ポルシェ996を「男の120回払い」で購入することに問題点はないのか?

  1. カーゼニ
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幼少期から長患いをしてる「貧乏」の影響でルノー カングー+マツダ(ユーノス)ロードスターという2台体制を廃し、NAロードスターのみの1台体制で生きることを決意したのは既報のとおり。そしていざNAのみの生活を始めてみると、草野球道具一式の運搬に勝利し、コストコで爆買いした物資の運搬にもあっけなく大勝利したことは、これまた既報のとおりである。

それにより、もはやわたくしの生活に「カングー的なるもの」はいっさい必要ないことが明らかとなった。ロードスター1台で何だってできるし、どこへでも行ける。

しかしそうなると思考というのはどうしたってラディカルになっていくもので、わたくしの思考も過激化していった。

「なんならロードスター1台体制じゃなく、ポルシェ911の1台体制で生きればいいんじゃね? 今後?」と。

911購入を決意……だが「高い」ということを忘れてた

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無論、クルマの居住性・積載性のような点ではNAロードスターよりポルシェ911のほうが(いくばくか)優れており、そしてそもそもポルシェ911は「サーキットとかだけを走る純スポーツカー」ではなく「日常的に使うこともできる超絶スポーツカー」というコンセプトで(たぶん)開発されたクルマであるため、モノの道理から考えればポルシェ911の1台体制というのは何らラディカルではなく、むしろNAロードスター1台体制のほうが急進的だと言えるだろう。

そのことは当然筆者も承知だ。しかし筆者のような貧乏奴があえて911を選び、そしてそれ1台のみにて生活する……という点に、どことなく革命の息吹を感じたのである。

ということで自分はさっそくカーセンサーnet等を駆使して中古ポルシェ911の吟味検討検索に入ったのだが、そこで大きな問題が発覚した。というか、思い出した。

「ポルシェ911は高い」という単純な事実である。

わたくしが一番欲しい空冷のタイプ964は、走行距離短いやつだと1000万円ぐらいするし、6万kmとか7万kmぐらいのやつでも700万~800万円。かといって「最良の911は最新の911! ……でも最新のはさすがに高くて買えないから『次善の911は1コ前の911!』という精神に基づいて先代997を探すか」と思っても、997のメインどころは600万~800万円ぐらい。これまた貧乏奴には厳しい相場だ。

ならば……ということで、当然ながら着目点はタイプ996こと先々代の911に帰結した。

ガレージカレントにておあつらえ向きのタイプ996を発見

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タイプ996。ご承知のとおり98年4月から04年7月まで販売された、ポルシェ911としては初の水冷フラットシックスエンジンを採用したモデルである。で、自動車マニアというかオタクみたいな人からのウケは決して良くはない。「なんかこう乗用車チックで、ちょっとつまんないんだよね……」と。

たしかにそうなのかもしれない。だがそれは、今回のわたくしにとっては逆に好都合である。なぜならば、わたしは今回「乗用車」を探しているからだ。それ1台ですべての用事をこなせる乗用車を探している人間が、その対象物に対して「乗用車的でつまんないね」と言うのは論理的に間違っている。ていうか、狂ってる。

まぁもうちょっと真面目な言い方をしますと、ほかに実用系のクルマを持っていて、911にはリアルスポーツっぽい部分を望みたい人にとっては、996の素のカレラとかは少々物足りないのかもしれません。でも、わたくしはほかにクルマないし、サーキットにも峠にも(ほとんど)行かないし、911にはあくまでも上質でスポーティなオールラウンダーとしての資質を求めているので、「むしろ996が良くね? 逆に」と思ったのであります。押忍。

ということで自分はタイプ996こと先々代のポルシェ911に絞って検索を開始した。……前期型でも別にいいんだけど、さすがにもはや荒れてる個体が多いんで、やっぱ買うなら後期のカレラかカレラ4かな? カレラ4Sでもいいけど、高いんで。カチカチカチ、click、click、click……てな感じで検索を鋭意進行していると、なかなか魅力的な1台に遭遇した。

それは、カレントライフの発行元であるガレージカレントをヨイショする意図では決してなく、たまたま、ガレージカレントが販売陳列中の02年式カレラであった。

ティプトロSでもやむなしと考えていたのだが、これは望外の6MT。そしてスピードイエローというボディ色も、白とか黒とか銀のクルマはあまり好まない自分としてはむしろ好都合。走行5.8万kmということで「低走行車」とはいえないが、どうやら記録簿13枚が記載されていて、主にはミツワ自動車およびポルシェセンター、そして加えて一般整備工場にて必ず年に一度、確実かつ神経質に点検整備を受けてきた模様。で、値が張る新車時のオプション装備も超絶多数。……いいじゃねえか。

価格は車両本体377.9万円。問い合わせてみたわけではないので正確なところは不明だが、おそらく支払総額は400万円とか、だいたいそのぐらいであろうか?

問題は、これをどう手に入れるかだ。予算的に、家計的に。

「男の120回払い」なら割と楽勝?

