、絶対にスッと読める文章が書けるようになる」ということだけは2000%本当です。

あとは締め切りを守って「感じのいい人」であり続けるだけ

さて、自動車についての高等教育を自らに施し、前掲のホンカツ本にて日本語の基本的な作文技術を十分身につけたならば、やるべきことはあと少ししかありません。それは、以下のとおりです。

1. とにかく「感じの良い人物であること」を常に心がける
2. 仕事関係のメールはソッコーで返信する
3. 仕事関係の電話には、出られずとも、折り返せるときにソッコーで折り返す
4. 何か仕事を振られたら、絶対に締め切りを守る
5. 何か仕事を振られたら、たとえ正直つまらなくて儲からない仕事であったとしても、とりあえずは全力を尽くす
6. あとは……特にないです

そう。この1~5さえ常にバッチリであれば、まずは小さな仕事かもしれませんが、貴君のもとへ次から次へと仕事が舞い込んできます。なぜならば、世の中はこんな簡単なことすらもできないフリーライターが非常に多いからです。「普通にマトモな社会人である」というただそれだけで、ある程度は頭角を現せてしまうのです。残念な話ですが。

以上のことをコンプリートできたならば、あとは貴君次第です。

すなわち「何を専門分野に選ぶか?」「あまりに安い仕事に対してはどう反応すべきなのか?」「恐ろしいほどムカつく発注者はぶん殴っちゃっても構わないのか?」等々は、仕事をやりながら自分で考え、自分で答え(つーか仮説)を出していくほかありません。貴君次第で、島下泰久さんのような超売れっ子にもなるでしょうし、拙者のような「いちおう飢え死にはしないが、何かと微妙なラインの自動車ライター」にもなれるでしょう。

まぁ後者には別になりたくないかもしれませんが。

貴君の健闘を祈ります。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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