執拗に未来を乞うのではなく、あるべき姿を振り返るセダン「VWパサートGTE」に試乗する

公開日:Posted in 試乗レポート by

フォルクスワーゲンは、このところいろんなことに翻弄されていたと思います。確かに、事実ではないことや、何かを欺く行為はしっかりと追及されてしかるべき。しかし、だからといって、非常にシンプルに秀逸なクルマとしての乗り味への評価まで「否定されることはないのではないか」。フォルクスワーゲンに対してそんな思いを持っていました。

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日本ではその話題で持ちきりの状況下ともいえる時期に導入されたのが現行のパサート。この時期しばしばディーラーでイベントのお手伝いなどをしていたこともあり、発表会、事前内覧会、先行試乗会など様々なイベントでフォルクスワーゲンファンがこのパサートに寄せる期待の大きさは、自分の目で見て、肌で感じていました。だからこそ、興味があったのです。このクルマには。

正直、特に日本においてフォルクスワーゲンはかなりメジャーなブランドです。しかしそれはすなわち、ゴルフやポロなどを指すものであり、日本におけるフラッグシップ・フォルクスワーゲンの影が色濃いというのは、ややはばかられるもの。そう言わざるを得ないでしょう。そんなパサート、少し前にしばらく一緒に過ごして試乗することができましたので、少し振り返っておきたいと思います。

プレミアムとはなんだろう?高級車って何だろう?

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▲最近のトレンドの一つと言えるかもしれません。室内を取り囲むように彩られた照明アンビエントライトがめぐらされます。これがすなわち高級なのかというと、そこは評価の分かれるところかもしれませんが、パサートGTEのそれは照度、色共にシックで五月蠅さがない。

前述のフォルクスワーゲンのキャラクター。それはゴルフやポロなどが広めた、実用車の本領というステージの上での評価ではなかったでしょうか?それからするとこのパサートは「確かに高級」なのだけれども、「それでもやはりフォルクスワーゲンだ」というこの二点を併せ持つ一台だということができるでしょう。

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▲メーター類、ナビゲーション、ブレーキ回生の状況、バッテリー残量など様々な情報を提供してくれるアクティブ・インフォ・ディスプレイ。うまく整理されてレイアウトされているし、視認性も良好だと感じた。

クルマとして嫌みのないところ。そしてこう言ってはアレだが、決して色気のある恰好ではない。けれども二度見の走りを、いざとなればしっかりこなす実力を持つ。それを想定しうる最大限の実用性と共に仕上げたクルマ。それはこのパサートGTEでもやはり強く感じるところでした。ハンドリングはまったく違和感なく、あらゆる速度域で自然。乗り心地も芯がありながらしっかりといなすものであり快適そのもの。業務用冷蔵庫のように大きなトランクは奥の荷物を引き出すのにやや難儀するほど。ゴルフで満足のあの感じ、それを全方向にストレッチ、熟成させたようなキャラクターはしかし、出しゃばらない。それがとても心地いい。

例えばサービスを受ける場合でも「●●というシステムになっております。」と言ってみたり「ごめんなさい、それはできないんです。」とビジネスモデルの都合を客に押し付けるような場面をとても多く目にするものです。最近ああいうことで時々イライラするのですが、ああいうところがない。それが例えばいいホテル(高いホテルがいいとは限らない、という前提はここで強調しておかねばなりません。)だと、そもそも「申し訳ございません」と言ってきません。有益な提案として提示され、消去法で客が我慢するのではなく、アフォーダブルな選択を客がした結果、ホテルのサービスを受けるというニュアンスが強いものです。

フォルクスワーゲンは人が心地いいように、さほど主張することなく、気づくとものすごいことをさらっとやってのける。そういうことを自然にこなすキャラクターではないでしょうか。それをさらに、俊足は滑空するかの滑らかさ。ハンドリングはより上質なもの。ボディも静粛性もなかなか高い。「高級なフォルクスワーゲン」の心地よさは、クルマに求める心地よさの王道であり、そのいいホテルのもてなしに通じるものを感じます。

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▲甲府・湯村温泉の常盤ホテルは数あるこの地の宿の中でもホスピタリティも素晴らしい宿で、このところ利用する機会が多い。コンテンツのバラエティではなく、一つ一つに粛々と迎えてくれる感じが実に過不足なく心地よい。先進のPHEVながらパサートGTEにもある種、そのようなもてなしを感じる。

楽しい道をドライブして帰ろうか。と思えるクルマ

取材と身内の用事で幕張と山梨を往復を2日続けてすることになったのですが、そんなことで音を上げることがなかったことは言うまでもありません。そればかりか、行きも帰りも、ちょっと寄り道をしたくなったのです。多少渋滞していたというのはあるのですが、普段から、高速を標榜していてその巡航速度が担保されないのであれば、本来享受すべきサービスレベルを受けられないわけで、その間をダイレクトに結ぶのだからという最低限の事実だけでしっかり通行料金を徴収してくるのが日本の高速道路です。

しかし、時間を買っているという側面を棚に上げて、そういわれてもちょっと釈然としない部分もあります。こうしたときに、別の道を通り、季節を満喫、郷土を満喫する価値を、高速道路への支払うコストの代わりに堪能することを、筆者はしばしば選択することにしています。多少距離も多く走って、車速の関係で燃費も悪化するかもしれませんが、それでも、期待値が望めない高速料金を支払う分をそこに充当する。そのかわり気ままに、かつその時に走らねば見れない景色、産物の購入などに充てるということなのです。こういう思考に至った際、同様に快適で、低燃費(低コスト)では知れたらいうことはないわけでありますが、パサートGTEがまさにそんなクルマだったと言えるのです。

優秀な運転支援システムも当然ついています。ですので渋滞に唯々諾々と突入しても、それなりに楽しい時間を過ごすことはできるでしょう。ハイブリッドですし、エンジン自体が1.4リットルだというので、声にあげて驚いてしまったものですが、燃費だって悪化の心配はありません。それでも、楽しい道をドライブして帰ろうか。と何の疑いもなく、そういう思いに至るのは、このクルマが快適で、乗り心地に加えて、ハンドリングもよい証でしょう。

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▲今年のヌーヴォーはもう少し待つことになりそうだ。日照時間も十分で、糖度旨みも十分な今年のブドウを見ると、ワインの出来も楽しみだ。我が家では古くからおなじみのグレイス・ワインの中央葡萄酒にも立ち寄った。ちなみにこの日は前日に幕張から直行。あくる日も幕張に行くことになっていたさなかでのドライブ。ロングドライブだからといって旅程を削るという判断は、パサートGTEでは無用。ことさらにひけらかす外観ではないフォルクスワーゲン。乗ると二度見の感動というのはさすがフォルクスワーゲンだし、こういうドイツ車に触れると、嬉しくなるものだ。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...