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わかんないけど仮に総額400万円だとした場合、現金一括は少々厳しいのでローンでいきたい。で、フルローンのフルレバだと何かあったときに自分が滅亡するので、ある程度の頭金はいれたいところだ。仮に、あくまで仮にですよ、今乗ってるNAロードスターを売却するとしたら「50万円」ぐらいだろうか? わからないが、まぁ50万円ということにしておこう。

そこに、自宅にいくつかある貯金箱を破壊し尽くした結果の金子少々を加え、計150万円の頭金を捻出する。となると残額は250万円。これを、ローンにて支払おうじゃないか。もしも払えるようであれば。

販売店のローンを適用するのもひとつの手だが、おそらくは銀行とか信用金庫とかのオートローンを利用したほうが金利は低いような気がする。わかりませんが。で、東京にある某地銀のHPを見てみると、同行のオートローンは変動金利の2.1~2.7%とのこと。うむ、いいじゃねえか!

そして幼少期より公文式で鍛えたわたくしが緻密に計算したところによれば、当該物件のローンシミュレーションは以下のとおりとなる。ちなみに金利は2.1%ではなく最大の2.7%で計算した。またわたくしはボーナス0円の自由業であるため、ボーナス払いなしの均等払いで計算している。

【60回払いの場合】月々支払額=4万4589円
……こう見えて日銭はフツーぐらいに稼いでいる自分ゆえ、払って払えない額ではない。が、正直もうちょい抑えたいところだ。もう少し回数を増やすとどうなるか?

【72回払いの場合】月々支払額=3万7650円
……微妙だ。これなら60回で済ませちゃったほうがいい気もするし。

【84回払いの場合】月々支払額=3万2696円
さらに微妙である。煮え切らないというか。ところで最長何回払いまで延ばせるのかな? と思いHPを見てみると、なんと同行オートローンの支払い期間は「最短1年から最長10年」とのこと。ってことは男の120回払いもOKか! それだとどうなる?

【120回払いの場合】月々支払額=2万3796円
……これだ、これしかない! 月々2万3000円とか2万4000円とか、だいたいそのぐらい。わたくしが行っている地味な小銭貯金がおおむね月に1万円ぐらい貯まるペースなので、そのペースを少々上げ、そこにいくばくかのカネを足せば捻出できてしまう額である。つまり大ざっぱに言えば「小銭貯金でポルシェ911が買える」ということだ。なんとも素晴らしいじゃないか!

超長期ローンの問題点をどう考えるか?

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もちろん「10年間も金利払うなんて馬鹿らしいじゃん。ていうか馬鹿?」とか、「長期ローンの途中で乗り替えたくなったとき、残債はどうするわけ?」等の疑問や嘲笑もあるだろう。それに対してお答えしたい。

楽勝である。

まず金利だが、公文式で鍛えたわたくしの計算によれば、250万円を金利2.7%で10年間借用した場合、いわゆる利息分は10年間で35万5464円。デカいっちゃデカいが、大したことないといえば大したことのない額である。要は気の持ちようというか、考え方次第だ。もちろん「無駄で贅沢な出費」と考えることも可能だが、「911という名車に乗るための追加コストが年に3万5000円程度、月にして3000円程度」と考え、そして「ま、屁みたいな金額じゃん」と考えることもできるわけである。そして自分はどちらかと言えば後者の考え方を適用する人間である。

そして残債問題も、たぶんだがなんとかなるだろうと愚考している。

10年乗るつもりでいる自分ではあるが、まぁなんだかんだ言って4年ぐらいで乗り替えちゃうんじゃないかとも思う。その場合、つまりオートローン締結から48カ月後の残債は、手元の計算によれば160万円弱。そして今から4年後、02年式ポルシェ911カレラ(6MT/スピードイエロー/オプション多数/記録簿多数/修復歴なし)の売却額はいくらになるだろうか?

正確なところはもちろんわからないが、これまでの取材経験からいって「100万円を切ることはない」と確信している。わかりませんが、150万円ぐらい? まぁ最悪「100万円ぴったり」だったとしても、残債は60万円弱。……大の男であればどうとでもなるレベルである。それがどうにもならないようであれば、そもそも911を狙ってはいけないだろう。

以上のような鉄壁のプランを立案した自分は、某地銀HPの「オートローンのお申込みはこちら」という電子上のボタンをclickし、モロモロの事実関係を記載し、申込みを済ませた。あとは果報を寝て待つのみである。

……しかしながら、各位におかれてはなんとなく予想がついているかもしれないが、「残念ながら今回は……」という趣旨のイーメールが数日後、自分のPCに到着した。

これを機に自分は12年間ほど続けてきた自由業を廃業し、いよいよまっとうな社会人となるべく就職をしようと思う。どこでもいいので。おそらくは3年も勤続年数を積めば、某地銀もわたくしのことを信用するであろう。

ということで、駅前の文具店までコクヨの履歴書と職務経歴書を買いに行かねばならないので、今回はここで失敬する。ぜひまたお会いいたしましょう。ただし、就職するわたしに「またの機会」があれば……の話だが。

[ライター/伊達軍曹]

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伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。途中2008年から2011年には編集デスクとして「IMPORTカーセンサー」(リクルート)の創刊準備および編集運用を業務委託として担当。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ってサイコーだぜ!」というのんきなトーンの原稿を各誌やウェブサイトに多数寄稿している。

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