自分だけの体験を「up!ロード」する時代へ。VW 新型up! 試乗レポート

最終更新日: 公開日:2017-05-30 | Posted in 試乗レポート by

up!と聞いて皆さんどんな印象、イメージを持たれるでしょうか?フォルクスワーゲンのエントリーモデル。ギヤがギクシャクするというじゃない?ファーストカーには不向き?マニアックなチョイスにすぎるのでは?など。王道フォルクスワーゲンの中でもちょっとキワモノ感を抱いている方もおられるのではないだろうか。登場直後にディーラーで乗せて頂いたくらいだった。今回お誘いをいただき乗せて頂けるというのかなり楽しみでした。

まず「ドアの建てつけの良さ」。これは建材、もとい健在です。この一点を以てして、ドイツ車を買うことの愉しみは達成されるかもしれません。あ、そうそう、このクルマ、エントリーグレードは160万円を切る価格から設定されています。日本でこの値段で何が買えるでしょうか。下手すると、ちょっといい軽自動車「背高め」な上級グレードを買うと車両本体でこれより高いクルマも珍しくありません。「という値段でフォルクスワーゲンが買える」この事実だけでもこのクルマの買い得感は伝わるかもしれませんよね。そんな安物、何かどこかのバッタモンとかじゃないの?と思われるのも無理ないと思います。しかしそんなことはないのです。というか、ドイツのメーカー、単に「商品棚の充実」だけに顔ぶれをそろえるためだけのOEM車ってあまりないように思います。

ラインナップ拡充になっても、その基準ではかなり厳格というか。もしどこかのバッタモンだと疑うのであれば、一層乗ってみなければなりませんね。確かに、グループブランドのセアトでは「Mii」、シュコダでは「シティゴ」としてもそれぞれのバッジを掲げて販売されます。グループのエントリーグレードを担うモデルであることは間違いありません。しかし、ドライバーズシートに腰を下ろし、コンパクトらしからぬオーセンティックなスケール感を感じさせるステアリングの存在感。実際の大きさ以上にそのフィーリング、建てつけの妙にかっちりした感覚は、このクラスのクルマで味わうことができるとは到底思えない、そんな印象をもたらしてくれます。

またその体をゆだねているシートも決して「ゆとり」のためのブルジョワジーな余剰ではなく、このクルマに乗る人一人でも多くの人にフィット感を感じてもらうための最低限のもてなしに過ぎないに違いありませんが、肉厚でもないのに妙にしっくりくるので、妙にいいクルマに乗っている印象があります。ここまでの要素で決まるドラポジで走り始めれば、意図した方角に過不足なく鼻先を向けることができることを喜びとして受け止めるようになるまでそう長い時間は必要ないのではないでしょうか。

そして、お金を出しても後付できない固有の価値だと感じる「絶対的な軽さ」は、優れたハンドリングと、爽快な乗り味をとめどなく生み出し、にもかかわらず、卓越した直進安定性や、静寂ではなく必要にして十分な車室内でのコミュニケーションを可能にする程度の静粛性を担保していることなど、乗るほどに、多くのユーザーにフィットする等身大のシティラナバウトの真価を思い知ることになるでしょう。

NEW up! は変わったのか?変わってないのか?


[photo:Hayato Tsuchiya]

このクルマが大きく変わった、とは個人的には思えないのです。これは実はデビュー当時から当然に有していたこのクルマのアイデンティティなのではないかと思っています。そして今回、昨今のフォルクスワーゲンのトレンドに沿って、コネクテッドカーとしての資質も大幅にグレードアップさせています。大げさなモニターなど、インパネに仰々しいものは付きません。試乗車には私が普段普通に使っているスマートフォンをしっかり固定することができる骨組み(フォルダ)が設けられていました。「なんで今や一人一台が当たり前で肌身離さずが常識になりつつあるスマートフォンなのに、その画面は簡単に傷ついたり割れたりするのだろう?いい加減にしてほしいわ、ホントに。」そんな極めて日常的でドメスティックな不安を抱えた私たちの「このスマフォ」で、クルマがより身近でかゆいところに手の届く相棒になるのです。

なるほど、これがあればもう大げさなナビは要らないな、と思います。そのフォルダーにマイスマフォを固定し、広く一般的な地図アプリでナビ代わりにすることも勿論可能です。しかし、ここでそのスマートフォンに「maps+more」というup!専用のアプリをダウンロードしておけば、鬼に金棒レベルのグレードアップが図れます。アプリを立ち上げ、Bluetoothで繋げれば、燃費情報、エコドライブのための支援プログラムなど、ナビゲーション以外に様々なup!専用のコンテンツを利用することができるのです。

ナビにしても、もはやルート検索ではない。なんとなくこんなことしたい、はあっても、具体的にどこに行けばいいのかわからないような場面、たくさん選択肢が出てきて決めかねる場面も現代なら当然起こりうる話。しかしこのアプリなら、そもそもルートを検索するという以上に「自分にピッタリの目的地を探し出す」ことから始められるのです。

筆者はクルマで出かけるとつい温泉にふらふらと出向きたくなるのですが、平日でもちゃっと行って帰ってこれる、名湯の日帰り温泉などないだろうか……というような検索ができて、その施設の特徴も知ることができ、目的地として設定したければそのままルート案内を開始する、というようなこともできるのです。このアプリと新型up!があれば、行動範囲はさらに広がるというもの。広がりすぎて困るほどかもしれません。あれもこれも、こんなにすごいんです!と使いもしない機能満載でその威厳を明らかにするような無駄はなく、あくまでも痒い所に手が届く、等身大の機能を盛り込んだこのアプリケーション。up!らしいなあと思えるものだと感じました。


[photo:Hayato Tsuchiya]

情報化社会という言葉もいい加減死語になったようにも思います。わざわざ言及されないくらい今の世の中、情報にあふれています。しかし、そんな中で燦然と輝く価値を見出すもの。それは実際体験してみなければわからない、知りえないことなのではないでしょうか。99%はグーグル先生が教えてくれる。しかし残りの1%は絶対に体験しなければわからないのです。その部分の価値が尊ばれ始めている。そんな風に感じます。そしてクルマはその1%をより多くの人にもたらす存在だと思っています。


[photo:Hayato Tsuchiya]

この新しいup!も、こんな時代にピッタリのパーソナルラナバウトとしての価値にしっかりフォーカスした進化をしているということを強く感じました。世の中に合う情報の中で自分に有益なものをしっかりと得ることができるコネクテッドカーとしての性能。そしてそれに応えうる小回りの利くコンパクトなクルマ。そんな懐の深さがより色濃くなっているのではないでしょうか。やがて、このクルマでの体験はユーザー一人一人のかけがえのない体験という財産になる。こういう現代で珍重される「ユーザーと愛車の情報と体験の共有」がしっかりできるクルマだと感じるのです。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...